ヨハン・シュトラウス2世の作品の特徴及び評価。おすすめ代表作8選

出典:[amazon]J.シュトラウスII世:歴史的演奏のアンソロジ-第1集

ヨハン・シュトラウス2世(以下シュトラウス2世)は19世紀初頭に生まれ、ヨーロッパ全土で活躍した作曲家です。なかでもワルツで人気を博し「ワルツ王」や「ウィーンの太陽」とまで称され、現在でも多くの人々に愛されています。毎年恒例のウィーンフィルのニューイヤー・コンサートではシュトラウス親子の作品が演奏され、世界的な行事となっています。そこで今回は、シュトラウス2世の作品の特徴やおすすめ代表作をご紹介します。

ヨハン・シュトラウス2世の作品の特徴と評価

シュトラウス2世は、生涯でおよそ500曲を作曲しそのうち170曲がワルツでした。父のシュトラウスも「ワルツの父」として有名でしたが、「ウィンナ・ワルツ」というジャンルを確立したのはシュトラウス2世の大きな功績と言えるでしょう。

また当時のヨーロッパの音楽界を文字通り席巻したシュトラウス2世は、同時代の多くの音楽家たちから賞賛されました。たとえば「バラの騎士」などの作曲者として有名なリヒャルト・シュトラウスはシュトラウス2世について、「ヨハン・シュトラウスこそ、とりわけ私を惹きつけ離さぬ最高の人」と絶賛し、また親友だったブラームスは「シュトラウスの音楽こそウィーンの血」であると述べています。さらに、シュトラウスと親交がありウィーン宮廷歌劇場の総監督をしていたマーラーは、シュトラウス2世のオペレッタ「こうもり」をレパートリーに加えるなど、当時の伝統を覆すほどの影響がありました。

その他、ワーグナーやチャイコフスキーなどにも影響を与え、シュトラウス2世は名実ともに19世紀最高の作曲家とされています。

ウィーンの森の物語

1868年に作曲されたワルツです。ウィーン舞踏場「新世界」にて初演されました。「ウィーンの森」の情景からインスピレーションを得て作曲され、シュトラウス2世の作品のなかでも「3大ワルツ」に数えられています。この曲を聞いて感動した皇帝フランツ・ヨーゼフは「これで奴隷や囚人も憧れの歌を持つようになったな」と賞賛しました。
演奏時間はおよそ10分程度です。

オペレッタ「こうもり」

数あるオペレッタのなかでも、もっとも演奏機会のある最高傑作の一つです。1874年に作曲され、全3幕で構成されています。作曲家オッフェンバックからオペレッタの作曲を勧められたシュトラウス2世は、ワルツのみならず多くのオペレッタも作曲し「オペレッタの王様」とも呼ばれるようになりました。演奏時間は2時間30分程度です。時代や情勢により、セリフが変更されるのもこのオペレッタの面白さの一つです。

ワルツ「朝刊」(「朝の新聞」とも)

「コンコルディア舞踏会」にてシュトラウス2世が率いるオーケストラによって初演されました。ウィーンのジャーナリスト協会の依頼で作曲された作品で、オッフェンバックが作曲した「夕刊」という作品に対応していると言われています。

ワルツ「春の声」

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1882年に作曲され、シュトラウス2世のワルツのなかでもとくに有名な作品です。このワルツは、ピアニストのアルフレート・グリュンフェルトに献呈されています。フランツ・リストと即興演奏パーティーで同席したのがきっかけで作曲され、アン・デア・ウィーン劇場での初演は大成功となりました。シュトラウス2世の3度目の結婚で得た幸福感が溢れた作品です。

ピチカート・ポルカ

1869年に、シュトラウス2世と弟のヨーゼフによって作曲されました。作曲のきっかけは、二人で弾いたピアノ連弾から着想を得たと言われています。弦楽器の弦を弾く「ピチカート」という技法だけで作曲された遊び心のある作品で、初演は大成功となりました。この作品の23年後に「新ピチカート・ポルカ」も作曲されています。なお、原典版には打楽器も編成されているそうです。

ポルカ「狩り」

オペレッタ「ウィーンのカリオストロ」のなかから抜粋された作品です。シュトラウス2世は、自身のオペレッタから抜粋しワルツやポルカにアレンジして発表しました。1875年にウィーンの舞踏場で開催された「プロムナード・コンサート」で初演され、指揮は弟のエドヴァルドが担当しました。ホルンやトランペットなどの金管楽器による「狩りの合図」が印象的な作品です。

オペレッタ「ジプシー男爵」

オペレッタ「こうもり」に次ぐシュトラウスを代表するオペレッタです。1885年、シュトラウスの60歳を記念して作曲され、誕生日の前日に初演されました。ハンガリーの作家、ヨーカイ・モールの作品がベースとなっています。作曲が早いことで知られていたシュトラウス2世ですが、この作品の完成に2年かかったそうです。初演は大成功となり、この作品以降、ハンガリーを題材としたオペレッタが多く作曲されました。

ワルツ「酒、女、歌」

シュトラウス2世の「10大ワルツ」の一つに数えられるワルツです。ジョセフ・ベルが書いた詩にシュトラウス2世が音楽をつけました。1869年に仮装舞踏会で初演され成功を収めています。このワルツは、ワーグナーが愛したことでも知られています。また、岩倉使節団が1882年にボストンに渡った際にコンサートで聞いたとも伝えられ、コンサート当日に指揮をしていたのは、シュトラウス2世本人だったそうです。

まとめ

いかがでしたか?今回は、シュトラウス2世の作品の特徴やおすすめ代表作をご紹介しました。シュトラウス2世の作品は、さまざまなところで使われているので「この曲もシュトラウス2世の作品なのか」と思われたのではないでしょうか。今回ご紹介した作品以外にも、素晴らしいワルツを残していますので、ぜひシュトラウス2世の作品を聞いてみてください。

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