アレクサンドル・グラズノフの作品の特徴及び評価。おすすめ代表作6選

出典:[amazon]SINFONIEN 4 ES-DUR OP.

アレクサンドル・グラズノフ(以下グラズノフ)は、ロシアのサンクトペテルブルグに生まれた19世紀を代表する作曲家の1人です。幼少の頃から驚くべき音楽的な才能を発揮し周囲を驚かせました。

「ロシアの5人組」のメンバーと知り合ったことで、作曲家としての才能も開花させ、師匠であるリムスキー・コルサコフとは生涯の友人となりました。

演奏頻度が高い作曲家ではありませんが、素晴らしい作品を多く残しています。そこで今回は、グラズノフの作品の特徴やおすすめ代表作をご紹介します。

グラズノフの作品の特徴と評価

グラズノフは、幼いころからイエリンスキーという音楽教師の元で、徹底的にヨーロッパの古典音楽を教え込まれました。その後「ロシアの5人組」と出会ったことにより、ロシアの民族性を取り入れた音楽を学ぶようになります。この2つの経験がグラズノフにとって良い効果をもたらしました。

グラズノフの作品は、ヨーロッパ音楽(とりわけロマン派の音楽)とロシア民族音楽の融合という意味で、新しい世界観をもたらしました。グラズノフの作品を聞くと、ロマン派的作品でありながら、雄大な大地が産んだロシアの民族性を聞くことができます。グラズノフが「ロシアのブラームス」と言われるのはこのためかもしれません。

16歳という若さで交響曲を作曲し、大成功を収めたグラズノフ。ヨーロッパに旅行に行った際には、あのフランツ・リストにも面会しその才能を認められました。人生の後半では、サンクトぺてブルク音楽院院長に任命されるなど、その活躍は多岐に及びます。それと同時にグラズノフの世界的功績が認められ、イギリスのケンブリッジ大学とオックスフォード大学より名誉音楽博士号を授与されています。

20世紀に活躍することとなるストラヴィンスキーやショスタコーヴィチを育てたのも、グラズノフの大きな功績と言えるでしょう。

おすすめ代表作6選

グラズノフのおすすめ代表作6作品をご紹介します。あまり聞きなれない作品が多いかもしれませんが、どれも美しい名作ばかりです。

交響曲第一番「スラヴ」

グラズノフが賞賛されるきっかけとなった重要な交響曲です。この作品を作曲した当時、グラズノフは16歳という若さでした。「ロシアの5人組」のメンバーであったバラキレフの指揮で初演され、大成功を収めた作品です。

演奏が終わり作曲者が舞台に現れると、学生服姿のグラズノフを見た聴衆はとても驚いたそうです。ポーランド民謡をもとにした情緒豊かな作品で、4楽章構成で、演奏時間はおよそ40分です。

交響曲第五番「英雄」

1895年に作曲された交響曲です。グラズノフの交響曲の中でも人気のある作品となっています。古典的な4楽章構成で、演奏時間は35分程度です。1896年にグラズノフ自身の指揮で初演されました。

グラズノフはこの作品を「詩の建築」と称しており、本人の言うようにロマン派の雰囲気が全編に漂う傑作です。チャイコフスキーのピアノ協奏曲を初演したことで有名な、ピアニストのセルゲイ・タネーエフに献呈されました。

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交響曲第八番

1906年に完成された、グラズノフ最後の交響曲です。交響曲第九番の構想もあったようですが、「第九の悲劇」を免れるために作品を断念したと言われています。4楽章構成で、演奏時間はおよそ40分です。第4楽章の雄大なメロディーが聞く人の心を癒す名作です。

グラズノフが音楽院院長に任命されてから間もない頃の作品で、エネルギッシュに活動していた姿がこの作品から想像できます。

交響詩ステンカ・ラージン

1885年に作曲された、グラズノフ作品でも数少ない交響詩です。演奏時間はおよそ15分程度で、20歳のころに作曲されました。17世紀に実在したコサック、「スチェパン・ラージン」という人物をモデルに作曲された作品です。

コサックとは、ウクライナや南ロシアにいた武装集団のことで、リストの超絶技巧練習曲4番「マゼッパ」もウクライナのコサックにいた実在の人物です。1889年にパリ万博に赴いたときに、グラズノフ自身の指揮でこの作品を披露しています。

バレエ「ライモンダ」

チャイコフスキーのバレエ音楽「眠れる森の美女」以後において、ロシアバレエ音楽の傑作とされる作品です。13世紀ハンガリーの十字軍遠征の物語を元に作曲されました。全3幕4場から構成されています。1898年サンクトペテルブルグのマリインスキー劇場にて初演され、成功を収めました。

現在でも演奏機会が多い作品で、抜粋した作品も多くあります。初演から、さまざまな振付師によって上演されている名作バレエです。

イーゴリ公

「イーゴリ公」はアレクサンドル・ボロディンによって作曲されたオペラです。しかし完成を待たずしてボロディンはこの世を去ってしまいました。未完成のまま残されたこの作品を完成させたのはリムスキー・コルサコフとグラズノフでした。グラズノフは第3幕の「韃靼人の行進」部分を補筆しオーケストラに編曲しました。「イーゴリ公」はリムスキー・コルサコフとグラズノフという師弟コンビがいなければ、世に出ることはなかったでしょう。

1890年にマリインスキー劇場にて初演が行われました。20世紀に入ると、アメリカのメトロポリタン劇場でも上演されました。

まとめ

いかがでしたか?今回はグラズノフのおすすめ代表作6選をご紹介しました。普段あまり聞くことのない作曲家かもしれませんが、グラズノフの作品には素晴らしい曲が他にも多くありますので、きっとお気に入りの作品が見つかると思います。「ロシアのブラームス」とまで評されたグラズノフの作品をぜひ聞いてみてください。

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