ベンジャミン・ブリテンの作品の特徴及び評価。おすすめ代表作5選

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イギリスを代表する作曲家といえば、『威風堂々』の作曲者エドワード・エルガーやグスターヴ・ホルストなどの名前が挙げられます。しかし彼らと並んで忘れてはならない作曲家にベンジャミン・ブリテンがいます。

エルガーやホルストのように「世界中の誰もが知る」作品は残していませんが、ブリテンが生み出した作品は、20世紀のクラシック界においてイギリス音楽を不動のものに押し上げました。

では、ブリテンの作品にはどのようなものがあるのでしょうか。そこで今回はブリテンの作品の特徴やおすすめ代表作を紹介します。

ベンジャミン・ブリテンの作品の特徴や評価について

ベンジャミン・ブリテンの作品の特徴や評価について簡単に解説します。意外にも、日本政府からも作曲の依頼があったそうです。

現代音楽に傾倒せず

ブリテンが生まれた1910年代の音楽界は、シェーンベルクやベルクといった作曲家に代表されるように、無調や十二音階技法の全盛期でした。そんな時代にあり、学生時代のブリテンは、一時期ベルクの弟子を希望していましたが、周囲の反対もあり断念することになります。

しかしそれが功を奏したのか、イギリスの伝統に目を向けたブリテンは、自身の感性を生かしつつ、独自の和声を突き詰めることに成功しました。そういう点において、ブリテンの作品はイギリスの伝統と現代的なものが融合した稀有な作品と言えるでしょう。

能楽を作品に取り入れる

自作の演奏のために日本を訪れたブリテンは、その時に鑑賞した能楽『隅田川』に強い感銘を受けています。そして1964年、ブリテンはキリスト教の寓話も引用しつつ、「能」と「演劇」の要素を取り入れた『カーリュー・リヴァー』を作曲。この作品が作曲家としてのブリテンの方向性を決定づけるものとなりました。

現在も続く音楽祭を設立

着々と成功の階段を登り続けたブリテンは、オペラ『ピーター・グライムズ』の成功により、若くして名声を獲得します。とりわけ戦後の創作意欲は目を見張るものがあり、1940年代後半のブリテンは『青少年のための管弦楽入門』や『春の交響曲』などの名作を次々と発表しています。

そんな中、ブリテンは1948年にオールドバラ音楽祭を設立し、自身の作品や歌曲を発表するなど、演奏活動にも力を注ぎます。この音楽祭は現在(2022年)も続けられており、新しい音楽の発表や、忘れ去られた音楽の再発見などに大きく貢献する音楽祭へと発展しました。

ベンジャミン・ブリテンのおすすめ代表作5選

ベンジャミン・ブリテンのおすすめ作品を紹介します。日本人の私たちにとって、「能楽」をベースとした作品があるのも興味深いところです。

カーリュー・リヴァー

1956年、ブリテンは2週間日本に滞在し、さまざまな文化を体験しました。なかでもブリテンの関心を引いたのは日本の伝統芸能である「能楽」で、ブリテンは「能楽」特有の「わび・さび・幽玄」の精神に大きなインスピレーションを受けています。

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オペラ『カーリュー・リヴァー』は、能の『隅田川』をベースとし、この作品においてブリテンは、能の要素と演劇の要素を融合させるという画期的な手法を生み出しました。現在でもたびたび上演されるブリテンの代表作です。

ピアノ協奏曲

1938年に作曲されたブリテン唯一のピアノ協奏曲です。ブリテンは作曲家であると同時に、卓越したピアニストでもありました。協奏曲としては珍しい全4楽章構成となっていますが、第3楽章と第4楽章は切れ目のない「アタッカ」で演奏されます。演奏時間はおよそ35分です。発表から8年後の1946年に大幅に改訂され、現在は改訂版が演奏されるのが一般的です。初演のピアノ独奏はブリテン自信が担当しました。

春の交響曲

声楽と管弦楽のための交響曲です。1949年に作曲され、全体としてオラトリオ形式が採用されています。全4部13曲で構成され、演奏時間は約45分です。すべての作品にイギリスの詩が用いられているので、詩人のインスピレーションも楽しめます。ブリテンの繊細さと宗教的精神が存分に味わえる名作といえるでしょう。

シンプル・シンフォニー

1933年から1934年にかけて作曲された作品で、ブリテンが少年時代に作曲したピアノ曲がベースとなっています。タイトルの通り、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロで演奏される極めてシンプルな構成ですが、ブリテンの人気作品として現在でも演奏会で取り上げられています。

全4楽章で構成されており、演奏時間は20分程度です。弦楽オーケストラで演奏する場合にはコントラバスも加わりますが、楽譜には「あってもなくても良い」と記されているそうです。

ピーター・グライムズ

ブリテン2作目のオペラであると同時に、ブリテンをもっとも代表する作品の一つでもあります。1945年に上演されたロンドンでの初演は大成功となり、第2次世界大戦後のオペラ界に大きな影響を与えました。1956年には日本でも上演されています。

クーセヴィツキー財団の委嘱で作曲された本オペラは、まさにブリテンを象徴する作品といっても過言ではないでしょう。上演時間は2時間20分程度で、作中の間奏曲は、のちに組曲『4つの海の間奏曲』に編曲されています。

まとめ

今回はブリテンの作品の特徴やおすすめ作品を紹介しました。ブリテンの作品に初めて触れた方も多いと思いますが、いかがでしたでしょうか。ブリテンの作品は人間の心情に訴える抒情性に溢れた作品が多く、聴く人を飽きさせません。今回紹介した作品以外にも、歌曲や室内楽など、さまざまな作品を残していますので、ご興味のある方はぜひブリテンの他の作品も聴いてみてください。

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