クリストフ・グルックの作品の特徴及び評価。おすすめ代表作4選

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18世紀ヨーロッパのオペラ界に新風を巻き起こした作曲家クリストフ・グルック。グルックは既存のバロック・オペラ様式を乗り越え、オペラに新しい命を吹き込んだ立役者です。なかでも、グルックは衰退の一途をたどっていたフランス・オペラを復活させ、その後のフランス・オペラに多大なる影響を及ぼしています。また、同時代に活躍したモーツァルトやベートーヴェン、そしてのちのリヒャルト・シュトラウス、ワーグナーなどはグルックを「近代舞台音楽の創始者」とみなしており、オペラにおいて重要な人物であると捉えています。
では、そんなグルックにはどのような作品があるのでしょうか。
今回はグルックの作品の特徴と、おすすめ代表作を4つ紹介します。

グルックの作品の特徴は?

グルックの作品にはどのような特徴があるのでしょうか。ドイツに生まれたグルックですが、その業績はフランス・パリにて大きく花を開かせることとなりました。

オペラの改革者

グルックが生まれた時代は、ヘンデルやハイドン、ラモーなどのバロック後期の音楽家が活躍した時代でした。彼らが生み出したバロック・オペラにも優れた名曲はあるものの、イタリア・オペラをはじめ、オペラ界全体としては衰退の一途をたどっていました。とくにイタリア・オペラにいたっては、人気歌手にばかり焦点があてられ、物語の筋や展開は二の次だったようです。そんな状況を打破したのがグルックでした。

グルックは「作品とドラマが一体となる」ことを目指し、改めて「オペラのためのオペラ」ということに重点を置きました。グルックが行った改革は、音楽史上「オペラ改革」とも呼ばれており、のちのワーグナーやリヒャルト・シュトラウスなどにも大きな影響を及ぼしています。

フランス・オペラの復活

伝統的なフランス・オペラはリュリによって完成されました。しかし、イタリア・オペラの人気の高まりとともに、次第にその伝統も失われていきます。18世紀中には、ほとんどのフランス・オペラは衰退し、その伝統も失われてしまいます。そのような状況においてフランス・オペラを復活させ、抒情悲劇に新しいエッセンスを取り入れたのがグルックの大きな功績です。人間の悲劇を舞台とともに表現するフランス・オペラの復活がなければ、ジョルジュ・ビゼーといった後世の偉大な作曲家は生まれなかったかもしれません。

グルックのおすすめ代表作4選

グルックの代表作といえば、なんといってもオペラ作品です。今回は多くのオペラ作品のなかから、代表的なオペラを4つ紹介します。現在でも上演されるものもありますので、ぜひチェックしておいてください。

オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」

グルックの作品中でもっとも有名で、現代でも人気のあるオペラです。全3幕で構成されるイタリア・オペラであり、台本はギリシャ悲劇のオウィディウスの『変身物語』とウェウギリウスの『農耕歌』に基づいて書かれています。グルックが行った「オペラ改革」を実現した最初のオペラであり、1762年にウィーンのブルク劇場にて初演が行われました。

また、1770年にロンドン初演、1863年にはアメリカ初演が上演されており、いずれにおいても大成功を収めています。ちなみに本作は、日本人が初めて上演した歌劇でもあり、日本のクラシック音楽の歴史においても重要な位置を占めています。

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オペラ「アルチェステ」

「オルフェオとエウリディーチェ」に続いて制作された、「オペラ改革」の第2作にあたる作品です。こちらも全3幕のイタリア語によるオペラであり、1767年にウィーンにて初演されました。前作と同様、初演から大成功を収め、1804年までヨーロッパ各国で12回の上演が行われています。

本作は3大ギリシャ悲劇作家の一人エウリピデスの『アルケスティス』をもとに台本が書かれ、とりわけフランス・オペラに決定的な影響を及ぼしたと言われています。また、1861年のパリ・オペラ座上演にあたっては、エクトール・ベルリオーズがわずかながらの修正を施したことでも有名です。演奏時間はおよそ2時間40分程度です。

オペラ「アルミード」

グルックが新天地を求めて移り住んだ、パリにて書かれたオペラです。本作はパリ・オペラ座の委嘱により作曲された5作目のオペラであり、バティスト・リュリやフィリップ・ラモーへの畏敬の念を込めて生み出されたと伝えられています。
台本はイタリア生まれの詩人トルクァート・タッソの叙事詩『解放されたエルサレム』に基づいて制作されました。そのため、本作はグルックの後期オペラにおける唯一の悲劇的オペラであり、グルックの抒情的世界が存分に味わえます。ちなみにタッソの『解放されたエルサレム』は、ヘンデルやハイドン、ロッシーニなど、多くの作曲家たちによって作品化された名作です。

初演はグルックには珍しく大きな成功にはならなかったものの、同時代のイタリアのオペラ作曲家ピッチンニ支持派とグルック支持派の論争を生み出すきっかけとなった作品でもあります
(「グルック・ピッチンニ論争」)。

オペラ「トーリードのイフィジェニー」

1779年に初演された、ギリシャのトロイア戦争後を舞台にしたオペラです。グルックの作品としては知名度が低いですが『新グローヴ・オペラ辞典』においては「グルックの作曲家としての頂点をなす最高傑作である」と記されています。
こちらの作品も、台本はエウリピデスの『タウリケのイピゲネイア』に基づいており、グルックの革新的オペラにおける最後の抒情悲劇に位置付けられています。
全4幕構成で、上演時間はおよそ2時間程度です。現在では上演機会はほとんどありませんが、21世紀に入ってからも2度の全曲録音が行われました。

まとめ

グルックの作品の特徴やおすすめ代表作を紹介しました。今回はオペラを中心に解説しましたが、長い作品の多いオペラに抵抗がある方もいらっしゃるでしょう。グルックの作品には、小規模な管弦楽曲や宗教曲、室内楽もあります。そのため、まずはそちらからお聴きいただき、徐々にオペラを聴いてみるのも面白いかもしれません。
いずれにしても、オペラの分野に革命を起こしたブルックの作品は、どれも美しく、そして目を引くものばかりです。この記事を機会に、ぜひブルックの作品を聴いてみてはいかがでしょうか。

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