モーリス・ラヴェルの作品の特徴及び評価。すごさは?おすすめ代表作10選

出典:[amazon]Best Of Ravel

モーリス・ラヴェルは19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍した、印象派を代表するフランスの作曲家です。ピアノ、管弦楽、オーケストラ、バレエ曲など多岐にわたるジャンルで数多くの名曲を世に残しました。なかでも「ボレロ」や「水の戯れ」「スペイン狂詩曲」などは、現在もなお愛されている名曲です。そこで今回は、ラヴェルの作品の特徴やおすすめ10選をご紹介します。

ラヴェルの作品の特徴

ラヴェル作品の特徴は、緻密に計算された音楽構成と、ジャズなどの音楽的要素をうまく取り入れた点にあります。またピアノ曲のオーケストレーションが非常に素晴らしく、ラヴェルが編曲した作品は、その精巧さから、作曲家のストラヴィンスキーによって「スイスの時計職人」と称されるほどでした。編曲の代表作としては、ムソルグスキーの「展覧会の絵」が有名です。

ピアノ曲のみならず、管弦楽やバレエ音楽にも偉大な才能を発揮したラヴェル。「ボレロ」「ダフニスとクロエ」などの卓越したバレエ音楽を作曲し、絶大な人気を獲得しました。

ラヴェルの評価は?

ラヴェルの音楽は、斬新さのあまり評価が分かれることが多かったそうです。その理由としては、ソナタ形式など伝統的な音楽を基礎とした一方で、エリック・サティなどの革新的音楽を支持したからだと考えられます。ラヴェルの作品はいつも賛否両論ありましたが、裏を返せば、それはラヴェルが世間からいかに注目されていたかの証拠でもあります。

生前のラヴェルの評価がどのようなものであったとしても、ラヴェルが残した音楽は、時代を超えて今もなお多くの人に愛されています。

ラヴェルのすごさとは?

ラヴェルの音楽のすごさは、それまでの伝統的な古典主義を尊重しながらも、自身のルーツであるスペイン音楽やジャズの要素を取り入れ、新しい音楽を生み出したところにあります。さらに、アジアの民族音楽にも関心を持ち、積極的に作品に取り入れたところから、ラヴェルの懐の広さがうかがえます。

また、ラヴェルは相手の才能を見抜く力も優れていました。有名な話に、アメリカの作曲家ガーシュインとの会話があります。まだそれほど有名ではなかったガーシュインが、ラヴェルに作曲の方法を尋ねたときのことです。そのときラヴェルはガーシュインに「君はもう一流のガーシュインなのだから、二流のラヴェルになる必要はないよ」と答えたそうです。

おすすめ10選

さまざまなジャンルで人気を獲得したラヴェル。ボレロが特に有名ですが、名曲は他にもたくさんあります。以下では、ラヴェルのおすすめ曲10選をご紹介します。どの曲もラヴェルらしい、繊細で華やかな名曲ばかりです。

亡き王女のためのパヴァーヌ

ラヴェルの初期を代表する名作です。画家ベラスケスが描いた「マルガリータ王女」の肖像画からインスピレーションを受けて作曲したと言われています。パヴァーヌとは、16世紀ごろにフランスで流行した、ゆったりとした舞踊音楽です。

水の戯れ

1901年に作曲されたピアノ曲です。発表した当時はサン・サーンスによって酷評されたようですが、現代ではラヴェルを代表する作品の一つです。ソナタ形式で作曲されており、超絶技巧が求められる難曲です。

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鏡(組曲)

1905年に作曲された5つの作品からなるピアノ組曲です。それぞれの作品は、ラヴェルが当時所属していた芸術グループのメンバーに謹呈されています。

夜のガスパール

フランスの詩人ルイ・ベルトランの詩集から着想を得て作曲されました。3曲のピアノ曲からなる組曲です。第3組曲の「スカルボ」は、数多くあるピアノ曲の中でも屈指の難曲と言われています。

左手のためのピアノ協奏曲

戦争で右手を失ったピアニスト、パウル・ヴィトゲンシュタインのために作曲された、ラヴェル最初のピアノ協奏曲です。難曲で知られており、完璧に弾きこなせなかったヴィトゲンシュタインとは、以降険悪になったと言われています。

ピアノ協奏曲

ラヴェルが亡くなる6年前に書かれた代表作です。左手のためのピアノ協奏曲の翌年に発表されました。母の故郷であるバスク地方の音楽や、ジャズの要素も取り入れた作品で、華やかで斬新なピアノ協奏曲です。

スペイン狂詩曲

ラヴェルが最初に発表した管弦楽です。狂詩曲とは、リストの「ハンガリー狂詩曲」などに代表されるように、自由な音楽形式と民族的な内容を表現する音楽形式の一つです。

ダフニスとクロエ

同タイトルのバレエ曲として作曲されました。「ダフニスとクロエ」とは、古代ギリシャ時代に書かれた恋愛物語です。現在でも人気があり、たびたび演奏会のプログラムに入る名曲です。

クープランの墓

ラヴェル最後のピアノ曲であり、後期を代表する傑作です。6曲で構成された組曲で、それぞれの作品は戦死した友人たちに捧げられています。のちに4曲が管弦楽へ編曲されました。

ボレロ

ラヴェルが作曲した曲の中でもっとも有名な作品です。スネアドラム(小太鼓)が最初から終わりまで同じリズムを刻むのが特徴です。映画音楽やフィギュアスケートで使用されるなど、とても人気のある曲です。

まとめ

今回は、ラヴェルの音楽的特徴とおすすめ10選をご紹介しました。きっと気になる作品が見つかったと思います。ラヴェルの作品は、ゆったりとして癒される曲や情景が目に浮かぶ作品、華やかなピアノ協奏曲など、どれも名曲ばかりです。また、印象派の影響を色濃く受けていたラヴェルの音楽は、「絵画的な音楽」と言っても良いかもしれません。

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