出典:[amazon]Vivaldi Edition
ヴィヴァルディの作品にはいくつかのジャンルがありますが、現在でも広く知られているものは協奏曲や宗教音楽が主になっているため、この記事のおすすめ作品では、その2つのジャンルに絞って紹介をします。
ヴィヴァルディはどのような人物だったのか
父親からヴァイオリンを学んだヴィヴァルディは、13歳になると、サン・マルコ大聖堂でヴァイオリニストをしていた父親の代わりを行っていました。神学校で学んだ後、25歳で司祭に任命されますが、このころ既に自身の作曲した作品を出版するという経験をしていたヴィヴァルディは、ピエタ慈善院の音楽院でヴァイオリンの教師となっています。さらに作曲した作品の提供なども行い、作曲家としても知られる存在となっていきました。
またヴィヴァルディは、ヴァイオリン奏者としての能力もとても高かったため、当時、自身の演奏旅行を行っただけでなく、ヴァイオリンの歴史的にも重要な人物だったと考えられています。
作曲の手法に関しても後の作曲家が影響を受けているという点を考えると、演奏家としても作曲家としても才能を発揮し、音楽の歴史にとって重要な人物だったということが言えるのではないでしょうか。
ヴィヴァルディの作品の特徴
作曲のスピード
長い間忘れられていたヴィヴァルディの作曲した作品が再評価されたのは、20世紀に入ってたくさんの作品が見つかってからでした。確認できている作品は、協奏曲で600作品以上、オペラが50作品以上など、他にもまだまだありますが、これだけでもすごい数だということがわかります。作曲スピードがとても速く、楽譜は記号などが崩して書かれていたり略されていたりしたようです。
また作品の整理番号については種類がありますが、一般的には「RV.」の後に数字が来るような形で表記される、リオム番号が多く使われています。
代表的なジャンル
バロック音楽の代表的な作曲家であるヴィヴァルディの作品は、協奏曲や室内楽曲、オペラや宗教音楽などが主になっています。特に有名なのは協奏曲ですが、当時ヨーロッパ各地を回るような人気を博すきっかけの1つとなったのはオペラ作品でした。また、演奏技術でも評価されていたのがヴァイオリンだったためか、現在最も有名になっている代表作は、ヴァイオリン協奏曲です。
協奏曲からおすすめ6選
第1番ホ長調 RV.269「春」
「和声と創意の試み」という、12曲で構成されたヴァイオリン協奏曲集の中の第1曲にあたるこの作品は、ヴィヴァルディの作品として最も有名な「四季」と呼ばれる4曲の内の1つでもあります。曲集は、出版が1725年頃に行われ、ウエンツェル・フォン・モルツィン伯爵に献呈されました。
一般的にも聞く機会の多い作品の為、聞いたことがある方は多いはずです。
第2番ト短調 RV.315「夏」
「春」と同じく、「和声と創意の試み」、また「四季」の中の1曲です。後半で激しくなっている部分は、聞いたことのある方が多いかもしれません。
第3番ヘ長調 RV.293「秋」
同じく「和声と創意の試み」、「四季」の中の1曲です。ここで紹介する第1番~第4番は、どれも3楽章で構成されています。
第4番ヘ短調 RV.297「冬」
同じく「和声と創意の試み」、「四季」の中の1曲で、恐らく作品の最初の方に聞き覚えがあると感じる方が多いのではないかと思います。
調和の霊感 作品3
トスカーナ大公子フェルディナンド・デ・メディチに献呈されたこの作品は、ヴィヴァルディの最初に出版された協奏曲作品です。全12曲の曲集で、構成は、ほとんどが3~4楽章になっています。またそれら12曲の作品が、長調と短調の交互になるようにされていて、最後のみ短調が2回続き、長調で終わるような形になっています。独奏楽器は、1本~4本のヴァイオリンと、一部チェロが加わっての演奏です。
「調和の幻想」とも呼ばれるこの曲集は、1711年という比較的早い段階で出版されました。ヴィヴァルディは1678年生まれなので、33歳の年ということになります。
フルート協奏曲集 作品10
全6曲で構成されているこの曲集は、1729年頃の出版と考えられていますが、正確な年代はわかっていないようです。また6曲の内のほとんどが、もともと作曲されていた作品を編曲したものだと考えられています。
第1番の「海の嵐」については、同じ名前のヴァイオリン協奏曲が「和声と創意の試み」の第5曲目にも作曲されています。また、この「第1番ヘ長調」と「第2番ト短調 夜」、そして「第3番ニ長調 ごしきひわ」が、比較的演奏される機会の多い作品です。
宗教音楽からおすすめ1選
グローリア ニ長調 RV.589
ヴィヴァルディの宗教音楽の中では、現在でも演奏される機会の多い作品です。グローリアと付く作品は他にもいくつか作曲されていて、「RV.588」や「RV.590」などがあります。楽器と声楽で約30分かけて演奏される、12曲で構成された作品です。
作曲された年や背景はわかっていませんが、宗教音楽の作曲を依頼されていた、ピエタ慈善院と契約していたころの作品ではないかと考えられています。
このようなラテン語の宗教曲を歌う時に、歌詞が同じような気がすると感じたことがある方は多いかもしれませんが、もともと決まった文章があるようです。この12曲の内の第1曲目「Gloria in excelsis Deo」は、このままの歌詞を繰り返し歌うような形になっています。
>>アントニオ・ヴィヴァルディってどんな人?その生涯や性格は?
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