コダーイ・ゾルターンの楽曲の特徴及び評価。おすすめ代表作4選

出典:[amazon]The Choral Music of Kodaly

ハンガリーの民謡収集の第一人者として知られ、世界的作曲家として名声を得たコダーイ・ゾルターン(以下コダーイ)。コダーイは盟友バルトークと並び称されるハンガリーを代表する人物です。国民からの圧倒的尊敬により、コダーイは一時期、ハンガリーの大統領候補とまで噂されるほどでした。コダーイの活動は作曲家、音楽学者、言語学者、教育者と幅広く、特に教育における「コダーイ・メソッド」は現在でも世界中で用いられている音楽メソッドです。そんな偉大な人物、コダーイの作品にはどのようなものがあるのでしょうか。今回は、コダーイの作品の特徴とおすすめ作品を紹介します。

コダーイの作品の特徴や評価について

コダーイの作品の特徴はどのような点にあるのでしょうか。簡潔に紹介します。

ハンガリーの民謡学者として

リスト音楽院を卒業後の1905年、コダーイはハンガリーの民謡や民族音楽の収集を開始します。その過程でバルトークとも知遇を得たコダーイは、民謡収集をライフワークとし、その成果を論文として発表します。

なかでもバルトークとの共著「トランシルヴァニアのハンガリー人・民謡」は、ハンガリーの民謡を知る上で貴重な資料として知られています。バルトークは民謡や民族音楽を前衛音楽として活かしましたが、コダーイは伝統的な対位法のなかに民謡を取り入れた作風が特徴です。

コダーイ・システム(メソッド)を発案する

民謡研究に没頭するかたわら、コダーイは音楽教育にも強い関心を持つようになります。これは音楽に囲まれて育ったコダーイ自身の経験からきており、コダーイは「私たちは、できる限り幼い時から、子供たちに良い音楽を教えなくてはなりません」と述べています。

「コダーイ・システム」と名付けられたこのメソッドは徐々に広がりをみせ、現在では世界中で広く採用されるメソッドとして定着しています。また「コダーイ・システム」は2016年、ユネスコの無形文化遺産にも登録されていることから、その影響の強さが窺い知れます。

国際会議の重鎮となる

膨大な量の民謡研究者として活躍する一方、「ハンガリー詩篇」などの作品で作曲家としても活躍したコダーイ。その晩年はまさに輝かしいものといっても過言ではないでしょう。世界的音楽家として知られるようになったコダーイは、国際民族音楽評議会会長や国際音楽教育協会の名誉会長に就任し、後進の育成と発展に貢献しています。生涯のほぼすべてをハンガリーで過ごしたコダーイは、20世紀のハンガリーでもっとも偉大な人物として今も尊敬を集めています。

おすすめ代表作4選

おすすめ作品を紹介します。どれも聴きなれない作品だと思いますが、管弦楽から交響曲まで、コダーイはさまざまなジャンルを作曲しています。

スポンサーリンク

ガランタ舞曲

1933年に作曲された管弦楽曲です。フェレンツ・エルケルが創設したブダペスト・フィルハーモニック協会80周年を記念して作曲されました。ドホナーニ・エルネーの指揮で初演され、コダーイが幼少時代を過ごしたガランタ地方に伝わる民謡がモチーフになっています。異なるリズムを持つ7つの舞曲で構成され、それらが続けて演奏されます。演奏時間は15分程度です。ハンガリーの伝統舞曲「ヴェルブンコシュ」という舞曲スタイルが取り入れられているのも特徴です。

管弦楽のための協奏曲

1939年から1940年にかけて作成された管弦楽曲です。本作はシカゴ交響楽団創立50周年を記念して作曲され、フレデリック・ストックの指揮で初演されました。フレデリック・ストックは、シカゴ交響楽団をアメリカ随一の交響楽団に育てた名指揮者として知られています。ヨーロッパでは1944年に初演が行われ、コダーイ自身が指揮を担当しました。演奏時間は20分程度で、5部構成となっています。5部構成ですが、単一楽章として続けて演奏されます。コダーイらしく伝統的な対位法に則った作品であり、迫力のある冒頭が、聴く人を惹きつけます。

交響曲ハ長調

コダーイが遺した唯一の交響曲として知られています。大部分が1923年から1939年に完成していますが、最終的に完成したのは1961年、コダーイ78歳の時でした。この曲を作曲するきっかけは、大指揮者トスカニーニとの出会いだと言われています。トスカニーニの勧めで本作を作曲しましたが、1961年の初演時にはすでにトスカニーニが亡くなっていたため、作品には「アルトゥーロ・トスカニーニの思い出の為に」という副題が付けられています。3楽章構成で、演奏時間はおよそ30分です。フェレンツ・フリッチャイの指揮で初演されました。「路面電車に乗っている時に構想を思いつき、慌てて切符の裏にメモした」というエピソードが残っており、とてもドラマチックな作品です。

無伴奏チェロソナタ

1915年に作曲され、1918年に初演された作品です。作品はチェリストのイェネー・ケルペイに献呈されています。3つの楽章で構成されており、ソナタ形式が取られています。わずか7歳でブダペスト音楽院に入学を許可された、天才チェリスト・ヤーノシュ・シュタルケルが得意とした作品としても知られています。

民族舞曲「ヴェルブンコシュ」のスタイルが用いられ、左手のピチカートやトレモロなどの超絶技巧が魅力的な作品です。

まとめ

いかがでしたか?今回はコダーイの作品の特徴やおすすめ作品について紹介しました。どれか一つでもピンとくる作品があれば幸いです。コダーイの作品は、伝統的形式に基づいていますので、前衛的な作品が苦手な方にも聴きやすいと思います。この記事をきっかけにコダーイについて知っていただき、教養の一つとして加えていただければと思います。民族性溢れる叙情豊かなメロディーは、きっとあなたの癒しになってくれると思いますよ。

👉[amazon]コダーイ・ゾルターンのCDはこちら。

>>コダーイ・ゾルターンってどんな人?出身やその生涯は?性格を物語るエピソードや死因は?

>>[amazon]クラシックのジャンル別話題作をチェック!

スポンサーリンク
関連記事
(Visited 1,271 times, 1 visits today)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)