レオシュ・ヤナーチェク『イェヌーファ』『シンフォニエッタ』の解説と分析。楽曲編成や聴きどころは?

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チェコ共和国を代表する作曲家レオシュ・ヤナーチェク(以下ヤナーチェク)。ヤナーチェクはプラハやライプツィヒで音楽を学んだのち、作曲家・教育者としてその生涯を後進の育成に捧げました。彼が設立したオルガン学校は国立音楽院に再編され、現在でも多くの若者たちが、音楽家となるため日々研鑽を積んでいます。
作曲家としての成功は遅咲きだったものの、ヤナーチェクは優れたオペラや管弦楽曲を作曲し、今日も世界中の人に愛されています。

そこで今回は、ヤナーチェクの代表的なオペラ『イェヌーファ』と交響作品『シンフォニエッタ』を紹介します。

オペラ『イェヌーファ』について

ヤナーチェクは生涯で9つのオペラを作曲しており、本作はその3作目にあたる作品です。
『彼女の幼女』が原題ですが、現在では『イェヌーファ』のタイトルで一般的に知られています。民俗音楽の研究に没頭したヤナーチェクが、その要素を余すことなく取り入れ、伝統的なオペラとは異なる独自の世界観が話題となりました。

オペラは全3幕で構成されており、1897年に第1幕が完成し、しばらく時間を経たのち、1901年に第2幕が、1903年に第3幕が完成しました。しかしその間、最愛の娘オルガが病死するという不幸がヤナーチェクを襲います。

また本作の完成当初、ヤナーチェクはプラハでの初演を望みましたが、プラハ国民劇場のオペラ部門責任者カレル・コヴァジョヴィツとの軋轢により、やむなく1904年にブルノの国民劇場にて初演が行われました。

その後コヴァジョヴィツとの関係が回復し、1916年にプラハで演奏された初演は大成功を収めたといいます。この成功はヤナーチェクのその後の名声を確立したといっても過言ではなく、本作によりチェコ共和国のみならず、イギリスを初めとしたヨーロッパ全土で高い人気を獲得するに至ります。

その人気は現在も衰えておらず、本作『イェヌーファ』は上演頻度の高い作品として人気を博しています。日本においても、1976年に東京文化会館において初演が上演されました。演奏時間はおよそ2時間です。

ドヴォルザークやスメタナもチェコ共和国出身ですが、それぞれ独自の視点で民俗音楽を研究しているため、ヤナーチェクを含めた3人の作品を聴き比べてみるのも、新たな発見につながるかもしれません。

楽器編成は?

本作はオペラ編成ですが、それほど大きな楽器編成ではありません。
楽器編成よりも、ヤナーチェクが発話旋法と称した「会話のような歌詞の言い回し」に注目して聴いてみてください。本作では次の楽器が編成として使われています。

・フルート(2)
・ピッコロ
・オーボエ(2)
・イングリッシュホルン(2)
・クラリネット(2)
・バスクラリネット
・ファゴット(2)
・コントラファゴット
・ホルン(4)
・トランペット(2)
・トロンボーン(3)
・バステューバ
・ティンパニ
・ハープ
・弦楽5部

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『シンフォニエッタ』について

管弦楽曲『シンフォニエッタ』は、ヤナーチェクの晩年を代表する作品です。クラシックファンの方であれば「シンフォニー(交響曲)」という言葉を聞いたことがあると思いますが、「シンフォニエッタ」とは小規模な交響曲を意味しています。
「シンフォニエッタ」というタイトルの由来は諸説あるようですが、ヤナーチェク本人によれば、「幼い頃の思い出を作品に込めた」ことに由来するそうです。

また本作は、勝利を目指して戦う現代の自由人の、精神的な美や歓喜、決意、勇気などを表現したとも言われています。作品はヤナーチェクの支持者であったイギリス人ローザ・ニューマーチに献呈されました。

文学がお好きな方であれば、村上春樹の『1Q84』にも出てきた曲としてお馴染みかもしれませんね。

楽曲構成は?

管弦楽曲『シンフォニエッタ』は全部で5つの楽章で構成され、全体の演奏時間はおよそ25分程度されています。作曲当初、各楽章にはタイトル(標題)が付けられていたようで、描写的音楽としても楽しめます。各楽章に付けられたタイトルは以下の通りです。

第1楽章「ファンファーレ」
第2楽章「城壁(シュピルベルク城)
第3楽章「ブルノの王妃の修道院」
第4楽章「古城に至る道」
第5楽章「ブルノ旧市庁舎」

一般的なオーケストラ編成以外(別の場所)に編成された「パンダ」が効果的に使われているのが特徴で、本作では第1楽章でファンファーレとティンパニによって「パンダ」形式が取られています。ぜひ動画内の第1楽章だけでも見てみてください。

楽器編成は?

本作では次の楽器が使用されていますが、上記のとおり一般編成オーケストラとは別に、「パンダ」が編成されています。

オーケストラ編成

・フルート(4)
・オーボエ(2)
・クラリネット(2)
・小クラリネット(1)
・バスクラリネット(1)
・ファゴット(2)
・ホルン(4)
・トランペット(3)
・トロンボーン(4)
・テューバ(1)
・ティンパニ、シンバル、鐘
・ハープ(1)
・弦楽5部

パンダ編成

・トランペット(9)
・バストランペット(2)
・テノールテューバ(2)

まとめ

ヤナーチェク作『イェヌーファ』と『シンフォニエッタ』を紹介しました。
オペラと聞くと、少し二の足を踏んでしまう方も多いかもしれませんが、序曲だけ聴いてみるのも面白いかもしれません。

一方『シンフォニエッタ』は比較的小規模な作品でありながらも、ヤナーチェクのバラエティに富んだ発想、色彩豊かなメロディが特徴です。そのため、これからヤナーチェクを聴いてみたいと思った方にはうってつけの作品ではないでしょうか。

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