エクトル・ベルリオーズの作品の特徴。代表曲おすすめ8選

出典:[amazon]The Best of Berlioz (Remastered)

エクトル・ベルリオーズという音楽家は、同年代の他の音楽家に比べると、本格的な音楽の勉強を始めたのが遅かったことで知られています。また作曲家としては珍しく、ピアノの演奏を得意としなかったことでも有名です。そんなベルリオーズの知名度は日本ではあまり高くないかもしれませんが、実は現在でも演奏されている作品がたくさんあります。

作品紹介の前に少し、ベルリオーズの音楽の特徴でもある標題音楽について解説を載せていますので、興味がある方はぜひ読んでみて下さい。また紹介の際のジャンルについてですが、この記事では、分類が難しい作品については最後の「その他」での紹介としました。

ベルリオーズの音楽について

標題音楽を確立した重要人物

ベルリオーズは「標題音楽」というものを確立させたということから、音楽の歴史にとってはとても重要な人物です。また、リストワーグナーに影響を与えたとも言われています。

この「標題音楽」というのは、情景や風景をイメージさせる器楽曲のことを言い、作曲家の意図を知ったうえで音楽を聴いてもらうようになっています。例えば、タイトルが付いていることで作品のイメージがしやすくなっているというのも特徴の1つです。

またタイトルが付いていないから「絶対音楽」、付いているから「標題音楽」とも言い切れないため分類が難しくなっています。

交響曲からおすすめ2作品

幻想交響曲

ベルリオーズの標題音楽として有名なこの作品は、それぞれの楽章にタイトルが付けられています。それらは、第1楽章「夢、情熱」、第2楽章「舞踏会」、第3楽章「野の風景」、第4楽章「断頭台への行進」、第5楽章「魔女の夜宴の夢」のように呼ばれますが、少し違った言い方もあるので注意してください。作品の演奏時間は、合計で約55分になります。

また作品が作曲されるきっかけとなったのは、最初の妻になるハリエット・スミッソンという女性との出会いでした。出会った当時はベルリオーズの思いが届かず、恋は成就しなかったようです。しかし、この作品をきっかけに2人は再会し、結婚するに至りました。

またこの作品には、続編として作曲された曲もあり、そちらも有名です。

イタリアのハロルド

4楽章で構成されたこの作品は、1833年に「幻想交響曲」を聴いて感動したパガニーニが作曲の依頼をしたようです。ジョージ・ゴードン・バイロンの長編詩をもとに、ヴィオラとオーケストラのために作曲されています。

1834年に完成、初演されると、音楽仲間も聴きに来ていました。演奏時間は約45分前後です。

オペラからおすすめ1作品

ベンヴェヌート・チェッリーニ

全2幕のオペラで、演奏時間が2時間半ほどになるこの作品は、彫刻家のベンヴェヌート・チェッリーニを主人公として作曲されました。ちなみに改訂版では3幕に変更されているようです。

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1838年の初演では良い結果とはなりませんでしたが、その後リストの指揮で行われた演奏は評判が良かったと言われています。

また、演奏会用序曲として単独の作品とされた「ローマの謝肉祭」が特に有名で、よく演奏されている曲の1つです。この「ローマの謝肉祭」は、1844年に初演され成功を収めています。

その他のおすすめ5作品

声楽曲(宗教音楽)「死者のための大ミサ曲」

レクイエムとして知られるこの作品は、1837年にフランス政府からの依頼で作曲されました。当初は、7月革命と1835年の事件の犠牲者のために行われる慰霊祭で演奏される予定でしたが、その慰霊祭が縮小されたことによって演奏が中止となってしまったようです。しかしその後、違う追悼式で初演が行われることになりました。

作品は、「荘厳ミサ曲」を部分的に転用し、短期間で作曲されています。独唱、合唱、オーケストラの大きな編成で演奏され、その演奏時間は全10曲で約1時間半にも及びます。

独白劇「レリオ、あるいは生への復帰」

「抒情的モノドラマ」として作曲されたこの作品は、語り手、声楽、管弦楽によって演奏されます。「幻想交響曲」の続編として作られましたが、作曲の元となったのは婚約破棄をした女性との出来事だったようです。

語りが合間に入る構成になっていて、演奏時間は約55分前後になります。また日本語訳をする際に、「復帰」が「回帰」になっていることもあるようです。

劇的交響曲「ロメオとジュリエット」

この作品は、独唱、合唱、管弦楽で演奏される大きな規模の劇的交響曲です。もとになったのはシェイクスピアの「ロメオとジュリエット」で、同じくこの作品をもとにした音楽が、他の音楽家たちによって作曲されています。

1839年に作曲者本人の指揮によって初演が行われ、成功を収めました。演奏時間は1時間半以上になります。

劇的物語「ファウストの劫罰」

ゲーテの「ファウスト」をもとに作曲されたこの作品は、管弦楽と独唱、合唱で演奏される劇的物語です。この「ファウスト」からも、他の音楽家たちによって様々な音楽が作曲されました。

作品中の有名な曲としては、「ラコッツィ行進曲」「妖精の踊り」「鬼火のメヌエット」があげられます。1846年初演、4部構成で演奏時間は約2時間半です。

宗教音楽「テ・デウム」

ベルリオーズの宗教音楽の中でも有名なこの作品は、オルガンと児童合唱団が入った、独唱、合唱、管弦楽での編成となっています。演奏時間は約50分前後です。

作曲は、1848年に起こった2月革命の年から行われ、1849年に完成されましたが、初演されるまでが長く、1855年のパリ万国博覧会でやっと、本人指揮の初演が行われました。

>>エクトル・ベルリオーズってどんな人?その生涯や性格は?

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