エリック・サティ「ジムノペディ」「グノシエンヌ」の解説と分析。楽曲編成や難易度は?

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エリック・サティは、1866年フランスに生まれた作曲家です。生涯独身で自由奔放な生活を送りました。しかし、サティが残した作品は、現代音楽の源となり20世紀の音楽に多大な影響を及ぼしました。奇想天外な作品が多いイメージのサティですが、私たちがよく耳にする美しい作品も多くあります。なかでも「3つのジムノペディ」や「グノシエンヌ」はヒーリング音楽として、あるいは映画音楽の作中曲として今でも愛されている名曲です。

そこで今回は、サティの「3つのジムノペディ」と「グノシエンヌ」についてご紹介します。

3つのジムノペディについて

「ジムノペディ」はサティの作品のなかでもっとも有名な曲と言えるでしょう。CMやヒーリング音楽としても使われていますので、一度は聞いたことがある方も多いと思います。
ゆったりとして落ち着いた雰囲気の作品ですが、この曲は「退屈だ」といってパリ音楽院を退学したすぐ後に書かれた、若かりし頃の作品です。「ジムノペディ」を作曲したのは、サティが22歳のときでした。

「ジムノペディ」というタイトルの由来は、古代ギリシャの祭り「ギュムノパイディア」からきているとされています。その祭りの模様が描かれた壺を見てインスピレーションを受けて、サティはこの曲を作曲しました。「3つのジムノペディ」は、どれもゆっくりとした作品ですが、実際の「ギュムノパイディア」はギリシャの神々を祭る壮大な祭りだったそうです。

「3つのジムノペディ」は冒頭にそれぞれ、次のような指示が書かれています。
・ジムノペディ第一番・・・ゆっくりと苦しみをもって
・ジムノペディ第二番・・・ゆっくりと悲しさをこめて
・ジムノペディ第三番・・・ゆっくりと厳粛に

楽曲編成は?

ピアノ独奏のために作曲された作品です。しかし第一番と第三番は、友人であったドビュッシーによって管弦楽曲に編曲されました。その理由は、あまり表舞台に出たがらないサティの名前を広めるためだと言われています。第二番を編曲しなかった理由についてドビュッシーは「編曲して聞かせるには少し退屈だから」と答えたそうです。

難易度は?

3曲ともゆったりとした作品で、音符もそれほど多くないのでピアノ初心者の方でも演奏できる作品です。難易度としては、ブルグミュラー程度とされています。しかし、全音ピアノピースの難易度では「C」難度とされており、これはドビュッシーの「月の光」やリムスキー・コルサコフの「熊蜂の飛行」と同レベルです。そのことから考えると、譜面の見た目以上の難しさがあるのかもしれません。

技術面では、和音が多用されていることから、同じ音量で和音をきれいに奏でる難しさがあります。またクレッシェンド・デクレッシェンドの表情の付け方で曲の雰囲気が変わってしまうので、作品に対する十分な理解が必要と考えられます。

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グノシエンヌについて

グノシエンヌは第一番から第六番までのピアノ曲です。正式に「グノシエンヌ」のタイトルが付けられているのは第一番から第三番までで、第四番から第六番はサティの死後に発見されました。第四番から第六番もグノシエンヌとして扱われている理由は、作風が第一番から第三番までに似ているためです。最初の「3つのグノシエンヌ」は、サティが24歳のころの作品であり、落ち着いた曲調ながらも「ジムノペディ」同様に若い時期の作品です。

「グノシエンヌ」というタイトルの由来は諸説あるようですが、こちらも古代ギリシャがモチーフとされています。古代ギリシャのクレタ島の有名な街グノス(クノスと表記することも)の住人を意味するという説や、クレタ島にあった都市の名前という説もあります。

1889年に開催されたパリ万博を訪れたサティは、ルーマニアの民族音楽や、バリ島のガムラン音楽に触れ、それぞれの民族音楽のエッセンスに着想を得てグノシエンヌを作曲しました。

第一番から第三番は1890年に作曲されました。死後に発見されて、のちに「グノシエンヌ」として扱われるようになった第四番から第六番は、それぞれ作曲年代が異なっています。

第四番・・・1891年
第五番・・・1889年(この作品には小節線が書かれています)
第六番・・・1897年

楽曲編成は?

ピアノによる独奏です。第一番から第三番の「3つのグノシエンヌ」は、作曲家のプーランクによってオーケストラに編曲されています。

難易度は?

技術的難易度は高くはありませんが、「3つのジムノペディ」との最大の違いは、小節線や拍子が書かれていないところにあります。またグノシエンヌは各メロディに対して、「とび出さないで」「ちょっとした親密さをもって」や「自分自身を頼みにして」などの独特の指示が添えられており、演奏には深い解釈や高い表現力が求められます。

まとめ

今回は、サティの「3つのジムノペディ」と「グノシエンヌ」について解説しました。どちらも楽譜の難易度としてはそれほど難しくはないようです。しかし、サティが楽譜に記した詩的な表現を理解し、演奏に反映させるのはなかなか難しい曲かもしれません。「サティ弾き」と言われる人がいるのも納得できます。

今回ご紹介した2つの作品は、どちらも比較的簡単に手に入りますので、ピアノを再開したい方や、サティの音楽に触れてみたいという方は、ぜひ演奏してみてはいかがでしょうか。

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