モーリス・ラヴェル ボレロの解説・分析。楽章編成や特徴、聴きどころは?

出典:[amazon]Best Of Ravel

フランスを代表する作曲家モーリス・ラヴェルの作品の中で、もっとも有名な作品は何かと聞かれたら、おそらく「ボレロ」と答える人が多いでしょう。それくらい「ボレロ」は多くの聴衆の心をつかみ、現代でもなお愛される名曲の一つです。そんな「ボレロ」とは一体どのような作品なのでしょうか。今回は、ラヴェル作曲の「ボレロ」を解説してみたいと思います。

ボレロとは

ボレロは、もともとスペインの舞踏音楽で、カスタネットやタンバリンなどを叩いて踊る、ゆっくりとした3拍子の音楽形式です(ラヴェルのボレロも3拍子になっています)。

ラヴェルの「ボレロ」は、ロシア人バレエダンサーのイダ・ルビンシュタインの依頼で作曲され、1928年11月のパリ・オペラ座が初演でした。イダが契約していた1年間の「ボレロ使用独占権」が切れると、ラヴェルの予想に反して世界中で演奏される人気曲となりました(ラヴェル自身は「ボレロ」はあまり評価されないだろうと思っていたそうです)。

「ボレロ」独特の、楽器を次々と変えてテーマを演奏する手法は「スペインの工場からアイディアを得た」と語っています。またラヴェルの母親はバスク地方出身だったこともあり、「ボレロ」にはスペイン文化への思いが反映されていたのかもしれません。

ボレロのあらずじ

ボレロはバレエ音楽として作曲されたので、あらすじがあります。

場所はセビリア(スペイン南部の街)の酒場。はじめは踊り子1人が舞台で足ならしを始めます。足ならしが終わり少しずつ本番の踊りへと変化し、しだいに盛り上がってくると、踊り子を見ていた酒場の客も一緒に踊りだし、最後には全員で踊りだすという物語です。

このあらすじを知ってから「ボレロ」を聞くと、酒場の光景が目に浮かぶようでより楽しく聞くことができます。

ボレロにまつわるエピソード

大指揮者のトスカニーニが、ラヴェルの前で「ボレロ」を演奏したときのエピソードが伝えられています。トスカニーニはかなり早いテンポで「ボレロ」を指揮したそうです。演奏終了後、ラヴェルはトスカニーニに対して「私の意図したテンポと違う」と抗議しました。するとトスカニーニは「このように演奏しなければ、音楽になりません!」と反論したそうです。この争いのあと、トスカニーニはしばらくラヴェルの作品を指揮しなかったそうです。

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ボレロの楽曲編成や特徴って?

ボレロはハ長調で作曲されています。曲の最初から最後の2小節前までスネアドラム(小太鼓)が同じリズムを刻む、とても珍しい楽曲です。全体でおよそ16分ほどの曲で、長い時間をかけて少しずつクレッシェンド(音が大きくなる)をしながら、爆発的な最後へと進んでいきます。旋律は、16小節からなる2つの美しいメロディーが組み合わさることで、一つの作品を形成します。

それぞれの楽器がメロディーを演奏した後、スネアドラムに合わせて音を奏でる斬新な構成で、時間の経過とともに弦楽器も加わり、やがて一つのまとまった音楽へと変化します。このような構成は、まさに「オーケストラの魔術師」といわれたラヴェルの作曲技巧が存分に発揮されていると言えるでしょう。

聴きどころは?

「ボレロ」の聴きどころは「繰り返されるテーマ」にあります。同じテーマを異なる楽器で演奏し続けて、少しずつ変化を加えることで、聞く人の関心を引き一つの作品へと没入させます。そして音楽が完成したと思った途端に一気に崩れ落ち、聴衆は音楽から我に帰る。この体験ができるのが「ボレロ」の凄いところです。

このように考えると「聴きどころは?」と聞かれたら、「最初から最後まで全部」というのが正解かもしれません。

スネアドラムは単純なリズムを刻むだけのように思えますが、スネアドラムが少しでも間違えたら「ボレロ」は演奏として成り立たなくなってしまうので、演奏者はかなり緊張するそうです。

ボレロはオーケストラだけじゃない!

「ボレロ」はバレエのために書かれた作品ですが、「ボレロ」の持つリズムと美しいメロディーは多くのジャンルで使われています。有名なのは、C・ルルーシュ監督が1981年に発表した映画「愛と哀しみのボレロ」です。この映画の中で、バレエダンサーのジョルジュ・ドンが踊る「ボレロ」は当時大変な話題となりました。
黒澤明監督の代表作「羅生門」の音楽には「ボレロ」を参考にして作曲された曲があります(似すぎていてフランスのラヴェルの楽譜出版社から抗議を受けたほどです)。

最近では、フィギュアスケートのプログラム曲に使われることも多く、フィギアスケートを通じて「ボレロ」を知った方も多いのではないでしょうか。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回はラヴェルの傑作「ボレロ」をご紹介しました。「ボレロ」はオーケストラだけではなく、映画音楽やドラマ、CMなどで耳にする機会がとても多い作品です。その理由は、それだけ多くの人にこの作品が愛されており、人間の心に訴える「何か」があるからだと思います。もしどこかでボレロが流れてきたら、本記事を思い出していただければ幸いです。さまざまなアレンジのボレロを聞くのも、楽しみの一つですよ!。

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