フランツ・シューベルト「軍隊行進曲第1番」の解説。難易度や弾き方の注意点は?

出典:[amazon]シューベルト:交響曲全集

シューベルト代表作の1つである「軍隊行進曲」は、もとはピアノ連弾用に作曲が行われました。しかし、現在ではピアノ独奏での演奏も増えてきている人気作品のため、ここでは独奏版の紹介をさせて頂きます。

シューベルト自身についてのまとめ

「歌曲の王」とも呼ばれるシューベルトですが、現在では歌曲だけでなく、様々なジャンルの作品で有名です。そんなシューベルトの生涯について、少し紹介をしていきます。

生涯

1797年に生まれたシューベルトは、6歳になるとアマチュア音楽家の父親から音楽の手ほどきを受け、翌年には才能を感じさせるようになりました。貧しい生活をしていたシューベルトですが、父親の計らいで入った教会の聖歌隊でも周りを驚かせたことで、自由に楽器の練習をさせてもらえるような環境にあったようです。

宮廷礼拝堂聖歌隊を育成していた学校に奨学金で入学すると、シューベルトは作曲をするようになりました。ここでも貧しいシューベルトを支えようと、周りの友人たちが協力してくれていたとされています。

そして学校を出たシューベルトは教師の仕事につきますが、この期間にも作曲を行い数多くの作品が生み出されています。そして友人の支援を受け、教師を辞めて作曲に専念するようになっていきました。これまでと同じく貧しかったシューベルトですが、やはり周りの支援により衣食住には困らなかったようです。

そして1827年に尊敬するベートーヴェンが亡くなると、その翌年、シューベルトは31歳の若さでこの世を去ってしまいます。

作品の出版に関して

当時有名な作曲家ではなかったシューベルトの作品は、なかなか出版されるようにはなりませんでした。1821年には転機が訪れ作品の出版が行われますが、その後大きく出版が進むことはなく、数年間の苦しい時期に突入してしまいます。

1825年には出版の大きな収入を得ることができたのですが、その後も作品が次々と出版されていったというわけではなく、生前の出版数はあまり多くはなりませんでした。

しかしシューベルトが亡くなってから、作曲家として有名なシューマンを始め、様々な人たちの手によって世に出され、現在では広く知られる作曲家となっていったのです。

シューベルトの作曲作品について

シューベルトには様々な有名作品がありますが、それらのジャンルはバラバラです。そんな中でも特に広く知られているジャンルや、そのジャンルの作品について少し解説をします。

主な作品

よく知られている作品のジャンルとしては、歌曲はもちろんですが、ピアノ曲のような小規模のものから、交響曲のような大規模のものまで様々です。

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歌曲の中で有名な作品としては、「魔王」や「野ばら」、「子守歌」があげられます。「魔王」と「野ばら」に関しては、音楽の授業で聴いたことがあるかもしれません。また「子守歌」ですが、こちらも日本では日本語訳されたものが広く知られているので、小さい頃に聴いた記憶があるのではないでしょうか。

ピアノ曲には、今回のテーマにもなっている「軍隊行進曲」や、のだめカンタービレで使用された「ピアノソナタ第16番イ短調」、CMで使用されたことのある「楽興の時 第3番」などがあります。

そして交響曲は、「悲劇的」として知られている「交響曲第4番ハ短調」や、シューベルトの未完成の交響曲の中で最も有名な「交響曲ロ短調」が、「未完成」として親しまれています。また、「交響曲ハ長調」は「ザ・グレイト」とも呼ばれ、シューマンとの関係でも知られている作品です。

「軍隊行進曲」について

冒頭でも少し紹介した通り、もとはピアノ連弾の作品です。BGMとしての使用が多く、クラシックに興味が無いという方でも聴いたことがある作品かもしれません。「3つの軍隊行進曲」という名前のように実際には3曲の作品ですが、最も有名なのは今回解説する第1番です。またこの作品は、シューベルトが21歳の1818年に作曲されました。

「軍隊行進曲第1番」の解説

まず難易度では、曲中の難しいポイントもいくつかあげて紹介し、弾き方ではその難しいポイントの注意点についても解説をしていきます。

難易度について

全体的な難易度としては、中級程度と考えて良いと思います。しかし、連弾用の曲を独奏用にしている作品ということで、少し和音の幅が広い部分があり、そこが大変だと感じるかもしれません。

また音源を聴くと長い作品ですが、実際には繰り返し部分が多いため音を見る量が多いわけではありません。また縦のラインが大きくずれることもない作品のため、リズムも比較的取りやすいはずです。音が上がっていく形の時にはクレッシェンドがかかり、その先の音が強い音になっているというような部分も多く、感覚的にも弾きやすい作品です。

しかし細かな飾りや和音の押さえ方などに関しては、少し難しいポイントとも言えると思いますので、そこが注意点としてあげられます。

弾き方について

広く押さえなければならない和音に関しては、届かない場合は音を省略して演奏するのも良いかもしれません。

また縦のラインが揃っている作品は、リズムが取りやすく最初の譜読みは大変さを感じにくいかもしれませんが、そのかわりにしっかりとラインを合わせて演奏をする必要があります。

この作品での細かな飾りについては、リズムに乗ったまま崩してしまうことがないように入れることが大切です。そのような飾りの入れ方は作品によって変わってくるので、曲ごとにしっかりと考えなければなりません。

また、ずっと同じような調子で演奏するのではなく、少し曲の様子が変わる部分では弾き方を考える必要もあります。曲中で様子が変わる部分に関しては、「p」の指示があるため比較的変化をつけやすいのではないでしょうか。

>>フランツ・シューベルトってどんな人?その生涯や性格は?

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