ポール・デュカス『魔法使いの弟子』『ピアノ・ソナタ変ホ長調』の解説・分析。楽曲編成や聴きどころは?

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フランス近代音楽の基礎を築いた作曲家ポール・デュカス。伝統を重んじながらも、ロマン派音楽や印象主義を取り入れた手法は、同時代のみならず後世のクラシック音楽に大きな影響を与えました。また、熱心な音楽教育者でもあったデュカスは、オリヴィエ・メシアンやダリウス・ミヨーといった、20世紀を代表する音楽家を育て上げ、音楽史においても重要な位置を占めています。

作曲家としての業績は少ないものの、今回紹介する交響詩『魔法使いの弟子』や『ピアノ・ソナタ変ホ長調』は、デュカスの代表作として現在も人気です。

交響詩『魔法使いの弟子』とは

交響詩『魔法使いの弟子』はデュカスが1897年に作曲した管弦楽曲です。本作は音楽に物語性を持たせた交響詩のスタイルで作曲され、デュカスが残した作品のなかでも、もっとも人気のある作品として知られています。また、音楽評論家から作曲家に転身したデュカスの出世作でもあります。

物語の原案には、ドイツの文豪ゲーテが出版した同タイトルのバラード(詩)が採用されており、物語の場面を映し出すデュカスの巧みな管弦楽法が魅力です。
本作を聞けば、ベートーヴェンやブラームスなどの楽曲構成やドビュッシーが用いた全音音階など古典やロマン派、印象主義といったさまざまな要素が一度に楽しめるでしょう。

「箒(ほうき)のテーマ」が有名ですので、作品名を知らない方でも1度は聴いたことがあるかもしれません。

ディズニーアニメに採用され、有名になる

完成度の高い作品として初演時から好評を博した本作ですが、ディズニーアニメで採用されたことで、さらにその人気に火がつきます。
映画『ファンタジア』の中では、魔法使いの「弟子」役をミッキーマウスが演じ、『魔法使いの弟子』の音楽に合わせて物語が進行します。話だけを聞くとコミカルなように思えますが、クラシックの名曲と、当時最先端の映像技術が融合した芸術性の高い作品です。

また、映画『ファンタジア』はステレオ放送が用いられた最初の映画であり、音響技術においても歴史的映画に位置付けられています。なお、映画全編にわたり音楽監督を務めたのは、指揮者レオポルト・ストコフスキーです。

『魔法使いの弟子』のあらすじ

本作はゲーテの物語に基づくと上述しました。そこで以下では簡単なあらすじを紹介します。

老いた魔法使いが留守にする間に、弟子に掃除を任せるところから物語が始まります。
最初は真面目に掃除にはげんでいた弟子ですが、すぐに飽きてしまい、覚えたての魔法を使い箒に水ずくみをさせる呪文を唱えます。箒は次々と水をくみますが、弟子は魔法を解く方法を教わっていません。
弟子は箒を止めるために、鉈(なた)で真っ二つにしますが、箒の水汲みはとまりません。
次第に部屋が水浸しになり、弟子が溺れかけたところに魔法使いが帰宅し魔法を唱えると、水はようやく止まるのでした。

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楽器編成について

本作の魅力は色鮮やかな管弦楽法です。そしてデュカスが生み出した独特の管弦楽法は、モーリス・ラヴェルの作曲スタイルにも影響を与えたと言われています。
本作で使用されている楽器構成を見てみましょう。カッコ内は編成数。

・ピッコロ(1)
・フルート(2)
・オーボエ(2)
・クラリネット(2)
・バスクラリネット(1)
・ファゴット(3)
・コントラファゴット(1)
・ホルン(4)
・トランペット(2)
・コルネット(2)
・トロンボーン(3)
・ティンパニ(3)
・シンバル
・トライアングル
・バスドラム
・グロッケンシュピール
・ハープ
・弦5部

『ピアノ・ソナタ変ホ長調』について

デュカスのもう一つの代表作に『ピアノ・ソナタ変ホ長調』があります。
本作は1899年から1900年にかけて作曲された作品であり、熟考に熟考を重ねて作曲されたデュカス渾身の1曲です。40年を超える作曲家活動において、デュカスはわずか4曲しかピアノ曲を残していませんが、本作はフランスのピアノ曲の中でも屈指の名曲として現在も愛されています。
余談ですが、1890年代のデュカスは極端に作曲数が少なく、10年間で完成させた作品は本作の他に、序曲『ポリュークト』、『交響曲ハ長調』、交響詩『魔法使いの弟子』の3曲のみと言われています。その点からも、本作は「貴重な」デュカスの作品と言えるでしょう。

作品は全4楽章で構成され、演奏時間は45〜50分程度の大作です。
1901年にエドゥアール・リスレの演奏で初演が行われ、大成功を収めました。この作品については、辛口で知られるドビュッシーも賛辞を送ったと伝えられています。
また、1906年には楽譜出版され、カミーユ=サン・サーンスに献呈されました。

フランス生まれのピアノ・ソナタの金字塔を打ち立てたデュカスですが、その背景には国民音楽協会の会長をつとめた高名な作曲家セザール・フランクの影響があるとされています。

まとめ

今回はデュカスをもっとも代表する作品2曲を解説しました。どちらもデュカスの卓越した音楽的センスが存分に発揮されている名曲です。とくに、交響詩『魔法使いの弟子』はクラシック初心者の方でも聴きやすく楽しい作品ですので、何を聴いたら良いか迷っている方にはうってつけの作品ではないでしょうか。
もっとデュカスの作品を知りたいという方は、前回の記事でも作品を紹介していますので、ぜひそちらも参考にしてみてください。

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