チェリスト ジャクリーヌ・デュ・プレの生涯。その経歴は?性格や死因、演奏の評判は?

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ジャクリーヌ・デュ・プレ(1945-1987)は、20世紀最高の女性チェリストと称されるイギリス出身のチェリストです。天才少女と呼ばれ、日本でも多くのファンを獲得していましたが、難病を患い、若くして亡くなりました。
今回は、そんなジャクリーヌ・デュ・プレの短すぎる生涯について、経歴はもちろん、演奏の評判などについても解説していきます。

ジャクリーヌ・デュ・プレの生涯

ジャクリーヌ・デュ・プレは1945年の1月26日にイギリスのオックスフォードに生まれます。母親が音楽を志していた人だったこともあり、姉と共に幼い頃から音楽を学ばされていました。

4歳にしてチェロの虜になった天才少女

早くから音楽の勉強をしていたジャクリーヌは、ある日ラジオから聞こえてくる音に心を奪われました。その音の正体はチェロでした。「なんと柔らかで、美しく、情熱的な音なのか・・・!」とすっかり恋をしてしまったそうです。

ジャクリーヌの母は、自身はピアニストを目指していたため、娘たちにもピアニストを目指させようとしていたようですが、末娘のチェロへの目覚めは大歓迎でした。チェロを習い始めたジャクリーヌは、持ち前の絶対音感、一度聴いた曲を完璧に覚えてしまう抜群の記憶力、天性の芸術的センスでもって、チェリストとしての才能を開花させていきました。

16歳でデビューを飾る

ジャクリーヌは、チェロをトルトリエやロストロポーヴィチらに師事し、11歳の時にはチェロ奏者に贈られるスッジア奨学金を得ています。そして、たった16歳にしてロンドンで華々しくデビューを飾りました。デビュー翌年にはエルガーのチェロ協奏曲を演奏し、大成功を修めます。大変難解なエルガーのチェロ協奏曲をここまで弾く人物はいないと大絶賛され、以後、エルガーのチェロ協奏曲はジャクリーヌの十八番になりました。

1965年のBBC交響楽団のアメリカ楽旅に同行し、アメリカでもその卓越した技巧と豊かな感受性を発揮し、絶賛を博しました。以後、最も有能な女流チェロ奏者として演奏、録音と精力的に活躍します。

天才ピアニストとの結婚

アメリカで人気をさらった翌年の1966年のクリスマス・イブ、ジャクリーヌに運命的な出会いが訪れます。当時天才ピアニスト兼指揮者として人気を博していたダニエル・バレンボイムと出会い、お互いの音楽的才能に惹かれ合った二人は瞬く間に意気投合します。

翌1967年の6月15日にエルサレムでジャクリーヌとダニエルの挙式が執り行われました。バレンボイムに惚れ込んだジャクリーヌは、キリスト教からダニエルと同じユダヤ教に改宗し、結婚したのでした。

因みに、この時ダニエルは25歳、ジャクリーヌは22歳でした。クラシック音楽界のゴールデンカップルとして注目を浴びた夫妻は、その後一緒に演奏活動を行い、世界を飛び回りました。

難病との闘いと早すぎる死

人気絶頂の夫婦は、演奏活動が多忙を極め、特にジャクリーヌは体調に悩まされるようになりました。26歳の時には、演奏中に指の感覚がなくなり、立ち上がった際にも足の感覚がなくなったため転倒するなど、異常な事態に度々見舞われるようになります。

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そして28歳の時に「多発性硬化症」という診断が下り、引退を余儀なくされました。その2年後の1975年にエリザベス女王よりOBE勲章を授与されますが、この時にはもう四肢が麻痺し、車椅子生活だったようです。

チェロを弾くことはできなくとも、まだ自分にはやれることがあると、後進指導や舞台でのナレーターを担うなど、病を患ってからも精力的に活動していました。しかし、42歳の10月、ついにその短すぎる生涯に幕を下ろすことになりました。

ジャクリーヌ・デュ・プレの性格や演奏の評判

ジャクリーヌ・デュ・プレは、悲劇的な人生とは対照的に、いつでも明るく、チェロを愛してやまなかったと言われています。

強い精神力を持つ女性

4歳で恋をしたチェロと28歳で事実上の別れを経験したジャクリーヌ。大好きなチェロを演奏することがたった24年しかかなわなかったというのは、悲劇的という他ありません。難病を患ったジャクリーヌがチェロを弾けなくなってしまう事実に精神的大ダメージを受けたことは想像に難しくありません。

精神が衰弱し、妄想癖まで出たジャクリーヌを家族は懸命に支えました。その支えもあってか、元々のタフな精神力なためか、ジャクリーヌは再び人生に希望を見出します。それは、「人生は車椅子からでも始められる」という彼女の言葉からもうかがい知ることができます。大好きなチェロを弾くことはかなわずとも、

大好きな音楽から身を引くことはせず、むしろ積極的に関わりを持とうと最後まで踏ん張ったのでした。

高い集中力と情熱的な演奏スタイルで聴衆を魅了

ジャクリーヌの奏でるチェロの音色は、濃厚でかつ繊細な美しさをまとっています。高い集中力、身体全体で情熱的に演奏するスタイルはジャクリーヌの演奏の特徴と言えます。演奏中に見せる美しい笑顔から「スマイリー」という愛称まで付いたジャクリーヌ。身体を大きく揺らすごとにきらめく長い金髪が照明の光の中でキラキラして美しかったと言われています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ジャクリーヌ・デュ・プレは、チェロの天才少女で、将来を期待されていましたが、多発性硬化症という難病に阻まれ、人気絶頂の中チェリスト人生に幕を下ろしました。

まだまだこれから、もしくはやっとここから本当のチェリスト人生と思っていた矢先の絶望はジャクリーヌを大いに苦しめました。しかし、そこで自殺をしようなどというネガティブな考えに飲み込まれることなく、車椅子生活になっても自分ができることをしながら、最後まで音楽に携わり続けました。

チェリストとしての素晴らしさはもちろん、一人の人としても優れた考えと精神力を持っていた人物だということがよく分かりました。ジャクリーヌの演奏は、特に夫であったダニエル・バレンボイムとの録音が多く残されているので、気になるという方はぜひ一度聴いてみて下さい。

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