イーゴリー・ストラヴィンスキーの作品の特徴とは?代表曲おすすめ4選

出典:[amazon]Stravinsky conducts Stravinsky

20世紀を代表するロシアの音楽家イーゴリー・ストラヴィンスキー(1882-1971)と言えば、ストラヴィンスキーの三大バレエ音楽『火の鳥』、『ペトルーシュカ』、『春の祭典』を挙げる人は少ないでしょう。
しかし、ストラヴィンスキーはバレエ曲を専門的に書いていたわけではありません。
今回はストラヴィンスキーの作品の特徴を明らかにしつつ、おすすめの代表曲を4つご紹介いたします。

西欧的である、物語性が強いストラヴィンスキーの音楽

ストラヴィンスキーは、大学在学中にロシアの偉大な作曲家リムスキー=コルサコフ(1848-1908)に作曲を習っていました。
ベートーヴェンやシューベルトなどのドイツものの技法を主に学んでいたと言います。
その勉強が後のストラヴィンスキーの作曲活動にも大きな影響を及ぼしていたようで、ストラヴィンスキーの音楽はどちらかというと西欧的であるという位置付けにあります。
しかし、ストラヴィンスキーの音楽は、ただベートーヴェンやシューベルトなどのドイツものを踏襲したに過ぎないものではありませんでした。
ロシア民謡、ロシア民話など、昔からロシアにあるもの、ロシアに根付いたものを曲に取り入れ、彼なりに自身のアイデンティティを表現していたのです。
それゆえ、ストラヴィンスキーの音楽は、物語性豊かでかつファンタジックな内容に仕上がっています。

カメレオン作曲家ストラヴィンスキーの音楽変遷を知る

ストラヴィンスキーは、作曲家として活動した約70年間、様々な試みをしたことでも知られています。
ストラヴィンスキーの代表曲が何であるかを知る前に、まずはストラヴィンスキーの音楽がどのように変化していったのかをみていきましょう。

習作時代(1989-1904)

この時代はまだ作曲家への道を模索していた時代で、主にコルサコフの元で勉強していた時になります。
ベートーヴェンなどの作曲技法を学びながら、自身も作曲を試み、それをコルサコフが添削するという流れの中で試行錯誤を繰り返していました。
コルサコフの後押しもあり、この時期に作曲家になる決意をしました。
因みに、この時期の作品には『タランテッラ』や『ピアノのためのエチュード』などがあります。

バレエ音楽時代(1910-1919)

ストラヴィンスキーの最盛期とも言えるのが、このバレエ時代でしょう。
ストラヴィンスキーの名を世に知らしめた出世作『火の鳥』を始め、ストラヴィンスキーの三大バレエ音楽が誕生したのはちょうどこの時期です。
ロシア民話や民謡を取り入れ、音楽には複雑なリズム構造を絡め、原始的かつ表出的な音楽を書き上げました。

新古典主義時代(1920-1945)

1917年のロシア革命はストラヴィンスキーの創作活動にも大きな影響を及ぼしました。
故国を追われたストラヴィンスキーはフランスの地で新たな音楽を模索します。
それが新古典主義と呼ばれるものでした。
新古典主義とは、ハイドンやベートーヴェンなどの古典主義時代の音楽思考を尊重しつつも、新しい音楽であるジャズの語法を取り入れることで、新たな彩を添える作風を言います。
ストラヴィンスキー自身、自分の音楽に革命を起こしたとも捉えることができます。
この時期には『プルチネッラ』や『エボニー協奏曲』が生み出されました。

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宗教音楽時代(1952-1966)

1951年、十二音技法で有名なシェーンベルグが逝去したことをきっかけに、ストラヴィンスキーはシェーンベルクが研究していた十二音技法に興味を持ちます。
シェーンベルクの十二音技法から更に発展したセリエル音楽の研究を熱心に行い、その技法を用いた宗教曲の作曲に取り組みます。
晩年は特にセリエルな音楽作曲に精力的に取り組み、『カンタータ』や『レクイエム』などの宗教曲を多数作曲しました。

ストラヴィンスキーの音楽を堪能できる代表曲おすすめ4選

今回は、上記に挙げたストラヴィンスキーの音楽時代区分に従って、各時代の代表曲を1曲ずつ選定しました。

『花火』(1908年)

4番目に作られた『花火』はコルサコフに師事していた時代に作られた作品ですが、師の娘の結婚に際してお祝いのために作り上げた作品でした。
しかし、書き上げたのと時を同じくして師コルサコフは他界したため、演奏を聴かせることは叶いませんでした。
初演はそれから2年後の1910年。
ドイツものの堅実さを感じさせながらも、若さと希望が音の端々から滲み出る音楽は、スクリャービンの並外れた才能の片鱗のごとく、キラキラと光っています。
オーケストラのための幻想曲でありながら、演奏時間はわずか5分と短いですが、短い中で音楽の構成がきっちりなされている点が高く評価されている作品です。

『火の鳥』(1911)

ロシア民話に基づいて作られた、バレエ・リュスのためのバレエ音楽作品第一号が『火の鳥』です。
ディズニー映画『ファンタジア 2000』の「火の鳥」でも同曲の一部が用いられるなど、色々な場面で使用されている曲なので、知っているという方も多いでしょう。
民話に合わせた曲ということもあり、とても抒情的でファンタジックな内容になっています。
クライマックスへの盛り上がりは、幻想的であり、「火」をイメージさせるものであり、感動的な仕上がりになっています。

『プルチネッラ』(1920)

イタリアの古典的なマスカレードをテーマにしたバレエ音楽作品で、ペルゴレージの作品をベースにストラヴィンスキーがオーケストレーション用に編曲したものです。
しかし、編曲とは言ってもストラヴィンスキーの試みとして近代的なリズムや和音配合が多数用いられたことから、原作からかなりかけ離れたものに仕上がってしまいました。
『プルチネッラ』はディアギレフがバレエ・リュスのために依頼したものでしたが、想像とは随分違う、前衛的なものに仕上がったことにディアギレフ本人も面食らったと言います。

『カンティクム・サクルム』(1955)

ヴェネツィア・ビエンナーレ国際音楽祭のために依頼された曲です。
ラテン語の宗教曲(合唱曲)ではあるのですが、十二音技法を用いたものであり、いわゆるな宗教曲とは一味も二味も違うものに仕上がっています。
不協和音が信仰や希望を逆説的に表現しているとも取れるのですが、宗教曲といえば天に通じる音楽と思って聴いていた観客にとっては受け入れがたいものに終わったようです。
そして、今でも好き嫌いがはっきり分かれる曲として有名です。
因みに、ストラヴィンスキーが本格的に曲に十二音技法を取り入れたのはこの曲が初めてでした。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
一人の作曲家であっても、時期によってこんなに違う音楽が作れるものなのかと驚かされます。
ストラヴィンスキーの音楽に興味を持ったという方は是非ここに挙げた4作品をまず聴き比べてみてください。

>>イーゴリー・ストラヴィンスキーってどんな人?その生涯や性格は?

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