レオシュ・ヤナーチェクの作品の特徴及び評価。おすすめ代表作5選

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ドヴォルザークやスメタナと並ぶチェコを代表する作曲家レオシュ・ヤナーチェク(以下ヤナーチェク)。ベートーヴェンシューマンなどの古典派・ロマン派の音楽を学んだ一方で、スラヴの民俗音楽や民俗舞踏の研究に従事した彼は、モラヴィアの民俗主義を活かした優れた作品を数多く残しました。また20世紀半ばからはオペラ作品なども見直され、現在も上演機会の多い作品として、世界中の人々から愛されています。今回はそんなヤナーチェクの作品の中から、おすすめ代表作を5つ紹介します。

どの作品も、初めて聴く方が多いと思いますが、ぜひ今後の参考にしてください。

ヤナーチェクの作品の特徴や評価

ヤナーチェクの作品にはどのような特徴があるのでしょうか。
ここでは簡単に2つ解説します。

民謡を素材に使用

バルトークやシベリウスファリャなど自国の民俗音楽を取り入れた作曲家は多くいますが、ヤナーチェクも国民楽派の音楽家として数えられるでしょう。「民俗音楽と芸術音楽は繋がっている」と考えていた彼にとって、モラヴィアの民俗音楽を取り入れたのは自然なことだったのかもしれません。

またヤナーチェクは、モラヴィアの伝統文化を西スラヴ民族の象徴として捉え、作品に反映させました。

本格的な評価は20世紀半ばから

今でこそ、クラシック音楽史にその名が刻まれるヤナーチェク。しかし彼が注目され始めたのは、意外にもヤナーチェクの死後の20世紀半ばからのことでした。そのきっかけとなったのが、オーストラリアの指揮者チャールズ・マッケラスの貢献です。

マッケラスはヤナーチェクのオペラ『カーチャ・カバノヴァー』のイギリス初演を大成功に導き、それ以降イギリスにおいて一大ヤナーチェクブームが巻き起こります。
これにより世界的にヤナーチェクの人気が高まり、今日ではオペラ以外の作品でも注目を集めつつあります。

ヤナーチェクのおすすめ代表作5選

ヤナーチェクの作品にはどのようなものがあるのでしょうか。
今回は管弦楽曲から舞曲、ソナタまで幅広いジャンルを紹介します。

「嫉妬」序曲

さまざまなジャンルの作品を残したヤナーチェク。本作はその中でもヤナーチェクの初期を代表する管弦楽曲です。現在は演奏される機会はあまりないものの、彼の音楽家・作曲家としての足跡がわかる作品として重要視されています。

もとはオペラ『嫉妬』の序曲として作曲された本作ですが、のちに管弦楽曲に編曲され、1906年にプラハにて初演を迎えました。民俗音楽的な要素はやや取り除かれ、ヤナーチェクの新しい音楽スタイルが楽しめる1曲です。

ラシュスコ舞曲

民俗音楽をベースとしたヤナーチェクを代表する作品です。1888年から1889年にかけて作曲され、全部で6つの舞曲で構成されています。タイトルの「ラシュスコ」とは、チェコの地域を表しています。6曲それぞれのタイトルは以下の通りです。

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第1番「昔の踊り」
第2番「祝福の踊り」
第3番「ふいご」
第4番「昔の踊り第2番」
第5番「チェラデンスキー」
第6番「のこぎり」

それぞれのタイトルが音楽で表現されたとてもユニークな作品であり、ヤナーチェクを代表する「標題作品」とも言えるでしょう。
また。また第5番・第6番と新曲を加えたピアノ独奏曲もあり、こちらは『3つのモラヴィア舞曲』として現在親しまれています。

魂のさすらい

詩的なタイトルに目を奪われますが、本作はヤナーチェクが作曲したヴァイオリン協奏曲です。1926年にロンドン滞在中に作品に取り掛かったと考えられています。
残念ながら作品は未完成となりましたが、ヤナーチェクの円熟期を知る上で重要な作品に位置付けられています。

また、作品のタイトルは、ヤナーチェクが愛した文豪ドストエフスキーの『悪霊』から取られているそうです。未完成となったものの、ヤナーチェクの死後に再編され、1988年にヤナーチェク劇場にて初演が行われました。

単一楽章で構成され、演奏時間はおよそ15分です。短い作品ではあるものの、メロディの奥深い作品です。

ヴァイオリンソナタ

ヤナーチェクが完成させた唯一のヴァイオリンソナタです。ヤナーチェクはヴァイオリン作品をあまり作曲しておらず、本作以外に現存する作品は、上記の『魂のさすらい』と『ロマンス』『ドゥムカ』のみと言われています。

作曲年代については諸説あり、およそ1912年頃から1914年頃に作曲されたというのが定説です。
この時期は、第1次世界大戦の始まりと重なっており、作者の暗澹たる気持ちが作品に込められていると解釈する人々もいます。

作品完成後、複数回の改訂を経て1922年に楽譜が出版され、新モラヴィア音楽演奏会で初演が行われました。

ピアノソナタ

別名「街頭より」と名付けられたピアノソナタです。デモの被害に倒れたフランティシェーク・パブリークを追悼する目的で作曲されたそうです。
ヤナーチェクはこの事件に対し抗議の意を表すとともに、その死を悼み、事件からわずか3ヶ月後に初演を行いました。

当初は3楽章構成で作曲され、第3楽章は「葬送行進曲」の構成だったようですが、公開寸前に暖炉に焼き捨て、破棄したそうです。そのため現在は2楽章となり、1楽章「予感」、2楽章「死」のタイトルで発表されました。

まとめ

今回はヤナーチェクの作品の特徴やおすすめ作品を紹介しました。
同郷のドヴォルザークやスメタナとは異なる趣を感じていただけたのではないでしょうか。
以前にも増して、ヤナーチェクの作品が演奏会で取り上げられる機会が増えてきています。
この記事を機会に、ヤナーチェクの親しみやすい作品に触れてみてはいかがでしょうか。
きっと、新しいクラシック音楽の世界が広がると思いますよ!

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