カロル・シマノフスキー『交響曲第4番「協奏的交響曲」』『スターバト・マーテル』の解説・分析。楽曲編成や聴きどころは?

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カロル・シマノフスキーは、「ピアノの詩人」として知られるショパンと同じ、ポーランド出身の作曲家・音楽教育者です。ピアノ曲からオペラ作品まで、数多くの名作を残したほか、音楽教育において優れた業績を残したことから、シマノフスキーは「ポーランド近代音楽の父」と称されています。

新古典主義や印象派、ポーランドの民族音楽を取り入れた作品は現代にも受け継がれ、多くのクラシックファンに愛されています。そこで今回は、シマノフスキーの作品の中から『交響曲第4番』『スタート・マーテル』について解説します。どちらも興味深い作品ですので、ぜひ最後まで読んでみてください。

交響曲第4番「協奏的交響曲」について

1932年に作曲されたシマノフスキー最後の交響曲です。シマノフスキーは生涯で4曲の交響曲を作曲しており、なかでも本作はシマノフスキー唯一の「ピアノ協奏曲」として、現在も高い人気を獲得しています。

作曲のいきさつについて詳しい事情はわかっていませんが、同年にワルシャワ音楽院(現フレデリック・ショパン音楽大学)院長を辞任したシマノフスキーが、経済的困窮を解消するために作曲に取り掛かったと言われています。

1934年、ロンドンで行われた初演は大きな成功を収め、発表当初から高い人気を獲得しました。しかしこれがシマノフスキーに思わぬ不幸をもたらします。
人気作となったため、国外への演奏旅行が増え、シマノフスキーは徐々に体調を崩し始めます。一説によると、多忙な演奏旅行がシマノフスキーの寿命を縮めたのではとも考えられており、発表から3年後の1937年、シマノフスキーはこの世を去ってしまいます。
シマノフスキーのロマンチシズムや美しい旋律、そして晩年に吸収したポーランドの民族音楽的テーマが絶妙に出会った傑作です。

楽曲編成は?

本作は作風においてはラヴェルやプロコフィエフなどの同時代の作曲家から影響を受けており、旋法や楽章の面においてはバルトークの影響が見られます。とくに大迫力の第3楽章は必聴の価値ありです。

作品は全3楽章から構成されており、
・第1楽章・・・ソナタ形式
・第2楽章・・・幻想曲風
・第3楽章・・・民族舞曲
という流れで展開し、演奏時間は約25分です。

音楽家グループ「若きポーランド」のメンバーで友人でもあった、ピアニストのアルトゥール・ルービンシュタインに作品が献呈されたものの、ルービンシュタインのレパートリーにはなりませんでした。

楽器編成について

交響曲でありながらピアノ協奏曲として作曲されたため、使用される楽器は多岐にわたります。()は人数です。
・フルート(2)
・オーボエ(2)
・クラリネット(2)
・ファゴット(2)
・ホルン(4)
・トランペット(3)
・トロンボーン(3)
・チューバ(1)
・ティンパニ
・トライアングル
・小太鼓、大太鼓
・シンバル
・タムタム
・ハープ
・ピアノ
・弦楽5部

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1932年にはパリの出版社から2台のピアノ版楽譜が出版され、1973年にはポーランド版が出版されています。

スターバト・マーテルについて

シマノフスキーの後期の代表作『スターバト・マーテル』は、1925年から1926年にかけて作曲されました。作曲のきっかけは、芸術家パトロン※1ポリニャック公夫人の依頼によるものでしたが、予定が頓挫(とんざ)したため、代わりとして実業家プロニスワフの亡き妻の追悼作品として完成されています。

また、作品のテーマとして「スターバト・マーテル」が採用された理由には、姪のアルーシアを失った妹を慰めるためと言われています。

本作は1929年1月11日、ワルシャワにて初演が行われ、2年後にはアメリカのカーネギーホールでも上演されました。ポーランド民族音楽を採用した本作は、物憂げで悲しげな旋律が聴く人の心を癒します。

※1、パトロンとは経済的・生活の面で芸術家を支援する人のことです。

そもそも「スターバト・マーテル」とは?

「スターバト・マーテル」とは、キリスト教における重要なテーマの1つです。その起源は13世紀のフランシスコ会にあるとされ、カトリック教会の聖歌1つとして重要視されています。
「スターバト・マーテル」は歌詞の最初の1行「Stabat mater(悲しみの聖母は立ちぬ)」から取られており、シマノフスキー以外にも、ヴィヴァルディやハイドン、ロッシーニやプーランクなども同テーマを元に作品を残しています。
このテーマは音楽だけではなく、絵画のテーマでもたびたび登場し、キリスト教芸術において普遍的テーマとして受け継がれ続けています。

楽曲編成について

ソプラノ、アルト、バリトンの独唱及び、管弦楽と合唱の編成です。
全6楽章で構成されており、演奏時間はおよそ25分から30分となっています。
シマノフスキーがタトラ山脈に滞在した際に感銘を受けた、ポーランド民族音楽の要素が巧みに用いられており、シマノフスキーのナショナリズム(民族主義)を存分に味わえる名作です。

まとめ

シマノフスキーの作品から2作品を紹介しました。どちらの作品もシマノフスキーの繊細さやロマン主義的傾向が現れていて、作曲家の才能を楽しめる作品だと思います。
シマノフスキーは作品数こそ多くないものの、20世紀のポーランド音楽、そしてクラシック音楽に大きな足跡を残しました。これまで彼の作品を聴いたことがなかった方も、シマノフスキーのロマンチシズムに触れてみてはいかがでしょうか。

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