出典:[amazon]The Best of Bruckner (Remastered)
ブルックナーは交響曲や宗教曲で知られる、オーストリアの作曲家です。現在では作曲家としてのイメージが強い人物ですが、実は、当時はオルガニストとして地位を確立した音楽家でもありました。この記事では、そんなブルックナーの作品としてよく知られている「交響曲 第0番」について解説をしていきます。
ブルックナーの生涯
まずは、作曲者自身のことについて簡単に紹介をします。
幼少期から教師になるまで
幼い頃から才能を開花させていたブルックナーは、教会でのオルガン演奏を経験したり、音楽の教育を受けたりしました。その後、修道院の聖歌隊に入り宗教音楽により触れることとなりますが、最初は音楽の道に進むのではなく教師としての道を歩み始めます。このころには、初期の合唱曲が作曲されていたようです。
オルガニストと作曲家
音楽家として活動をしていくようになったブルックナーは、オルガニストとしての高い評価を得ることになりますが、同時にジーモン・ゼヒターの元で作曲の勉強を行いました。そしていくつかの交響曲を作曲していきますが、これらは後に改訂されることになります。
また、このころにはワーグナーとの交流があり、自身の作品である「交響曲第3番」を献呈しました。当時とても忙しくしていたワーグナーでしたが、このブルックナーの交響曲には驚いたとされています。
晩年
体を悪くしてしまったブルックナーは、自宅へ帰るための数階分の階段がきつくなってしまいました。すると、フランツ・ヨーゼフ1世が宮殿の敷地内にある建物に住むことを許したため、ブルックナーはそこで晩年を過ごしたようです。また、このフランツ・ヨーゼフ1世には自身の「交響曲第8番」が献呈されています。
そして、作曲中の「第9番」を完成させないまま、ブルックナーは亡くなりました。
作品の特徴
ブルックナーの作品には、特徴がたくさんあります。その中からいくつかの特徴や独自の表現について、簡単に紹介していきます。
改訂
ブルックナーの作品は、改訂が行われていることでも有名です。その改訂というのは細かなものもありますが、大幅に行われたものも少なくありません。世に出されてからしばらく経過してからの大幅な改訂というのは、あまり例のないことでもありました。
独自の表現
ブルックナーには独自の書法がいくつもあります。中でも有名なのは「ブルックナー開始」「ブルックナー休止」「ブルックナー・ゼクエンツ」「ブルックナー・ユニゾン」です。
「ブルックナー開始」というのは、第1楽章が弦楽器のトレモロという技法で始まっていることを言います。「ブルックナー休止」は、全体を休止させた後に全く違う場面へと変化させることです。また「ブルックナー・ゼクエンツ」は、同じ音型を繰り返して盛り上げていくことを言い、「ブルックナー・ユニゾン」は、同じ音を全体で演奏することを指します。
交響曲ニ短調 第0番
ここからは、他の交響曲にも触れながら、「第0番」の解説をしていきます。
交響曲について
ブルックナーの交響曲は、先に紹介した書法や改訂といった難しい特徴だけでなく、とてもわかりやすい特徴もあります。それは、「とても長い」ということです。もちろん全ての作品がというわけではありませんが、この長いというイメージは強いもので、特に長いものとしては「第8番」があげられます。演奏時間にして約80分を超えるこの「第8番」は、当初は「演奏不可能」とされてしまいましたが、改訂が行われ献呈もされました。
また比較的短い作品をあげるとしたら「第4番」です。「ロマンティック」という副題でも親しまれるこの作品は、ブルックナーの作品の中でも人気の高い交響曲と言えます。
ブルックナーの交響曲は、初演が成功しないことが多かったのですが、「第7番」に関しては初演が大成功したとされています。この「第7番」ですが、作曲中にワーグナーが亡くなったことから一部を「葬送音楽」としたようです。作品の献呈は、ワーグナーを支援していたバイエルン国王ルートヴィヒ2世にされました。
第0番に関する解説
ベートーヴェンの交響曲に強く影響を受けたブルックナーは、交響曲の最初の作品を、ベートーヴェンの「運命」と「第九」と同じ調で作曲することにこだわりました。この「第0番」はニ短調で作曲されていて、「第九」と同じ調にあたります。
しかし、その出来に自信が持てなかったブルックナーは、この作品を「無効」として世に出すことはありませんでした。このことから番号が付けられなかったため、実際は「第1番」の後に作曲されていますが「第0番」と呼ばれています。この0番というのは、ブルックナーが記した文字から取られているようです。しかし、現在では違う呼び方や表記をすることもあるため注意が必要となっています。
作品は4楽章で構成されていて、演奏時間は約45分と短めです。
また、実は「第1番」の前にも作曲された交響曲が存在しています。現在では、その交響曲を「第00番」と表現することがあるため、少しややこしい並びです。この「第00番」に関しても呼び方が様々で、比較的使用されることの多い呼び方としては「習作交響曲」というものがあります。
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