リヒャルト・ワーグナー「ワルキューレ」の解説。あらすじや登場人物は?

出典:[amazon]リヒャルト・ワーグナー:オペラ名曲集(Wagner: Transcribed For Solo Piano)

リヒャルト・ワーグナーといえば、楽劇王の名でも知られている通り、歌劇・楽劇の作曲で活躍した19世紀の音楽家です。その楽劇の中でも大作として有名な「ニーベルングの指環」をご存じでしょうか。4つの楽劇で1つの作品となっているニーベルングの指環は、全て通すと演奏時間が15時間もかかってしまうため、同じ日に全ての演奏を聴くわけではありません。またそれぞれが単独で演奏されることもあり、2作目の「ワルキューレ」は特に人気の楽劇です。

ワルキューレはバイエルンで1870年に初演でしたが、4作品全体の初演は、1876年に完成したバイロイト祝祭劇場でその年に行われました。

ワーグナーの代表作「ワルキューレ」の解説

まずは、ワルキューレという言葉のそもそもの意味や、ニーベルングの指環についてなどを少し紹介します。

ワルキューレとはどういう意味なのか

北欧神話の中では、戦場で亡くなった人たちの中から選ばれた人が、ヴァルハラという宮殿に集められると言われています。ワルキューレとは、その選ばれた人をヴァルハラへ運ぶ役割をしている女性たちのことです。

ニーベルングの指環について

ニーベルングの指環は、以下4つの楽劇の連作です。

・序夜「ラインの黄金」

・第1夜「ワルキューレ」

・第2夜「ジークフリート」

・第3夜「神々の黄昏」

これらの作品は26年かけて完成されました。とても長い期間をかけて作られたため、この期間中には他の有名作品も作曲されています。

またニーベルングの指環では、この作品のために用意された「ワーグナーチューバ」という楽器が使われています。チューバという名前ですが、実際はホルン奏者が持ち替えて演奏をする楽器です。この楽器は、ワーグナー以降、他の作曲家の作品にも時々登場します。

ワルキューレの騎行

ワルキューレの騎行は、ワルキューレ第3幕の冒頭で演奏される曲です。楽劇やこの曲名を知らなくても、聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか。また「地獄の黙示録」という映画で使用されたことでも知られています。

ワルキューレの登場人物

あらすじの前に、登場人物の名前とそれぞれの関係性を簡単に紹介します。

ジークムント

ヴォータンと人間の間に生まれた子

ジークリンデ

ジークムントの双子、妹

フンディング

ジークリンデの夫

ヴォータン

神様たちの頂点

フリッカ

ヴォータンの妻、婚姻の神様

ブリュンヒルデ

ワルキューレの1人、ヴォータンとエルダの子

エルダ(ワルキューレには登場しません)

知恵の神様

ワルキューレのあらすじ

全3幕で構成されるワルキューレの演奏時間は、第1幕約60分、第2幕約90分、第3幕約70分の、合計約3時間40分です。

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第1幕

始まりは、嵐の中ジークムントがフンディングの館を訪れる場面からです。戦いで疲れ、傷ついたジークムントに水を渡すジークリンデですが、この時点で2人はすでに惹かれ合います。しばらくすると、ジークリンデの夫フンディングが帰ってくるのですが、実はジークムントとフンディングは敵同士でした。そのことに気づいたフンディングは、一晩だけ泊まることを許しますが、翌日の決闘を言い渡します。

しかしジークリンデはジークムントを逃がそうと考え、トネリコの木に刺された誰にも抜けない剣のことをジークムントに話します。実はその剣というのは、2人の親であるヴォータンが、ジークムントのためにそこに刺していったものでした。2人は兄妹だったということを知りますが、ジークムントは剣を引き抜くと、ジークリンデを連れて館から逃げて行きます。

第2幕

ヴォータンはブリュンヒルデに、ジークムントを勝たせるようにと言いました。ブリュンヒルデはここで一度いなくなりますが、そこに怒ったフリッカが現れます。フリッカは、ジークムントとジークリンデの、不倫や兄弟で愛し合うということが許せませんでした。するとヴォータンはフリッカに、ジークムントを倒すと誓ってしまいます。ここで戻ってきたブリュンヒルデは、ヴォータンからジークムントの死を命令されました。

ジークムントとジークリンデが逃げている場面になると、ジークリンデは精神的に追い込まれ気絶します。そこにブリュンヒルデが登場して、ジークムントにヴァルハラへ行くことを告げますが、ジークムントはそれを拒否しました。ブリュンヒルデは、ジークムントのジークリンデへの思いに心を動かされ、この場を去ります。

そしてフンディングが登場すると、ジークムントとの戦いのシーンになりますが、そこへブリュンヒルデが現れジークムントを助けようとします。しかし今度はヴォータンが登場し、ジークムントの剣を砕くと、フンディングが槍でジークムントを刺してしまうのです。それを見たジークリンデが悲鳴を上げると、ブリュンヒルデは砕かれた剣の破片を拾い、ジークリンデをその場から連れ去ります。命令をきかなかったブリュンヒルデに怒り、ヴォータンはその後を追って行きます。

第3幕

ジークリンデを連れたブリュンヒルデは、他のワルキューレたちに助けを求めますが断られてしまいます。ジークリンデはジークムントを失ったことで死を望みますが、ブリュンヒルデはジークリンデに子供が宿っていることを告げ、その子供をジークフリートと名づけました。そしてジークリンデは、剣の破片を持ち森へと逃げて行きます。

そこへヴォータンが登場すると他のワルキューレを追い払い、ブリュンヒルデに罰を与えると告げますが、ブリュンヒルデは命令に背いた理由を、ヴォータンの本心のためだと言います。その気持ちにヴォータンも心を動かされますが、結局処罰を変えることはできませんでした。そこでブリュンヒルデは、自分の周りを火で囲み、臆病者が近寄れないようにしてほしいとヴォータンに願います。ヴォータンはブリュンヒルデを眠らせると、願いを聞き入れ、その場から去って行きます。

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