ジョアキーノ・ロッシーニ オペラ「セビリアの理髪師」や「ウィリアム・テル」の解説と分析。楽曲編成や聴きどころは?

出典:[amazon]Gioachino Rossini: Overtures

ロッシーニはイタリアやフランスで活躍した、ロマン派初期を代表する作曲家です。ロッシーニは、30曲以上のオペラを作曲しており、そのなかでも「セビリアの理髪師」と「ウィリアム・テル」は現代でも演奏機会の多い作品として有名です。「ウィリアム・テル」に使われている作品には、「運動会」でお馴染みの作品も含まれているので、誰しも聞いたことがある作品だと思います。美食家としても有名で、みずから高級レストランを経営するほどでした。今回は、音楽家兼美食家という珍しい経歴の持ち主であるロッシーニの代表作「セビリアの理髪師」と「ウィリアム・テル」について解説します。

セビリアの理髪師について

「セビリアの理髪師」は、フランスの劇作家ボーマルシェの戯曲をもとに、ロッシーニが24歳のころに作曲されました。セビリアとはスペインの都市で、ビゼーの「カルメン」やモーツァルトの「フィガロの結婚」の舞台になったアンダルシア州の州都です。「セビリアの理髪師」はボーマルシェ3部作の1作目にあたり、フィガロの結婚(モーツァルト作曲)、「罪ある母」(ミオー作曲)と続きます。

ロッシーニの「セビリアの理髪師」は当初はこのタイトルではなく、「アルマヴィーヴァ、あるいは無駄な用心」というタイトルで発表されたそうです。というのも、ジョヴァンニ・パイジエッロという作曲家が「セビリアの理髪師」のタイトルですでにオペラを作曲したため、それに遠慮してタイトルを変更したと言われています。しかし最終的にはロッシーニの「セビリアの理髪師」の成功によって、こちらが有名となりました。

ベートーヴェンがこの作品をとても気に入り、ロッシーニに対して「オペラ・ブッファ以外のものを書いてはいけない」と絶賛したという話が残されています。それほど、当時から人気のある作品として上演されていました。

楽曲編成は?

全2幕の構成で、演奏時間はおよそ2時間30分です。簡単なあらすじをご紹介します。

ロジーナという美しい女性にアルマヴィーヴァ伯爵は恋をします。伯爵はなんとかして恋を成就させようとしますが、ロジーナの後見人バルトロによって邪魔されてしまいます。困った伯爵は、何でも屋の理髪師フィガロに助けを求め、手を変え品を変え最後に恋を成就させるという物語です。

聴きどころは?

一番有名な部分は、第1幕でフィガロが早口で自慢話をするシーンです。このときに歌われる「私は町の何でも屋」は喜劇オペラのアリアとして、もっとも有名な作品の一つとされています。
また第1幕2場で、アルマヴィーヴァ伯爵の求愛を受けたときにロジーナが歌う「今の歌声は」も大変有名です。

ウィリアム・テルについて

「ウィリアム・テル」はドイツの文豪フリードリヒ・シラーの原作をもとに作曲されたオペラです。ロッシーニが37歳のときの作品であり、また最後のオペラでもあります。1829年、王立アカデミーにおいて初演されました。

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作曲のスピードが早いことで知られていたロッシーニですが、この作品を作曲するのに、5ヶ月かかったと言われています。歌詞はフランス語で書かれているため、フランス語の「ギヨーム・テル」が本来の呼び名ですが、日本ではドイツ語のままの「ウィリアム・テル」で親しまれています。

「ウィリアム・テル」はフランスのオペラ様式のグランド・オペラの形式をとっています。
グランド・オペラは、「歴史的に興味を惹きつける作風であること」、「大合唱やバレエがついていること」、「異国情緒を備えていること」などいくつかの条件があるとされています。そしてロッシーニの「ウィリアム・テル」は、その後のグランド・オペラ黄金時代の幕開けとなる作品として位置付けられています。

上演された当初から大人気の傑作で、この作品についてドイツの作曲家ベルリオーズは、「第1幕と第3幕はロッシーニが作曲した。しかし第2幕は神が作った」と絶賛しています。

ロッシーニが亡くなる1868年には、上演500回の記念公演が行われ、ロッシーニ自身も記念公演を堪能したそうです。

楽曲編成は?

全4幕で構成されている大オペラです。そのため演奏時間が4時間程度と非常に長く、カットされて上演されることも多い作品です。オペラ自体も大変人気のある作品ですが、「ウィリアム・テル序曲」として単体で演奏される機会も多く、日本でも頻繁に演奏されている名曲です。

「ウィリアム・テル序曲」はロッシーニお得意の自作転用がなされておらず、短い序曲ながらも「夜明け」「嵐」「静寂」「スイス軍の行進」の4部構成となっています。とくに「夜明け」と「スイス軍の行進」がさまざまな場面で用いられ、非常に有名な作品です。

聴きどころは?

クラシックをあまり聞かない方だと、4時間に及ぶこの作品を全て聞くのは困難かと思います。そんな方のために、上記の「ウィリアム・テル序曲」を聴くことをおすすめします。始まりの第1部「夜明け」は、誰しも一度は聴いたことのあるメロディーですので、導入部分として最適です。また、第4部「スイス軍の行進」は、ロッシーニの作品の中でももっとも有名とも言えるメロディーです。このメロディーを聞けば、運動会でのリレーを思い出してしまうことでしょう。物語を盛り上げる序曲らしく、迫力に満ちた作品となっています。

まとめ

今回はロッシーニの代名詞とも言える作品、「セビリアの理髪師」と「ウィリアム・テル」をご紹介しました。どちらも有名ですが、とりわけ「序曲」の演奏機会が多い作品です。プログラムにこれらの作品を見かけたら、ぜひコンサートに足を運んでみてはいかがでしょうか。

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