エクトル・ベルリオーズ「幻想交響曲」、音楽性を解説します!

出典:[amazon]The Best of Berlioz (Remastered)

有名な音楽家であるはずのベルリオーズについて、どのくらい知っているのかと考えた時、思い浮かぶものが少ないと感じる方は多いのではないでしょうか。日本ではあまりなじみのある音楽家とは言えないかもしれませんが、実はフランスでは紙幣に肖像画が使用されていたこともあるほどの人物です。

この記事では、「幻想交響曲」についての解説だけでなく、作曲家自身に関することも紹介していきます。

ベルリオーズ自身について

音楽家としての生涯

フランスの南部で誕生したベルリオーズは、医者の父親の後を継ぐために、最初は医学を学んでいました。しかし、途中でオペラの魅力に引き寄せられ、20歳でパリ音楽院に入ります。ここでオペラや作曲について学んだのが、本格的な音楽の勉強の始まりです。

その後ローマ賞に挑戦し、数年かけて受賞するとローマへ留学をしました。しかし、婚約者だったマリー・モークが他の男性と結婚するという知らせを受け、怒り狂ったベルリオーズはローマからパリへ向かいます。この時、裏切った婚約者とその母親、そして結婚相手を殺し自分も自殺するつもりだったということから、このエピソードはとても有名です。

また、この記事で紹介する「幻想交響曲」が作曲され初演が行われたのも、このころでした。

その後、パリでの人気が下がり気味となったことによって、ベルリオーズは演奏旅行をすることにします。演奏旅行は何度も行われましたが、向かった先では歓迎され、演奏は成功を収めていたようです。

また、1848年の2月革命の影響を受けて、パリの劇場は閉鎖される事態となってしまいました。この際、短期間ですがベルリオーズは一時的に作曲をやめていたと言われています。

1850年には「パリ・フィルハーモニック協会」の指揮者として活動をしますが、この協会は資金難のため1年程で解散となりました。その後、フランス学士院会員となって収入が少し増えたり、依頼を受けて作曲を行ったりしていましたが、1869年に65歳で亡くなります。

結婚に関して

最初の婚約者との婚約は破棄されて終わりますが、その後はハリエット・スミッソンという女性と結婚に至っています。しかし後に別居をすることになり、さらにスミッソンが亡くなったことで、後妻となるマリー・レシオと再婚をしました。しかし、マリー・レシオもまたベルリオーズよりも先に亡くなってしまったようです。

また最初の妻スミッソンとの出会いはローマ賞に挑戦していたころで、舞台女優として活動していた彼女を見たベルリオーズからのアプローチがスタートでした。しかし、当時はまだ名前も売れていない音楽家でしたし、スミッソンへの手紙の内容が激しすぎたことで、この時は関係が発展しなかったようです。

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ベルリオーズの音楽について

音楽界への影響、標題音楽

ベルリオーズは、音楽の歴史においてとても重要な音楽家だったとされています。それは、ロマン派への良い影響を与えることになった「標題音楽」というものを、確立させた人物だったからです。

「標題音楽」について簡単に説明すると、音楽以外のものをイメージさせる器楽曲のことを言います。例えば、情景や感情などを音楽で表現したり、タイトルや説明の文章が付いていたりする作品です。

反対に「絶対音楽」というのは、音楽以外の要素を必要としない器楽曲のことを言います。例えば、文学や他の芸術作品と関連していないため、その音楽だけを楽しむということで、タイトルが付いていないのが一般的です。しかし、この「絶対音楽」の作品であっても、作曲者ではない人が付けたタイトルや呼び方がある作品もあります。

このベルリオーズの作品は、リストの交響詩や、ワーグナーの楽劇に影響を与えたと考えられているようです。

他の有名な作品

代表作として有名なものはいくつもありますが、交響曲のジャンルの中では「イタリアのハロルド」があげられます。また、オペラの「ベンヴェヌート・チェッリーニ」や、レクイエムとして知られる「死者のための大ミサ曲」なども代表作として有名です。

さらに、劇的物語の「ファウストの劫罰」や、宗教音楽としては「死者のための大ミサ曲」と並んで有名な「テ・デウム」という作品もあります。

幻想交響曲」について

作品の解説

この作品は1830年に作曲、初演された最初の交響曲で、失恋の経験から作られた標題音楽です。また続編として書かれた、独白劇「レリオ、あるいは生への復帰」という作品もよく知られています。

それぞれの楽章には標題が付いていて、少し違った言い方をすることもありますが、第1楽章「夢、情熱」、第2楽章「舞踏会」、第3楽章「野の風景」、第4楽章「断頭台への行進」、第5楽章「魔女の夜宴の夢」のようになっています。また、この作品には説明となる文章も付いていました。

作曲の元になった失恋というのは、最初の妻になるハリエット・スミッソンと出会った時のことです。このころは、スミッソンに手紙を送ったり、面会の依頼をしたりしていましたが、思いは届きませんでした。しかしこの「幻想交響曲」をきっかけに再会すると、スミッソンとベルリオーズは結婚することになったようです。

作品の演奏時間は、合計で55分ほどになります。

>>エクトル・ベルリオーズの作品の特徴。代表曲おすすめ8選

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