カロル・シマノフスキーの作品の特徴及び評価。おすすめ代表曲4選

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カロル・シマノフスキーという人物をご存じですか?シマノフスキーは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したポーランド出身の作曲家です。ワルシャワ音楽院(現フレデリック・ショパン音楽大学)で作曲や対位法を学んだのち、作曲家グループ「若きポーランド」の中心メンバーとして、ポーランド作品の普及に務めました。

またイスラム文化や古代ギリシャの演劇にも関心を持ち、民族音楽的作品も多く残しています。あまり聞きなれない作曲家かもしれませんが、現代でも人気のある作曲家として、コンサートでもたびたびレパートリーに挙げられています。

今回はシマノフスキーの作品の特徴や、代表曲について解説します。

カロル・シマノフスキーの作品の特徴や評価

シマノフスキーの作品にはどのような特徴があるのでしょうか。
ここでは2つの特徴について解説します。

民族音楽による影響

19世紀後半から20世紀にかけての音楽は、自国の民族音楽を採用した「国民楽派」が全盛の時代でした。また、新古典主義や印象主義、無調音楽や12音技法などが登場したのもこの頃です。そのような時代の中、シマノフスキー自身もポーランドの民族音楽に着目し、自らの作品に吸収していきました。

とくにタトラ山脈での滞在に強い影響を受けており、その成果は『20のマズルカ』などの作品に顕著に現れています。

同時代の作曲家の良いところを吸収

シマノフスキー作品のもう一つの特徴は、「なんでも取り入れる柔軟性」にあります。
影響を受けた作曲家をざっと挙げるだけでも、ワーグナー、R・シュトラウス、スクリャービン、ドビュッシー、ラヴェル、ショパンなど、国も時代もさまざまです。
しかしこの柔軟性こそ、シマノフスキーが作曲家として成功する、大きな要因であったことに間違いありません。

シマノフスキーは作曲家として3度の転換点を迎えていますが、そのいずれの時期においても、これらの作曲家たちの影響が垣間見られます。

おすすめ代表曲4選

カロル・シマノフスキーのおすすめ作品を4つ紹介します。
ちょっとクセのあるシマノフスキー作品をご堪能ください。

交響曲第2番変ロ長調

1909年に作曲、1911年に初演された交響曲です。シマノフスキーは生涯で4曲の交響曲を作曲しており、そのなかでも本作は最長の作品です。現代音楽的な雰囲気とリヒャルト・シュトラウスのロマン派的旋律が混在したような印象を受けます。

全3楽章で構成されており、第2楽章と第3楽章は連続して演奏される「アタッカ」となっています。初演後はベルリンやライプツィヒなどでも演奏され、好評を博しました。演奏時間は35分程度とされていますが、指揮者の解釈により大幅に異なるのもこの作品が持つ魅力の一つです。

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交響曲第3番「夜の歌」

1916年に作曲された単一楽章による交響曲です。交響曲第2番とは異なり、自由な形式となっています。また本作には声楽が付けられており、ペルシャの詩人ジャラール・ルーミーの『カザル』という詩の中から歌詞が取られました。

1914年から作曲が開始され、2年後の1916年に完成したものの、戦争により初演が延期となり、1921年にようやく初演が行われました。ロンドンで華々しく初演を迎える予定でしたが、楽譜通りに演奏されず芳しい評価は得られなかったそうです。

弦楽四重奏曲第2番

シマノフスキーは室内楽曲も残しています。本作は1927年に作曲され、1929年にワルシャワ音楽院にて初演が行われました。また同年11月にはパリで初演され、成功を収めています。ポーランドの民族音楽をベースにしており、国民楽派的な作風が楽しめる1曲です。

フィラデルフィア音楽財団のコンクール作品として作曲したようですが、残念ながら入賞とはなりませんでした(その時の入賞者はバルトークだったそうです)。
3楽章で構成され、演奏時間はおよそ20分です。弦楽四重奏曲としては比較的小規模な作品なので、シマノフスキー入門に良いかもしれません。

ピアノソナタ第1番

シマノフスキーの初期を代表する作品の一つです。1900年代初頭に作曲が開始され、1907年に「若きポーランド」の第2回コンサートにて初演されました。ショパンの影響が強く見られ、良い意味で「ショパンらしさ」が感じられます。

1910年に開催されたショパン生誕100周年記念コンクールにおいて1位を獲得しており、シマノフスキーにとってのメモリアルな作品でもあります。4つの楽章から成り立っており、演奏時間はおよそ30分の大曲です。

まとめ

シマノフスキーの作品やその特徴について解説しました。シマノフスキーは同時代の作曲家から強い影響を受け、新古典主義や印象主義といった流行を巧みに取り入れた作曲家でした。そのため、初期作品から中期、後期作品を聴き比べてみると彼の変遷がわかり、より楽しめると思います。ストラヴィンスキーを思い起こさせる管弦楽法や、魅惑的なスクリャービンの旋律など、シマノフスキーの作品には魅力が溢れていますので、まだ聴いたことのない方は、ぜひ本記事をきっかけに作品を聴いてみてください。

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