ジャン・シベリウスの作品の特徴及び評価。おすすめ代表作7選

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ジャン・シベリウス(以下シベリウス)はフィンランドを代表する作曲家です。晩年は妻アイノとともにアイノラ荘で過ごし、作曲活動から遠ざかってしまいましたが、フィンランド国民にとってシベリウスの作品の影響力はとても大きいものでした。なかでもシベリウスの一番の代表作である「フィンランディア」は、フィンランド国民にとって第2の国歌とも言われています。そこで今回は、フィンランド国民に愛されたシベリウスの作品の特徴や、おすすめ代表作をご紹介します。

シベリウスの作品の特徴と評価

シベリウスの作品は、フィンランド民族に根ざした愛国的作品が多いのが特徴です。それと同時に、作品は北欧の大地を思わせるような幽玄(ゆうげん)で幻想的な作品が多いことで知られています。愛国的作品という意味で、代表作「フィンランディア」は、当時ロシア帝国の圧政に苦しんでいたフィンランドの人々に、勇気と希望を与えその後の独立の大きな支えとなりました。

生涯で7つの交響曲を作曲し、その作風はどれもフィンランドの民族叙事詩から大きく影響を受けています。そのためシベリウスの交響曲は、壮大なドラマを見ているような感覚を抱かせます。

生涯で100曲以上の作品を残したシベリウスは、「交響曲第1番」や「フィンランディア」の成功をきっかけに名声が高まり、フィンランドの人々にとってある種英雄的存在となりました。ドイツの哲学者で音楽研究家でもあったテオドール・アドルノなどからは手厳しい批判も受けましたが、シベリウス本人は全く気にしていなかったそうです。

20世紀半ばまで生きたシベリウスは世界的な作曲家として認知され、かつて「ヘルシンキ音楽院」と呼ばれていた音楽学校は「シベリウス音楽院」と名称が変更され、今でもフィンランド最高の音楽院としてその名を轟かせています。

おすすめ代表作7選

シベリウスのおすすめ作品を7つご紹介します。どれも聞きやすく、また幻想的な作品なので、お気に入りの曲がきっと見つかると思います。

レンミンカイネン組曲

シベリウスは、改訂癖があったことで知られていますが、この作品もその一つです。1890年代に作曲されましたが、現在私たちが聴いているこの作品は1950年代に改訂された最終版です。交響組曲という形式で、フィンランドの叙事詩「カレワラ」をもとに作曲されました。作品は4曲で構成されていて、第2組曲の「トゥオネラの白鳥」がとくに有名です。漫画の神様、手塚治虫の「0次元の丘」という作品に出てくるので、ご存知の方もいるかもしれません。

カレリア組曲

シベリウスは、1892年に妻アイノと結婚しました。この曲は、妻アイノと新婚旅行で訪れた「カレリア地方」の民族伝説からインスピレーションを得たと言われています。翌年、1893年にヘルシンキ大学の学生から野外歴史劇の作曲を依頼され作曲しました。初演はシベリウス自身が指揮をし好評を得ましたが、本人は納得がいかずに楽譜を破棄してしまったという話が残っています。

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悲しきワルツ

義兄で劇作家であった、アルヴィド・ヤルネフェルトの「クオレマ」という作品に音楽を付けた劇付随音楽です。「クオレマ」とはフィンランド語で「死」を意味します。悲しきワルツは「クオレマ」に使用されている作品の1つで、シベリウスの作品の中でも比較的耳にする機会が多い人気作です。

交響曲第5番

1915年に作曲された交響曲です。1919年に改訂され、シベリウス生誕50年を祝って作曲されました。シベリウスは7つの交響曲を作曲していますが、全体的に幻想的な作品が多い中、この交響曲第5番は明るく明快なメロディが特徴です。その理由としては、自身の生誕50年を祝うためのものであったのと、喉にできた腫瘍の手術が成功した喜びも含まれていると言われています。第1次世界大戦と発表の時期が重なり、初演は翌年の1916年となりましたが、大成功を収めました。

交響詩タピオラ

1925年に作曲され、1926年に初演されました。レンミンカイネン組曲と同様に、叙事詩「カレワラ」をモチーフに作曲された作品です。シベリウスの交響詩の作品の中でも最高傑作と評されています。演奏時間は20分程度で、交響曲第6番・第7番とほぼ同時期に作曲されました。まさにシベリウスの円熟期の作品と言えますが、この時期を境に作品の発表をほとんどしなくなってしまいました。

クレルヴォ交響曲

1892年に作曲された、シベリウス初期の作品です。合唱つきの管弦楽曲という珍しいスタイルがとられています。演奏時間はおよそ1時間で、初演は大成功を収めました。こちらもフィンランドの叙事詩「カレワラ」から題材を得ており、クレルヴォとは「カレワラ」に出てくる登場人物で、クレルヴォ交響曲はクレルヴォの生涯を描いた作品です。作品の構想はウィーン留学中に練っており、愛国的作品を作りたいというシベリウスの思いから作曲されました。

ヴァイオリン協奏曲

シベリウス唯一のヴァイオリン協奏曲であり、20世紀を代表するヴァイオリン協奏曲の1つでもあります。1903年に作曲されましたが、その後ブラームスのヴァイオリン協奏曲に感化され、1905年に改訂されました。非常に難曲な作品として有名です。協奏曲でありながら、全体として交響曲のような厚みのある作風なのが特徴で、シベリウスの傑作の一つとして現在でも愛されています。

まとめ

いかがでしたか?今回はシベリウスのおすすめ代表作を7つご紹介しました。シベリウスの作品は、ヨーロッパの作曲家たちとは違った独特の世界感を持った作品が多いのが特徴です。シベリウスの作品の持つ幻想性は、フィンランドという北欧の厳しい寒さによるものかもしれません。2つの大戦生き抜き、国民的英雄となったシベリウスの作品をぜひ聴いてみてはいかがでしょうか。

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