カミーユ・サン=サーンス「動物の謝肉祭」「白鳥」の解説と分析 楽器・楽曲編成は?

出典:[amazon]カミーユ・サン=サーンス/CAMILLE SAINT-SAËNS

サン=サーンスはフランスを代表するロマン派の作曲家であり、代表作「動物の謝肉祭」は今も多くの人々に親しまれている名曲となっています。発表当時は、近しい友人にだけ演奏され、存命中は一般公開されませんでした。その理由は、曲の内容が非常にアイロニカル(皮肉的)であったのと、サン=サーンスが楽譜出版を拒否していたからだとされています。サン=サーンスの死後に一般公開され、大変な人気を博しました。そこで今回は、サン=サーンスの「動物の謝肉祭」を解説します。

動物の謝肉祭とは

「動物の謝肉祭」の解説の前に、謝肉祭について説明します。簡単に説明すると、「謝肉祭」とは、キリスト教の節気(せっき)を祝うお祭りのことで「カーニバル」として日本でも知られています。地域によってさまざまな形式があるようです。

「動物の謝肉祭」はサン=サーンスが51歳のときの作品で、タイトルには「動物学的大幻想曲」という副題が添えられています。友人のチェリストが主催した音楽会の為に作曲されました。全14曲からなる組曲で、もともとは室内楽作品ですが、オーケストラ編成でも演奏されることがあります。また、作曲家のシューマンにも「謝肉祭」という作品があります。

第1曲 序奏と獅子王の行進曲

ライオンが堂々と歩く姿と、それに続く動物たちの行進が表現されています。ライオンの咆哮(ほうこう)がピアノで表現されており、ライオンの勇ましさが楽しい一曲です。

第2曲 雌鳥と雄鶏

ピアノと弦楽器の掛け合いによる雌鳥と雄鶏の鳴きマネが楽しい作品です。

第3曲 ラバ

ラバとは思えない、上下の激しいピアノ曲です。一瞬で目の前を駆け抜ける、ラバの意外な側面を表しているのかもしれません。

第4曲 亀

オッフェンバックの「天国と地獄」のメロディーをとてもスローにアレンジしたパロディー作品です。よく聞くと有名なメロディーが聞こえてきます。

第5曲 象

象は、ベルリオーズの「ファウストの劫罰」とメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」のパロディーです。象のゆっくりと歩く音をコントラバスで表現しています。

第6曲 カンガルー

装飾音が多用され、ぴょんぴょんとカンガルーが飛び回る姿が目に浮かぶ作品です。

第7曲 水族館

水族館の水が光に反射して、キラキラと輝く情景表現が美しいメロディーです。とても人気のある曲で、そのメロディーから水族館の「青さ」が伝わります。「のだめカンタービレ」の作中でも用いられました。

第8曲 耳の長い登場人物

ラバの鳴き声をヴァイオリンで表現しています。一説によると、サン=サーンスを批判していた音楽評論家に対する皮肉を表した作品と言われています。

第9曲 森の奥のカッコウ

クラリネットによるカッコウが美しい作品です。連続するピアノの和音が、周りの静寂さを強調しています。

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第10曲 大きな鳥籠

小鳥が自由気ままに遊ぶ姿を、フルートによって見事に再現されています。

第11曲 ピアニスト

わざとらしく下手にピアノを弾くという面白い発想の曲です。演奏家によって見せ方が違うので、その点も興味を引く作品です。なお練習している曲は「チェルニー」です。

第12曲 化石

サン=サーンス自身が作曲した「死の舞踏」や「きらきら星」などが織り交ぜられた楽しい一曲です。出てくる作品は、「すでに化石となったような作品」という皮肉が込められています。

第13曲 白鳥

もっとも有名な作品です。ピアノ伴奏に、チェロの優雅で美しい響きが聞く人の心を癒します。バレエ音楽にも採用されている名曲です。

第14曲 終曲

これまでの1から13までの主題をまとめた、軽快なフィナーレです。

楽器・楽曲編成は?

オーケストラで演奏される場合と室内楽の場合では少し編成が異なりますが、大まかな楽器・楽曲構成は次のようになっています。演奏時間は20分程度です。

  • フルート
  • クラリネット
  • グラスハーモニカ(回転させたグラスの縁に、水で濡らした指をつけて演奏する楽器ですがチェレスタで代用されることが多いです)。
  • シロフォン(木琴の一種です)
  • ピアノ(2)
  • ヴァイオリン(2)
  • ヴィオラ
  • チェロ
  • コントラバス

白鳥について

「白鳥」はサン=サーンスが作曲した「動物の謝肉祭」の13番目の曲です。サン=サーンスの存命中は「動物の謝肉祭」の楽譜出版を許可しませんでしたが、この「白鳥」の楽譜だけは出版を許可しました。

ピアノが静かな湖面を表現し、そこに舞い降りて優雅に泳ぐ姿をチェロのメロディーが美しく表現しています。この優雅なメロディーは、フィギュアスケートの音楽などでも使用されたので、ご存知の方も多いかもしれません。

また、ロシアの振付師ミハイル・フォーキンが、バレリーナのアンナ・パヴロワのために振り付けた「瀕死の白鳥」には、サン=サーンスの「白鳥」が使われています。4分ほどの短いプログラムですが、アンナ・パヴロワは生涯で4000回ほど踊ったとされています。

楽器・楽曲編成は?

チェロの独奏が美しい作品です。
楽器編成は、ピアノ(2)、チェロ(1)となっています。ピアノは1台でも演奏されることがあります。

まとめ

いかがでしたか?今回はサン=サーンスの「動物の謝肉祭」と「白鳥」をご紹介しました。どの作品もとてもユニークで、聞いていて楽しい作品ばかりです。演奏される機会の多い作品ですので、ぜひ一度、コンサートホールに足を運んで聞いてみてください。

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