出典:[amazon]Faure: Piano Works / Chamber Muisic / Orchestral & Choral Works / Requiem
幼少のころからオルガンを学び、フランス国立高等音楽院の院長にまでなったフォーレ。その功績は大きく、フランス近代音楽を築いた人物の1人として、今もなお彼の作品は多くの人に愛されています。そんなフォーレの作品の中から、今回は3曲をご紹介し解説してみたいと思います。どの作品も有名な作品ですので、まだ聞いたことがない方はぜひ聞いてみてください。
パヴァーヌについて
パヴァーヌとは、16世紀頃にヨーロッパの宮廷で流行したゆったりとした舞曲です。パヴァーヌという題名ではラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」が有名ですが、フォーレの「パヴァーヌ」もとても美しい作品です。
「パヴァーヌ」は1886年、フォーレが41歳のときの作品で、「レクイエム」と並ぶ中期の傑作とされています。もともとは管弦楽曲として作曲されましたが、1887年に合唱パートが追加されました。合唱パートの詩は、ロベルト・ド・モンテスキューによるものです。
管弦楽のピチカートで静かに始まり、それに続いてフルートによる深淵で内声的なメロディーが現れます。管弦楽編、合唱パート付き編のどちらも演奏機会の多い作品です。
またピアノ独奏にもアレンジされており、フォーレ自身の録音演奏も残されています。
演奏時間はおよそ6分です。
楽曲編成は?
パヴァーヌの楽曲編成は以下のようになっています。
- ・フルート(2)
- オーボエ(2)
- クラリネット(2)
- ファゴット(2)
- ホルン(2)
- 弦楽合奏
- 合唱パート付きの場合は混声4部合唱
パヴァーヌの難易度は?
全音ピアノピースを調ると、フォーレの「パヴァーヌ」はE難易度とされています。これはフランツ・リストの「愛の夢」などと同程度の難易度です。したがって、演奏には上級程度の高い技術が必要とされるでしょう。特に左手の演奏は、同じようなフレーズが続くため、ムラのない均一な演奏力が求められます。
エレジーとは
エレジーは日本語では「悲歌」(ひか)や「哀歌」(あいか)と訳されます。元々の語源はギリシャ語で「死を哀悼する詩」を意味していました。多くの作曲家たちがエレジーというタイトルの作品を作曲していますが、どの作品にも物悲しさが漂っているのはこのためです。
フォーレの「エレジー」は1880年チェロとピアノのために作曲され、1883年にチェリストのジュール・レープによって初演されました。この作品の特徴は「思い出の回想から、静かな祈りへと続くような」メロディーにあります。
作曲から10年後の1890年には管弦楽版に編曲されていることから、この作品も大変人気であったことが想像できます。
管弦楽版の初演は、20世紀最高のチェリストの1人パブロ・カザルスがチェロ独奏をし、フォーレ自身が指揮をしたことでも有名です。
楽曲編成は?
管弦楽版の楽曲編成をご紹介します。
- フルート(2)
- オーボエ(2)
- クラリネット(2)
- ファゴット(2)
- ホルン(2)
- チェロ(独奏)
エレジーの難易度は?
チェロ独奏には、中級程度の技術が必要とされています。
シチリアーノについて
シチリアーノもパヴァーヌと同様に、ひとつの音楽形式です。ルネサンス音楽末期からバロック音楽初期にまで遡る舞曲とされています。一般に8分の6拍子または8分の12拍子が用いられ、短調で作曲されることが多いのが特徴です。
フォーレの「シチリアーノ」は、劇付随音楽「ペレアスとメリザンド」の中の1曲です。
劇中第2幕でペレアスとメリザンドが泉のほとりで遊ぶ場面の前奏曲として作曲され、のちに管弦楽組曲へ編曲されました。
フォーレ自身は不満があったそうですが、1901年の初演は大盛況に終わりました。この組曲は、サロンの主催者であったエドモン・ド・ポリニャック公爵夫人に献呈されています。
作品の場面が示す通り、フォーレの「シチリアーノ」は、静かな自然の中でぼんやりと霧がかかり、光の筋が差し込む景色が目に浮かぶような作品です。
管弦楽版の他にもピアノ独奏やフルートとピアノのための編曲などがあり、演奏機会が非常に多いフォーレの人気作品です。
楽曲編成について
組曲版の楽曲編成は以下のとおり。
- フルート(2)
- オーボエ(2)
- クラリネット(2)
- ファゴット(2)
- ホルン(4)
- トランペット(2)
- ティンパニ
- ハープ
- 弦楽合奏
難易度は?
「シチリアーノ」の難易度は、全音ピアノピースによるとD難易度とされています。同様の難易度にはラフマニノフの「前奏曲嬰ハ短調」やショパンの「華麗なる大円舞曲」などがあり、中級程度の技術が求められます。
まとめ
今回はフォーレの「パヴァーヌ」「エレジー」そして「シチリアーノ」について解説しました。どの曲も音楽史上に残る名曲あり、聞いたことがある方も多いのではないかと思います。とくに「シチリアーノ」はこの3曲のなかでもっとも有名な作品です。幻想的で、聞く人が森の中にいるような感覚にさせてくれます。
フランスのクラシック音楽というと、印象派などの複雑な作品をイメージしてしまいがちですが、フォーレは伝統的な形式を重んじており、初心者の方でも聞きやすいと思います。ぜひこれを機会に、フォーレの作品に触れてみてはいかがでしょうか。
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