ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン「月光ソナタ」の解説。難易度や弾き方の注意点は?

出典:[amazon]Beethoven: Piano Sonata No. 1-32, Piano Concertos No. 1-5

ベートーヴェンは偉大な作曲家として知られていますが、実はピアニストとしても優れた演奏家だったようです。この記事では、そのベートーヴェンが作曲した「月光ソナタ」の第1楽章について、解説をしていきます。

ベートーヴェンについて

生涯

1770年にドイツのボンという場所で誕生したベートーヴェンは、宮廷歌手をしていた父親からスパルタ教育を受け、音楽を学びました。しかしこの父親は浪費家で、ベートーヴェンに音楽教育を施したのは、その才能をあてにするためだったようです。そして母親が亡くなってしまうと、ベートーヴェンは家計を支えながら弟の世話をする生活を送りました。

しかし、ハイドンとの出会いをきっかけにウィーンに出ると、その後は各地で演奏旅行を行うようになりました。ところが、20代後半から耳の聞こえが悪くなる症状が悪化していくと、28歳ではほとんど耳が聞こえない状態になってしまいます。そしてこの記事で紹介をする「月光」を作曲した翌年、遺書を遺して自殺を考えるまでに至りますが、ピアニスト兼作曲家から作曲のみに専念するようになると、その後もたくさんの有名作品を作曲しました。

40歳くらいには耳が全く聞こえない状態になってしまったとされていますが、その後の作品には、現在ベートーヴェンの作品の中でも特に有名な交響曲第9番、日本で「第九」と呼ばれている作品が作曲されています。

そして1827年の3月にベートーヴェンは亡くなりますが、2万人が参列するほどの葬儀が行われたそうです。

人物像

生涯独身だったベートーヴェンですが、恋多き人生だったということもよく知られています。また冗談好きの変わり者だったそうですが、癇癪を起すと暴力的になるという一面も持っていたようです。さらに、父親に似てしまったのかお酒がとても好きだったということもよく知られています。

見た目に関しては、身長はあまり高くなく165cmくらいだったようです。また、弟子にはあのカール・ツェルニーがいました。ベートーヴェンの逸話には、ツェルニーの証言がよく登場しています。

エピソード

代表的なベートーヴェンのエピソードと言えば、メトロノームとの関係が有名ではないでしょうか。現在一般的となっているあのメトロノームは、ベートーヴェンが最初に価値を見出したとされていて、当時はまだ広く知られていないものだったようです。

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代表的な作品

ベートーヴェンは作曲を幅広いジャンルで行いましたが、その中でも代表作に多いのが、交響曲やピアノ曲です。交響曲と言えば、「運命」や「第九」が日本ではお馴染みの作品ではないでしょうか。またピアノ曲で有名な作品としては、あの「エリーゼのために」があげられます。作曲家自身がピアノの演奏を得意としていたことからか、ベートーヴェンの作品にはピアノ曲が多く残されていて、中でもピアノソナタは32曲も作曲されました。「月光」以外では、「悲愴」や「情熱」が特に有名です。

月光ソナタの解説

この作品は1801年に作曲され、弟子だった伯爵令嬢のジュリエッタ・グイチャルディに献呈されました。しかし、14歳も離れていたこの女性との恋愛は、身分の差もあり上手くはいかなかったようです。またこのピアノソナタは「月光」として知られていますが、実際のタイトルは「ピアノソナタ 第14番 幻想曲風ソナタ」でした。ベートーヴェン自身が付けた「幻想曲風ソナタ」というタイトルよりも、「月光」という名前の方が広く知られるようになったのは、ルートヴィヒ・レルシュタープという人物のコメントからだったようです。

この記事で主に紹介するのは第1楽章のみですが、実際の構成は3楽章になっていて、演奏時間が約15分になる作品です。

演奏解説

難易度

今回紹介する第1楽章に関しては、難易度がそこまで高くはありません。ただし、冒頭から演奏している同じリズムを刻む音に対して、しばらくするとppで別のメロディが入ってきます。違ういくつかのメロディを片方の手で演奏するというのは、音を追うだけなら難しくなくても、それぞれの流れを美しく聴こえるようにするということを考えると少し難しく感じませんか?このことから、譜読み自体はそこまで難易度が高くないと思いますが、曲を演奏する際に表現についてよく考えようとすると、少し難度が上がります。

注意点

冒頭の指示に、「十分に音を保ってゆるやかに」という表記があるので、この第1楽章を演奏している間はそれを忘れないようにして下さい。

ペダルの指示があるのでそこに頼りがちになってしまいますが、指で音と音をつなげるという意識もとても大切になります。この時に、音が1音ずつ「コツコツ」と鳴ってしまうと作品のイメージとは違ってしまうので、音の鳴り方にも意識を集中してみて下さい。

また、同じ形が繰り返される中の臨時記号は、意外と見落としたり覚えにくかったりします。もし視覚からの情報だけでは譜読みが大変だと感じることがあれば、実際に演奏されている音源を何度もよく聴いて、耳から覚えるというのも良いと思いますので試してみて下さい。その時に、楽譜を手元に置いて見ながら聴くのも良いかもしれません。

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