アントン・ヴェーベルンの作品の特徴及び評価。おすすめ代表作5選

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アントン・ヴェーベルンは20世紀のオーストリアを代表する作曲家です。幼少の頃から音楽に親しんだ彼は、ウィーン大学でシェーンベルクに師事し、アルバン・ベルクらと共に「新ウィーン楽派」の1人として前衛音楽の発展に大きな貢献を果たしました。前衛音楽の先駆者ヴェーベルンですが、意外にも作品にはブラームスマーラーといった後期ロマン派の影響が見られ、12音技法に徹底した後期の作品にもその傾向が見て取れます。そこで今回は、ヴェーベルンの作品の特徴やおすすめ作品を紹介します。

アントン・ヴェーベルンの作品の特徴や評価について

ヴェーベルンの作品の特徴について簡単に解説します。生前はあまり評価されませんでしたが、第2次世界大戦後、その評価は世界的なものとなりました。

ロマン派、無調音楽、そして12音技法へ

若きヴェーベルンはワーグナーやマーラー、リヒャルト・シュトラウスといった後期ロマン派の作曲家たちに夢中だったと言います。とりわけワーグナーに心酔した彼は、マーラー指揮によるワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』を堪能し、ときにはバイロイト音楽祭に出かけるほどの「ワグネリアン」(ワーグナー愛好家)だったそうです。

こうした影響から、初期ヴェーベルンの作品にはロマン派的抒情性が顕著であり、その後、シェーンベルクの許で12音技法に触れたヴェーベルンは、無調音楽を経て、12音技法による作品作りを開始します。

また、ヴェーベルンが模索し続けた12音技法は、トータル・セリエリズムの先駆けとも言われており、のちのブーレーズやシュトックハウゼンや、ジョン・ケージといった作曲家に多大な影響を及ぼしました。

アントン・ヴェーベルンのおすすめ代表作5選

おすすめ作品を5つ紹介します。現代音楽は好き嫌いが大きく分かれると思いますが、いずれにしても、ヴェーベルンの作品は後世の音楽家たちに多大な影響をもたらしました。

大管弦楽のための牧歌「夏風の中で」

ヴェーベルンがウィーン大学在学中に作曲した初期の管弦楽曲です。本作はシェーンベルクに師事する前の作品であるため12音技法では書かれておらず、後期ロマン派的影響が強く現れています。

ドイツの詩人兼ジャーナリストのブルーノ・ヴィルによる「ねむの木の黙示録」という詩に霊感を受けて作曲され、ヴェーベルンの生前中は演奏機会がなかったものの、彼の死後1962年にシアトルにて初演が行われました。演奏時間は15分程度です。

ピアノのための変奏曲

ヴェーベルンは生涯で31曲の「作品番号付き」作品を残しました。その中でも本作は、作品番号が付けられた唯一のピアノ曲です。1936年に作曲され、翌年1937年にオーストリアのピアニスト、ペーター・シュタドレンにより初演が行われました。

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ヴェーベルン作品の中でも演奏機会の多い作品として、今日でもしばしばプログラムに取り上げられています。全3楽章で構成されており、演奏時間はおよそ7分です。完全に統一された音列(セリー)主題と厳密な12音技法により作曲されています。またそれぞれの楽章には、テンポに関する厳密な指示が作曲者により示されています。

管弦楽のための5つの小品

1911年から1913年にかけて作曲された、5つの小品からなる管弦楽曲です。初演はウィーンにてヴェーベルン自身の指揮で行われました。ヴェーベルンの無調時代を代表する作品であり、師シェーンベルクに宛てた手紙の中で、本作の構造について「一種の交響曲のような作品」であり「それぞれの楽章が相互に関係している」と述べています。

極めて繊細な旋律が印象的で、各作品は数小節から30小節程度という小規模な構成となっています。

チェロとピアノのための3つの小品

1914年にウィーンにて作曲された作品です。ヴェーベルンはチェロの演奏にも才能を発揮し、少年時代には地元オーケストラのチェリストを務めるほどでした。本作は当初ヴェーベルンの父の依頼により『チェロソナタ』として作曲されましたが、作曲に行き詰まったヴェーベルンが作曲を放棄し、その後現在の形に手直しが加えられ、1924年に初演が行われました。

上記の『管弦楽のための5つの小品』と同様、極めて小規模な作品であり、演奏時間は3曲合わせて3分程度とされています。しかし小規模ながらも各楽章のテンポについて、作者から以下のような厳密な指示が記されています。

1楽章・・・中庸な速度で(9小節)
2楽章・・・非常に活気付いて(13小節)
3楽章・・・極めて静かに(10小節)

交響曲

ニューヨークのコンポーザーズ・リーグの委嘱により作曲された、ヴェーベルン唯一の交響曲です。1928年に作曲が着手され、1929年に初演を迎えています。本作は全2楽章で構成されており、全編にわたり12音技法が施されています。また「交響曲」と銘打っているものの、その作品の規模は非常に小さく、演奏時間はおよそ10分程度とされています。

初演後、アメリカの聴衆から失笑されたヴェーベルンはひどく落胆したと伝えられています。

まとめ

ヴェーベルンの作品の特徴やおすすめ作品を紹介しました。ヴェーベルン作品を初めて聴かれた方の中には、あまりにも斬新(前衛的)な彼の作風に、驚かれた方もいらっしゃると思います。しかしこれらのヴェーベルン作品は、その後のジョン・ケージやブーレーズ、シュトックハウゼンへと受け継がれ、20世紀のクラシック音楽に大きな影響を及ぼしたのは紛れも無い事実です。このような作品を聴く機会は少ないかもしれませんが、本記事をきっかけに、前衛音楽の世界に少しでも興味を持っていただければ幸いです。

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