出典:[amazon]Vivaldi Edition
バロック音楽を代表する音楽家のヴィヴァルディと言えば、よく知られている作品というとやはり「四季」が圧倒的なのではないでしょうか。この記事では、その「四季」について詳しく紹介をしていきます。
ヴィヴァルディについて
生涯
1678年にヴェネツィアで誕生したヴィヴァルディは、理髪師でありヴァイオリン奏者だった父親からヴァイオリンの演奏を学んだようです。
その後25歳で司祭になったものの、体が弱かったことを理由にその仕事を免除されていました。また、当時のあだ名には「赤毛の司祭」というものがありましたが、これは父親譲りの赤い髪が理由だったようです。このころ赤い髪をあだ名にされるというのは、あまり良い意味ではありませんでした。
また、既に作品の出版をしていたヴィヴァルディは、ピエタ慈善院ではヴァイオリンを教えるようになります。そして自身の作品の提供を行っていたことが、作曲家として知られるようになったきっかけだったようです。また、オペラの作品を作曲、上演したことをきっかけに人気が増し、各地で作品が上演されるようにまでなっていきました。
しかし晩年は不運が続き、最後は母国ではない土地で貧民墓地に埋葬されてしまったそうです。
人物像
25歳で任命された司祭の仕事を免除されたのは、体が弱かったためと言われていますが、実際にそこまで病弱だったのかという点で、それを否定する説があります。ヴィヴァルディは、生まれた時に危ない状況だったということから病弱なイメージがありますが、司祭の仕事をしなくても良いとされるほどだったのかというと、実はそれほどではなかったのではないかと考えられているようです。
確かに音楽活動は活発に行われていますが、300年以上も前のことになるので、今となっては本当の所を知るのは難しいのかもしれません。
作品について
ジャンル
作品で出版されたものを見てみると、協奏曲が特に多いことがわかります。実際に、現在最も有名で、この記事でも紹介をする「四季」はヴァイオリン協奏曲です。また、人気を高めるきっかけの1つだったオペラ作品も、当時は各地で上演されていたようです。作品は依頼されて作曲を行うことが多かったとされていて、例えば音楽院からは宗教音楽の作曲依頼がありました。そのため宗教音楽のジャンルにも、代表的な作品が残されています。
代表作
この記事で詳しく紹介する「四季」の他に、ヴィヴァルディの作品で知られているものをあげると、「調和の霊感」や「グローリア ニ長調RV.589」などがあります。「調和の霊感」は12曲で構成された協奏曲集で、比較的早くに出版されました。「グローリア ニ長調RV.589」は宗教音楽で、恐らくピエタ慈善院から依頼されて作曲された作品の1つだと考えられています。
「四季」について
「和声と創意の試み」
「四季」という作品は、もともとそのような作品として作曲されたものではなく、「和声と創意の試み」というヴァイオリン協奏曲集の中の4作品を合わせて「四季」と呼ぶようになったものです。この「和声と創意の試み」という曲集は、1725年頃に出版されたと考えられていて、全12曲で構成された作品になっています。また第5番は「海の嵐」という作品になっているのですが、同じタイトルの作品がフルート協奏曲集の中にも入っているため注意が必要です。
12曲の中の、「第1番ホ長調 RV.269 春」、「第2番ト短調 RV.315 夏」、「第3番ヘ長調 RV.293 秋」、「第4番ヘ短調 RV.297 冬」の4作品が「四季」と呼ばれています。
作品の解説
「四季」の4作品はそれぞれ3楽章の構成になっていて、各作品が10分前後の演奏時間となるので、合計で約40分程度の演奏時間です。また楽章ごとにソネットという詩が付いているのが特徴で、その詩は演奏する音楽の様子を表しています。
演奏には、独奏のヴァイオリンと、第1、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、そして通奏低音というパートになる楽器を使用しますが、この通奏低音というパートに関しては楽器が指定されていません。そのためオルガンが使用されたり、低い音域の弦楽器であるチェロやコントラバスなどのような楽器が使用されたりしています。
作品の内容としては、タイトルの通り春夏秋冬の季節ごとに様々な様子が表現されています。例えば、「春」に登場するのは小鳥や川、風、羊飼いや犬などに加え、春の雷が音楽で表されているようです。また「夏」には、暑さが辛い様子や、カッコウの鳴き声、嵐、ハエの音などが表現されています。「秋」では、無事に作物の収穫ができたことで乾杯をしているところや狩りの様子が、そして最後の「冬」では辛い寒さに歯が鳴る音、氷の上を慎重に歩く様子などが表されています。
この4作品の中でも最も有名なのが、第1番の「春」です。「春」に関しては、一般的にも聞く機会の多い作品になっているので、クラシックに普段から興味を持っていない方でも、どこかで耳にしているのではないでしょうか。また、「夏」の後半部分や「冬」の最初の部分に関しても、聞いてみると知っているという方は多いかもしれません。
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