ジャック・オッフェンバック「地獄のオルフェ」「美しきエレーヌ」の解説・分析。楽曲編成や聴きどころは?

出典:[amazon]Jacques Offenbach

チェロ奏者として音楽家のキャリアを開始したジャック・オッフェンバック。オッフェンバックは、「チェロのリスト」と称されるほどの腕前を持っていましたが、作曲家の道を志し、のちに「オペレッタの王」としてフランスで絶大な人気を獲得しました。オッフェンバックを代表する作品は多くありますが、なかでも今回紹介する「地獄のオルフェ」は特に演奏機会が多く、世界中の人々に今もなお愛されている作品です。日本では「天国と地獄」のタイトルで知られており、大正時代には「カンカン」として流行しました。この記事では、「地獄のオルフェ」と「美しきエレーヌ」について解説します。

地獄のオルフェについて

「地獄のオルフェ」は1858年、ブッフ・パリジャンで初演されたオッフェンバック30作目となるオペレッタです。全2幕4場で構成されています。ギリシャ神話をモチーフにした本作は初演から大人気となり、連続228回公演というロングランを記録しました。オッフェンバック初の長編オペレッタとしても知られており、日本では「天国と地獄」の名前で紹介されています。

地獄のオルフェの初演についてフランスの「フィガロ」紙は、「前代未聞。見事としか言いようがない」と本作を高く評価しました。第2版では2000人規模の観客用に大幅改訂され、上演には主役の他、120人の合唱や70人近いダンサーが参加する大規模なものに変更されました。特にラストの「地獄の大宴会場」のシーンは圧巻で、オッフェンバックのみならずクラシック音楽の中でも屈指の名曲として知られています。

実はパロディ作品?

さまざまな作曲家の作品を素材として作曲したオッフェンバック。実は「地獄のオルフェ」も、グルック作「オルフェオとエウリディーチェ」のパロディーをテーマに作曲されました。グルックの作品をベースにしつつ、神話の登場人物を利用して喜劇(風刺的作品)を作ることで、当時の独裁政治を批判した作品として大流行しました。

作品をめぐって論争が勃発

聴衆から熱狂的に支持された一方で、作中のセリフの言い回しが「知識人をあてこすりにしている」として、作家フローベールや一部の批評家から非難の声があがったようです。これに対し脚本家のクレミューという人物が「フィガロ」紙に反論を載せたことで論争に発展し、「オルフェ論争」としてパリにセンセーションが巻き起こりました。

浅草バレエとして日本でも人気となる

「地獄のオルフェ」の日本での初演は大正時代にまで遡ります。1914年に帝国劇場にて初演されて以来、「天国と地獄」の名前で親しまれるようになり、浅草バレエの「カンカン」は一世風靡となりました。ちなみにサン=サーンスの「動物の謝肉祭」の「亀」は、この作品のパロディです。

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美しきエレーヌとは

「美しきエレーヌ」は1864年、パリのヴァリエテ座で初演されたオッフェンバックを代表するオペレッタです。「地獄のオルフェ」と並ぶ人気作とされ、古代ギリシャのスパルタを舞台とした本作は、美しい名曲が多いことでも知られています。またギリシャ神話「パリスの審判」を題材にした本作には、ロッシーニの「ギヨーム・テル」のメロディーを真似た合唱が登場するなど、当時の流行曲も同時に楽しめる作品となっています。

作品自体は愉快な喜劇ですが、その裏にはフランス第二帝政の社会と為政者に対する痛烈な風刺が盛り込まれています。

美しいメロディが盛りだくさん

「美しきエレーヌ」ではメロディーメーカーとしてのオッフェンバックの才能が遺憾無く発揮されています。例えば、主人公エレーヌの登場シーンで使われるアリア「神聖な恋」は、エレーヌの威厳と美しさを見事に表現しています。

アリア「神聖な恋」

「ギリシャが戦場になれば」

こちらがロッシーニの「ギヨーム・テル」から着想を得た「ギリシャが戦場になれば」です。オッフェンバックによる見事な三重唱が特徴であり、作中でも名作の呼び声が高い一曲とされています。

「王様たちの行進のクプレ」

「美しきエレーヌ」初演時から人気のある一曲が「王様たちの行進のクプレ」です。その人気は現在も衰えず、日本では吹奏楽版でしばしば演奏されています。この作品はオッフェンバックの葬儀でも使用され、多くの人々が偉大なる作曲家の死を悲しんだと言われています。

>>「王様たちの行進のクプレ」はこちら(ニコニコ動画)

 

まとめ

オッフェンバックの代表的オペレッタ2曲を紹介しました。特に「地獄のオルフェ」の序曲は日本人にも馴染み深い作品ではないかと思います。また「美しきエレーヌ」も、そのタイトルの通り美しいメロディーがふんだんに盛り込まれていて、聴く人を飽きさせません。この記事を機会に、オッフェンバックの魅惑とユーモアの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

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