アラム・イリイチ・ハチャトゥリアンの作品の特徴及び評価。おすすめ代表作6選。

出典:[amazon]ハチャトゥリヤン: ヴァイオリン協奏曲ニ短調 他 (Aram Khachaturian : Composer – Conductor – Pianist / Violin Concerto ‘ Cello Concerto ‘ Piano Concerto ‘ Gayane ‘ Masquerade) (2CD) [輸入盤]

プロコフィエフ、ショスタコーヴィチとともに20世紀のクラシック音楽界を牽引したハチャトゥリアン。「剣の舞」や「ワルツ」がとても有名ですが、それ以外にも素晴らしい作品が多くあります。

また、子供用のピアノ曲を作曲するなど、音楽の発展にも貢献しました。

今回は、ハチャトゥリアンの作品の特徴や評価と、おすすめ代表作を6つご紹介します。ぜひこれを機会に聞いてみてください。

ハチャトゥリアンの作品の特徴及び評価

ハチャトゥリアンは国民楽派から発展し、自身のルーツであるアルメニアの民族的要素を西洋音楽に融合させました。ハチャトゥリアンの作品に感じるエキゾチックな印象は、アルメニアの民族音楽によるものです。

18歳までほとんど音楽の勉強をしたことがなく、楽譜も読めなかったと言われているハチャトゥリアンですが、彼が育った街トビリシは「歌う町」と呼ばれ、町中に音楽が溢れていたと言われています。ハチャトゥリアンの音楽が伝統を受け継ぐ古典主義やロマン派とは違なる作風となったのは、そのような環境下で育ったためかもしれません。

音楽を学び始めるのがかなり遅かったハチャトゥリアンですが、作品を発表すると、彼の作品は瞬く間に世間に広がり、世界的名声を得ることとなります。ハチャトゥリアンの代名詞とも称される「剣の舞」は、劇音楽の一部でありながら、ニューヨークのビルボードで常に上位になるほどの人気を博しました。

20世紀の音楽界において偉大な業績を残したハチャトゥリアンは、その功績が讃えられ、その肖像画はアルメニアの50ドラム紙幣に用いられています。

おすすめ代表作6選

ハチャトゥリアンのおすすめ代表作6選をご紹介します。有名曲から、少しマニアックな作品までありますが、どれもハチャトゥリアンらしさが溢れる名曲ばかりです。

交響曲第二番「鐘」

1943年に作曲された作品です。4楽章構成で、演奏時間はおよそ50分です。「鐘」というタイトルは、この作品の特徴から音楽学者のゲオルギー・フーボフによって命名されました。初演はモスクワ音楽院にて、ボリス・ハイキン指揮によって演奏されました。1945年にはアメリカにも渡り、レナード・バーンスタイン指揮、ニューヨークフィルハーモニー交響楽団によって演奏されました。また、2020年にハチャトゥリアンを題材として公開された映画「剣の舞 我が心の旋律」のエンドロールでこの作品が使われており、ハチャトゥリアンを代表する交響曲です。

交響曲第三番

1947年に作曲された交響曲です。演奏時間は30分程度で、作品の構成という意味においては「鐘」とは異なりコンパクトな作品となっています。1917年に起きたロシア革命30周年を祝う目的で作曲された作品で、初演はムラヴィンスキーの指揮によって演奏されました。楽器編成がとても大きいのが特徴です。

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ヴァイオリン協奏曲

1940年に作曲された、ハチャトゥリアンを代表する作品であると当時に、20世紀を代表するヴァイオリン協奏曲の1つです。演奏時間は35分程度で、モスクワで開かれたソビエト音楽祭で初演されました。伝統的な3楽章構成となっており、とくに3楽章の民族的な響きが魅力的な作品です。作品はヴァイオリニストのダヴィド・オイストラフに献呈されました。
この作品を気に入った20世紀最高のフルート奏者であるジャン=ピエール・ランパルは、ハチャトゥリアンにフルート協奏曲としての編曲を依頼し、現在も「フルート協奏曲」として親しまれています。

ピアノ協奏曲

1936年に作曲され、ハチャトゥリアン自身が世間に認められるきっかけとなった大作ピアノ協奏曲です。モスクワ音楽院を卒業してから2年目に発表されました。初演はピアニストのレフ・オボーリンが演奏し、作品もオボーリンへ献呈されています。3楽章構成で、カバレフスキーやストラヴィンスキーにも評価されました。現在ではあまり演奏機会がありませんが、エキゾチックな不協和音が調和した見事な作品です。演奏時間は35分程度で、超絶技巧が求められる難曲です。

ガイーヌ

1942年に初演された、ハチャトゥリアンを代表するバレエ音楽です。ハチャトゥリアン自身がアルメニアに半年間滞在し、民族音楽を研究したのちに作曲されました。それまでに作曲していた「幸福」という作品をリメイクした作品で、4幕で構成されています。民族音楽や民謡などのテーマをバレエ音楽に取り入れ、かつシンフォニーとしての広がりを持たせようとするハチャトゥリアンの挑戦的作品でもあります。

ガイーヌから抜粋された組曲もあり、現在では組曲が多く演奏されています。組曲の中には「剣の舞」「バラの乙女の踊り」「ガイーヌのアダージョ」「レズギンカ」といった名曲が含まれています。

スパルタクス

ガイーヌとともに、ハチャトゥリアンを代表するバレエ音楽です。1954年に作曲され、この作品も3つの組曲に編曲されています。ローマに対して反乱を起こした実在の人物、スパルタクスがモデルとなっています。現在でも人気のある作品ですが、スパルタクスもガイーヌと同様に、組曲として演奏される機会の多い作品です。

まとめ

今回はハチャトゥリアンの音楽的特徴とおすすめ代表作をご紹介しました。クラシックの作曲家と聞くとベートーヴェンやモーツァルト、バッハなどの古い人物を想像しがちですが、ハチャトゥリアンは1970年代後半まで生きた現代の作曲家です。伝統的なクラシック音楽を重んじながら、祖国の民族性を忘れず自身の作品に取り入れた作風は多くの聴衆を感動させました。

今回紹介した作品意外にも、ハチャトゥリアンには素晴らしい曲がたくさんありますので、ぜひご自身のお好みの作品を探してみてください。

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>>アラム・イリイチ・ハチャトゥリアンってどんな人?その生涯や性格は?死因は?

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