エンリケ・グラナドス『ゴイェスカス』の解説・分析。楽曲編成や聴きどころは?

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エンリケ・グラナドス(1867-1916)はスペイン国民楽派を代表する作曲家の一人です。幼い頃から音楽の才能を発揮し、ピアニスト、作曲家、音楽教育の分野で多大な功績を残しました。マヌエル・ド・ファリャやイサーク・アルベニスとともにスペインの民族音楽を世界的なものにしたほか、晩年はアメリカへわたり、オペラ『ゴイェスカス』で大きな成功を収めています。そこで今回は、グラナドスの名曲のなかから、組曲・オペラとして名高い『ゴイェスカス』を解説します。
両バージョンについて紹介しますので、聴き比べて楽しんでみてください。

ピアノ組曲『ゴイェスカス』について

『ゴイェスカス』は1911年に作曲されたピアノ組曲です。グラナドスの後期を代表するピアノ作品であり、カタルーニャ音楽院で行われた初演は大成功となりました。

日本でも全音音楽出版社から教本が出ているので、ご存知の方も多いかもしれません。
本作には「恋する若者たち」という副題が付けられており、それぞれの作品にもタイトルが付けられた「標題音楽」となっています。

そもそも組曲とは?

クラシック音楽に限らず、「組曲」という言葉を耳にすることがあると思います。
しかし、「組曲」についてよく知らない方も多いのではないでしょうか。簡単に説明すると、「組曲」とは独立した作品を繋ぎ合わせ、一つの作品とする形式のことを言います。

ムソルグスキー作『展覧会の絵』が良い例ですね。その始まりはルネサンス期とされ、ロマン派時代にはオペラや舞台音楽から抜粋して、管弦楽曲とするのが通例となりました。

「ゴイェスカス」の意味

タイトルの「ゴイェスカス」とは、「ゴヤ風の音楽」を意味するスペイン語です。本作は、スペインを代表する画家フランシスコ・デ・ゴヤの絵画にインスピレーションを受けて作曲されたため、このタイトルが付けられました。しかし、具体的な作品と楽曲が関連していることはないとも言われています。作品が映像的なのは、ゴヤの影響によるものだったのですね。

楽曲編成について

本作は全6曲からなる2部構成となっています。それぞれのタイトルは以下の通りです。
演奏時間は、全曲通しでおよそ1時間とされています。

第1部

1、愛の言葉
2、窓辺の語らい
3、燈し火のファンタンゴ※1
4、嘆き、またはマハと夜鳴きウグイス※2

第2部

5、愛と死
6、終曲(幽霊のセレナード)
補巻
7、わら人形
8、ゴヤ風セレナード

※1、ファンダンゴ・・・スペイン発祥のダンスで、フラメンコのダンスが有名。
ギターやカスタネット、手拍子で演奏される。
※2、夜鳴きウグイス・・・西洋ウグイスとも呼ばれ、日本ではナイチンゲールの名で親しまれています。

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オペラ版『ゴイェスカス』について

ピアノ組曲版『ゴイェスカス』の成功からおよそ4年後の1915年、グラナドスの元にオペラ版への依頼が舞い込みます。オペラは1915年に完成され、パリのオペラ座で公演される予定でした。

ところが、第1次世界大戦の影響により初演は中止となり、その後1916年1月にアメリカのメトロポリタン歌劇場で初演となります。初演は大成功を収め、グラナドスはアメリカでも注目の作曲家として知られるようになりました。

オペラ自体も人気作となりましたが、なかでも第1場と第2場の間奏曲が大人気となり、のちにグラナドス本人により、ピアノ独奏曲に編曲されています。

楽曲編成について

オペラというと長い印象がありますが、本作『ゴイェスカス』は、全1幕3場で構成された比較的コンパクトなオペラです。演奏時間も約1時間程度なので、初めてオペラを聴く方の入門として良いかもしれません。

<簡単なあらすじ>

物語は、若者たちがどんちゃん騒ぎをするところに闘牛士パキーロが登場するところから始まります。やがて若い士官フェルナンドが訪れると、2人は令嬢ロザーリオをめぐって対立することに。事態は決闘にまで発展し、やがてその日を迎えますが・・・。

サルスエラ形式とは?

本作はスペインの伝統形式である、サルスエラ形式が採用されています。
サルスエラとはスペインの「抒情的オペラ音楽」のことで、バロック時代(1630年頃)から20世紀に至るまで続く伝統形式です。台本もスペイン語で書かれているのが特徴で、音楽よりもセリフに重点が置かれる傾向にあります。

グラナドス最後の傑作

アメリカで大成功を収めたグラナドス。しかし不幸にも、このアメリカ渡航が彼の運命を決定づけるものとなりました。オペラの初演から2ヶ月後の1916年3月。グラナドスはスペインへの帰路につきますが、英仏海峡を渡る際にドイツ軍の魚雷攻撃を受け、48歳という若さでこの世を去りました。もしグラナドスがもう少し生きていてくれたら、本作以上の傑作が生み出されたかもしれません。

まとめ

今回はグラナドスの人気作、ピアノ組曲・オペラ『ゴイェスカス』を紹介しました。
どちらの版も、スペインの情熱とグラナドスのロマン主義が融合した傑作だと思います。

おもにピアノ曲で知られるグラナドスですが、オペラ版『ゴイェスカス』は「円熟期の最高傑作」と称されていますので、この記事を機会にぜひ一度聴いてみてはいかがでしょうか。
作品の随所にグラナドスの美しい旋律が登場しますので、きっと楽しめると思いますよ。

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