レイフ・ヴォーン・ウィリアムズの作品の特徴及び評価。おすすめ代表作5選

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エドワード・エルガー、ベンジャミン・ブリテンと並び20世紀イギリスを代表する作曲家レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ。日本ではあまり名前は知られていませんが、祖国イギリスでは、「グラン・オールドマン(偉大なる老人)」の愛称で親しまれ、現在でも多くのイギリス人から尊敬の念を集めています。

また、ヴォーン・ウィリアムズは作曲家として活動する傍ら、イングランドの民謡収集にも尽力し、その功績により、晩年には最高勲章である「メリット勲章」を授与されています。

では、イギリスを代表する偉大な作曲家にはどのような作品があるのでしょうか。今回は、ヴォーン・ウィリアムズの作品の特徴やおすすめ作品を紹介します。

ヴォーン・ウィリアムズの作品の特徴や評価について

ヴォーン・ウィリアムズの作品にはどのような特徴があるのでしょうか。ここでは2つに絞って簡単に解説します。

9つの交響曲を発表

20世紀イギリスを代表する作曲家といえば、ヴォーン・ウィリアムズの他にエドワード・エルガーやベンジャミン・ブリテン、『惑星』で知られるグスターヴ・ホルストなどが挙げられます。

どの作曲家もイギリス音楽に多大な貢献をし、現在でも多くの聴衆に愛されていますが、交響曲の多さではヴォーン・ウィリアムズがダントツです。エドガーでさえ3曲(うち1曲は未完成)、ブリテンやホルストは代表的な交響曲を残していません。

そういった中にあって、ヴォーン・ウィリアムズが9作の交響曲を残したというのは、特筆すべき点です。残念ながらヴォーン・ウィリアムズも「第9の悲劇」に見舞われてしまいましたが、85年に及ぶ生涯で『海の交響曲』『ロンドン交響曲』『田園交響曲』など優れた作品を世に送り出しことは、ヴォーン・ウィリアムズの偉大な功績の1つと言えるでしょう。

イングランドの音楽復興に貢献

30歳で作曲家デビューという、比較的遅咲きの音楽家だったヴォーン・ウィリアムズ。しかしヴォーン・ウィリアムズは作曲家としての活動以外にも、19世紀から20世紀初頭のイギリス音楽の復興に尽力したことでも知られています。

録音技術の発達とともに、イングランド各地の民謡や童謡などが失われて行くことを危惧したヴォーン・ウィリアムズは、自らの足でイングランド各地に赴き、音楽収集に没頭します。

そしてその活動を元に、イングランドの国民音楽についての論考を1冊の本にまとめたのが『国民音楽論』です。こうしたヴォーン・ウィリアムズの活動がイギリス音楽のアイデンティティの確立に大きな役割を果たしたと考えられています。

ヴォーン・ウィリアムズのおすすめ代表作5選

歌曲、交響曲、協奏曲など数多くの作品を残したヴォーン・ウィリアムズ。なかでも『バス・テューバと管弦楽のための協奏曲』は人気が高く、現在でも演奏機会の多い作品です。

ピアノ協奏曲

ヴォーン・ウィリアムズ唯一のピアノ協奏曲。1926年に作曲が開始され、5年後の1931年に完成となりました。伝統的な3楽章構成で、演奏時間はおよそ25分です。1933年、BBC交響楽団の演奏と女性ピアニストのハリエット・コーエンの独奏で初演されました。

唯一のピアノ協奏曲ながら、初演の評判は芳しいものではありませんでしたが、同時期の作曲家バルトークはこの作品に感銘を受けたと言われています。また、あまりに難曲であったため、友人の助言により、のちに『2台のピアノのための協奏曲』に編曲したことでも知られています。

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海の歌(行進曲)

イギリスに伝わる3つの「海の歌曲」を行進曲にアレンジした作品です。演奏時間は4分と短いものの、作品は三部形式で構成され、イギリスでは誰しもが知る名曲です。元は軍楽隊用の『イギリス民謡組曲』第2楽章として編曲されたもので、そこから抜粋して本作が発表されました。

1942年にはヴォーン・ウィリアムズ自身による管弦楽版も発表されています。また1950年代にBBCで使用されたことが契機となり、広くイギリス国民に知られることとなりました。

海の交響曲(交響曲第1番)

ヴォーン・ウィリアムズは生涯で9曲の交響曲を発表しており、本作はその記念すべき第1作です。オーケストラの他に、ソプラノとバリトン独唱が加わるのが特徴。最初の交響曲でありながら、その楽曲編成は最も規模が大きく、ヴォーン・ウィリアムズを代表する作品として親しまれています。

1910年、伝統ある音楽祭「リース音楽祭」にて作者自身の指揮により行われた初演は、大成功の内に幕を閉じました。

作品にはアメリカの詩人ホイットマンの詩集『草の葉』がテキストとして採用されており、その点も多くの聴衆から本作が支持を得た理由かもしれません。第1楽章冒頭から作品の壮大さが窺える名作です。

交響曲第9番

『海の交響曲』から47年後の1957年に発表された、ヴォーン・ウィリアムズ最後の交響曲です。1958年4月に初演され、初演から4ヶ月後の8月26日にヴォーン・ウィリアムズは帰らぬ人となりました。4楽章構成で、演奏時間は35分程度です。85歳の時の作品とは思えない、勇壮でエネルギッシュな躍動感に溢れています。

このことだけでも、ヴォーン・ウィリアムズが音楽に対してひたむきに献身していたことが感じられるでしょう。作品はロイヤル・フィルハーモニック協会に献呈されました。

バス・テューバと管弦楽のための協奏曲

ヴォーン・ウィリアムズの作品中でも演奏機会の多い作品として知られています。テューバの協奏曲はとても珍しく、あらゆるクラシック曲の中でも「唯一の協奏曲」といっても過言ではありません。本作はロンドン交響楽団50周年を記念する作品として作曲され、作品は同交響楽団に献呈されています。

3楽章構成で、演奏時間は12分とやや短いですが、ヴォーン・ウィリアムズを代表する作品として、広く演奏会で取り上げられています。テューバ以外にも、吹奏楽で使用されるユーフォニアムやファゴットで演奏されることもあります。

まとめ

ヴォーン・ウィリアムズの作品の特徴やおすすめ作品について解説しました。どの作品もエネルギッシュで、躍動感に溢れるものばかりです。クラシック音楽ファン以外の方は、聴く機会があまりないかもしれませんが、今回の記事を参考にぜひヴォーン・ウィリアムズの作品を聴いてみてはいかがでしょうか。

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