モデスト・ペトローヴィチ・ムソルグスキーの作品の特徴と代表曲おすすめ4選

出典:[amazon]The Best of Mussorgsky (Remastered)

モデスト・ペトローヴィチ・ムソルグスキーは1839年にロシアに生まれた作曲家です。無造作な髪形に無精ひげをたくわえた独特な風貌の肖像画が有名ですが、名前だけ聞いてもパッと代表曲が浮かばない方もいらっしゃるのではないでしょうか?特出してメジャーな作曲家ではないですが、実は誰もが知っている有名曲を手がけています。

本記事では、そんな有名曲を含めたムソルグスキーの代表曲をご紹介します。

作品の特徴

ムソルグスキーは未完成の楽曲が大変多く残されており、中にはムソルグスキーの死後、別の作曲家により補筆されて完成に至った曲もあります。

ムソルグスキーは音楽を学び始めた頃から晩年まで、生涯にわたって歌曲を書き続けました。そのため作品数として多いのは歌曲ですが、後世になり有名になったのはピアノ曲の「組曲 展覧会の絵」や管弦楽曲の「禿山の聖ヨハネ祭りの夜」(=交響詩「禿山の一夜」)です。

ムソルグスキーが存命中、彼の楽曲は大胆かつ独特すぎるあまり、世間から評価されることはありませんでした。それでも彼の斬新な作曲スタイルはのちの印象派の作曲家に大きな影響を与えました。

それでは次に、ムソルグスキーの代表曲を見ていきましょう。

組曲「展覧会の絵」

「死んだガルトマンの創造精神が私の頭蓋骨に訴えている。やがて頭蓋骨は静かに輝きはじめる。」

これは、ムソルグスキーが展覧会の絵の自筆の楽譜に書き残した一文です。

ムソルグスキーの友人である、画家のヴィクトル・ハルトマンが39歳の若さで亡くなりました。ハルトマンの遺作展に足を運んだムソルグスキーはインスピレーションを受けて、そこからたった3週間でこの楽曲を書き上げました。

もともとはピアノ曲として書いたムソルグスキーですが、この曲も例にもれず彼の存命中には日の目を浴びなかった作品です。
彼の死後、同じ「ロシア5人組」として活躍したリムスキー=コルサコフが、ムソルグスキーの独特な手法の多くを誤りとして修正し、組曲「展覧会の絵」が正式に世に出版されたそうです。
その後ラヴェルにより編曲された管弦楽曲版が広く有名になりました。

冒頭のプロムナードを除き第10曲からなる組曲。その中でも特に有名なのは冒頭や各小品の間に挟まれる「プロムナード」、第10曲の「キエフの大きな門」です。
この2つはテレビでもよく使われることが多いので耳なじみがあるでしょう。

ピアノ版

管弦楽版

交響詩「禿山の一夜」

元々は「聖ヨハネ祭前夜の禿山」というタイトルで作曲されましたが、他の曲同様にムソルグスキーの存命中に演奏される機会に恵まれませんでした。ムソルグスキーの死後にリムスキー=コルサコフにより編曲され、交響詩「禿山の一夜」として普及された曲です。

ロシアの国民性や自国の伝統を尊重した芸術表現を意識していたムソルグスキー。「聖ヨハネ祭前夜、禿山に地霊チェルノボーグが現れ手下の魔物や幽霊、精霊達と大騒ぎするが、夜明けとともに消え去っていく」とのロシアの民話を元に作られています。ヨーロッパでは夏至に伴う言い伝えや伝統的な祭りが多くあり、本曲もそれに結びつけられたモチーフがテーマとなっています。

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魔物たちの大騒ぎを音楽で表現する、というアイディアは、彼が19歳のころから思案していました。

本曲はあまりに独創的であり、別の作曲家から批判され修正を求められましたが、ムソルグスキーはそれに応じませんでした。そのため本曲はお蔵入りとなってしまいます。その後、幾度となく他のオペラの一部に紛れ込ませようとしたり、なんとかこのアイディアを表出しようと目論むムソルグスキーでしたが、なかなか上手く事が運ばなかったという背景がありました。

結局この曲もムソルグスキーの死後、世に広まることになります。
ディズニーが作成したアニメーション映画「ファンタジア」に使われていますので、きっと聞き覚えのある方もいらっしゃるでしょう。
独創的で少しおどろおどろしい旋律に、夏至の夜に魔物たちが大騒ぎしている場面を重ねて聞いてみるとおもしろいかもしれません。

歌劇 ボリス・ゴドゥノフ

ムソルグスキーが生前に唯一完成させたオペラです。

初稿である原典版は1869年に完成しましたが、登場人物に女性が極端に少なく、プリマドンナ役がいない作品でした。歌劇の醍醐味であるヒロインの存在や男女の悲恋にスポットが当たらなかったことから、上演が拒否されることになります。その後、1873年に大改訂されたものが完成され、なんとか上演されました。

ムソルグスキーの生前に上演された貴重な楽曲の一つではありますが、当時は批評家筋の受けが悪く、十回程度しか上演されなかったそうです。しかしながら聴衆には好評だったとされています。

本曲はプロローグと4幕から構成されています。オペラとだけあって演奏時間はおよそ3時間です。
オペラの台本もムソルグスキー自身が手掛けました。1600年前後のロシアの動乱の時代をテーマにしたストーリー展開です。

歌曲「死の歌と踊り」

生涯を通して歌曲を制作していたムソルグスキーは、管弦楽曲やピアノ曲に比べて歌曲の作品数が多いです。「死の歌と踊り」は彼が多く作曲した歌曲の中で代表的な作品となりました。

1877年に完成こそしたものの、彼の死後の1882年に出版されました。この曲も他の曲と同様に本人の存命中に演奏される機会はありませんでした。

「死」を扱った全4曲からなる歌曲集です。ショスタコーヴィチの編曲により管弦楽伴奏版もあり、この版で演奏される機会も多いです。

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最後に

いかがでしたか?ムソルグスキーは他のクラシック作曲家に比べてあまり聞きなれない作曲家かもしれませんが、代表曲はテレビなどで取り扱われる機会も多く、旋律自体は聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

特に「展覧会の絵」と「禿山の一夜」は有名です。独特かつ不思議で、時におどろおどろしくもある特徴的な曲ばかりです。ぜひ聞いてみてくださいね。

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