ロベルト・シューマンってどんな人?その生涯や性格は?

出典:[amazon]Schumann: Complete Piano Works

ロマン派を代表する作曲家のシューマンですが、彼が作曲家になったのは、ピアニストを諦めることになる怪我が原因でした。そんなシューマンの生涯や人物像について、紹介していきます。

音楽家としての生涯

幼少期

1810年6月8日、シューマンはザクセン王国のツヴィッカウという所で、父親が出版業をしている家庭に誕生しました。5人兄弟の末子だったようです。幼いころから、教会でオルガニストをしていたヨハン・クンチュによってピアノの指導が行われました。

ギムナジウム時代

裕福な家庭で育ったシューマンは、10歳でギムナジウムに入学すると、父親から高価なピアノを買い与えられ、練習をしていました。この学校に入学したころから作曲を行っていて、「詩編150篇」を完成させています。17歳では小説家のジャン・パウルに夢中になり、この小説家の作品が後にシューマンの作品に影響を与えました。

しかし良いことばかりではなく、16歳の年には姉のエミーリエが自殺、さらに音楽の才能を認めてくれていた父親も亡くなってしまいます。

大学時代

父親が亡くなった後、母親はシューマンに安定した仕事に就いてほしいと考えていました。そのため母親の意向によって、シューマンは18歳でライプツィヒ大学に入学し、法律の勉強をすることになります。しかし、音楽への興味が無くならないシューマンは、学校の出席率を低下させていきました。

このころ、後に妻となるクララとその父親ヴィークと出会ったシューマンは、ヴィークからピアノの指導を受けられるようになります。

さらに、ライプツィヒ大学からハイデンベルク大学に移りたいと申し出たシューマンですが、その当時の理由としてはティボー教授という法科の有名な方がいるためだとしていました。しかし実際は、そのティボー教授が音楽を好む方だったことや、音楽サークルを指導していたことが理由だったようです。

ライプツィヒ時代

シューマンはこのライプツィヒ時代に、ヴィークの所で下宿をしながらピアノのレッスンを受け、ハインリヒ・ドルンからは音楽理論を学びました。また、有名なヴァイオリニストだったニコロ・パガニーニの演奏をフランクフルトで聴いていて、大きな刺激を受けたとも言われています。

しかし、個人的に練習に使用した機械の影響からか、シューマンは手を痛めてしまうことになります。このことが原因で、ピアニストとしての道を諦めなくてはならなくなり、作曲家への転向を決意しました。

そんな中、23歳の年にはさらに不幸が続いてしまいます。10月に義理の姉が亡くなると、翌月には兄も亡くし、自身には精神的な問題からか体調面で問題が出てきました。また、26歳の年には母親も亡くなってしまいます。

その後、「歌曲」「交響曲」「室内楽曲」というように作曲ジャンルを変えていったことで、シューマンの作品はジャンルの幅が広くなっていきました。

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ドレスデン~デュッセルドルフ時代、そして晩年

1844年以降、シューマンはドレスデンやデュッセルドルフに移り住んでいます。ドレスデン時代から、すでに精神的な問題によって様々な症状に悩まされていたシューマンでしたが、年々体調は悪化していき、任されていた指揮者としての仕事も行えなくなってしまいました。幻聴に悩まされると作曲にも影響が出てしまうようになり、1854年にはライン川に飛び込んでしまう事件も起こっています。その後療養所に入ることになると、そのまま1856年に46歳で亡くなりました。

恋愛と結婚

女性たちとの恋愛

シューマンは、妻クララとの結婚のエピソードがよく知られていますが、実はその前にもいくつかの恋を経験しています。例えば、ギムナジウム時代にはアグネス・カールスという女性に惹かれていましたし、同じ頃には他の2人の女性とも交際をしていました。さらに、24歳の年にはエルネスティーネ・フォン・フリッケンという女性との恋愛の後、婚約にまで至っています。その婚約自体はすぐに解消されているのですが、その恋愛から作曲された作品が現在の代表作として遺されました。

クララとの恋愛と結婚

25歳のころから、シューマンの恋愛対象はクララへと変わっていったのですが、父親のヴィークはそれに猛反対していました。妨害のためにクララをドレスデンに移してしまうほど、シューマンとの交際に反対していたヴィークでしたが、その妨害行為はシューマンとクララから訴訟を起こされるほどにまで悪化したようです。その後、法的に結婚が認められるということになり、2人は結婚に至ります。

また結婚後の生活に関しては、ドレスデン・デュッセルドルフ時代に、子供が次々と誕生しています。クララは有名なピアニストとして活動をしていたため、私生活と仕事の両立に苦労したようです。

シューマンの人物像

性格

裕福な家庭に生まれたことが原因かはわかりませんが、若い頃の浪費癖はシューマンの作品からは意外に感じるポイントです。また、同時に複数の女性と交際することもあったと言われています。ここだけ見るととても嫌な人に感じてしまうかもしれませんが、性格が悪かったというわけではないようです。最終的に精神面での病気に悩まされるという点からは、繊細な部分があったのかもしれないと考えることもできますし、友人関係を大切にするという一面もあったとされています。

エピソード

シューマンの有名なエピソードの1つに、29歳の年のウィーンでの出来事があります。すでに亡くなってしばらく経っていたシューベルトの、兄の元を訪れたシューマンは、この時に忘れられていた交響曲を発見しました。これがきっかけで、シューベルトのこの交響曲は世に出ることとなり、その後メンデルスゾーンの指揮で初演が行われています。

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