アレクサンドル・スクリャービン ピアノソナタ第2番「幻想ソナタ」エチュード「悲愴」の解説。分析。聴きどころや難易度は?

出典:[amazon]Scriabin Edition

ロシアの作曲家アレクサンドル・スクリャービン(1872-1915)は43年という短い生涯のうちに小品含め100曲以上作曲しました。そのうち、半数以上がピアノ曲です。
今回は、ピアノ大好きスクリャービンの曲の中でも比較的有名な「ピアノソナタ第2番」と「12のエチュード練習曲より<<悲愴>>」の二曲について解説していきます。

ピアノソナタ第2番<<幻想ソナタ>> Op.19

<<幻想ソナタ>>の名でもお馴染みのピアノソナタ第2番は、スクリャービンが20歳の時に作曲し始めた曲です。この時代の曲は前衛的なものではまだなく、ショパンのような抒情的なメロディーを纏ったものが多いです。

「海」がテーマの曲

<<幻想ソナタ>>は、スクリャービンがまだモスクワ音楽院在学中に着手し、1897年に出版したものです。この曲は、スクリャービンが黒海に遊びに行った際見た海の様子からインスピレーションを得て作られたもので、水面の輝きや波の動きが如実に伝わってくる作品です。

曲は第一楽章と第二楽章から構成されており、スクリャービン曰く第一楽章は海の凪を、第二楽章は嵐を表現しているそうです。
実際、第一楽章はショパンを思わせる優しいメロディーが耳心地良いのに対し、第二楽章は激しく打ち付ける波を思わせるダイナミックな技巧とメロディーが心を打ちます。

構成と難易度

<<幻想ソナタ>>は二つの楽章から成り立っていますが、そのバランスは第一楽章が七割、第二楽章が三割といったところでしょうか、ほかの作曲家のソナタの楽章編成に比べてアンバランスさが目立ちます。また第一楽章、第二楽章両方合わせても演奏時間は10分足らずと短くまとめられているのも珍しいと言えます。
メロディー自体は、まだ前衛的な要素というのは感じられませんが、楽章編成の点からは既に既成概念を打ち破る、スクリャービンの勢いと斬新さが感じられます。

スクリャービンやラフマニノフといったロシア作曲家の作品というのは、多くが難易度の高いものに分類される傾向にあります。
スクリャービンのこの<<幻想ソナタ>>も難易度の高い曲として認識されています。スクリャービン作品の最高難易度の曲はピアノソナタ第7番の<<白ミサ>>、同第9番の<<黒ミサ>>が有名ですが、<<幻想ソナタ>>はそれらよりもやや下(やや優しい)部類に分類されます。最高難易度ではありませんが、かなり難易度が高い曲なので、それなりの技量が要求されます。

12のエチュード練習曲より<<悲愴>Op.8-12

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12のエチュード練習曲は1894年頃に作曲されました。その中の12番目の曲に<<悲愴>>というものがあり、12曲の中では最も有名で難しいとされています。

ショパンの<<革命>>を意識した曲

<<悲愴>>はフレデリック・ショパンの<<革命>>を念頭に、その練習のために作曲されたものです。そのため、オクターヴと跳躍音程が複雑に組み合わされており、曲のほとんどが手を開いてオクターヴを連打するという、なかなか手に負担がかかる曲になっています。オクターヴだらけ、それもオクターヴで技量を必要とするパッセージが豊富な練習曲というのもレアなため、オクターヴを不得意とする人にはもってこいの練習曲といえます。

スクリャービン本人は、ラフマニノフのように大きな手を持つピアニストではありませんでしたが、この練習曲は大好きだったようで、好んで弾いていたそうです。

哀愁漂う美しい旋律は、どこかロシア的でありショパン的であり、聴く者の心を捕えます。アンソニー・ホロヴィッツの演奏をYouTubeで見ることができます。メロディーももちろん聴きごたえがありますが、ホロヴィッツの大きな手がオクターヴを連打する様もなかなか見ごたえがあるので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

構成と難易度

オクターヴの連打、オクターヴの技量などが要求されるこの曲は、最難関の難易度よりはやや劣る、上級レベルに分類されます。つまり、先にご紹介した<<幻想ソナタと>>と同じぐらいのレベルということです。

演奏時間は大体2分半と短いですが、最初から最後まで手は開きっぱなしな上、鍵盤の下から上までの豊富な運動量を必要とするため、かなり体力を消耗されるものとなっています。

ピティナのF級課題曲にもなるなど、技術力が問われる作品ではあるので、それなりにテクニックを身に着けてから臨むのが良いでしょう。

まとめ

スクリャービン作品「ピアノソナタ第2番<<幻想ソナタ>>」と「12のエチュード(練習曲)より<<悲愴>>」を解説してきました。
双方、学生時代に作られたものなので、<<プロメテウス>>のような調性離脱を図ったメロディーはまだ全面的には現れません。
スクリャービンの音楽は前衛的で、斬新で慣れないという方や、どこか苦手と苦手意識をお持ちの方でも、今回ご紹介した二曲に関しては問題なく聴いていただけるでしょう。双方演奏時間も短いので、ちょっと何か聴きたいという時に最適です。

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