武満徹の作品の特徴及び評価。おすすめ代表作11選

出典:[amazon]20世紀傑作選②〜武満徹:管弦楽曲集

戦後日本を代表する作曲家、武満徹。オーケストラ曲に尺八や琵琶を取り入れるなど、新しいアイディアと繊細なメロディーで、いまもなお多くの人々に愛されています。現代音楽は「意味がわからない」や「聞きにくい」と思われてしまいがちですが、武満の音楽には自然の美しさや、思想家のような奥深さがあり、聞く人の心を安らかにしてくれます。この記事では、そんな武満作品の特徴や、おすすめ代表作を紹介します。

武満音楽の特徴

武満徹の音楽には、電子楽器、尺八や琵琶などの和楽器を用いたオーケストラ曲、映画音楽、舞台音楽まで多くのジャンルがあります。とくに円熟期の武満作品は、空間に響き渡る静けさと深淵さを特徴とするようになり、「武満トーン」と呼ばれる独特な世界観を作り上げました。

武満音楽の評価

1958年「ソン・カリギュラフィⅠ」が国内の作曲コンクールに入賞したことで、武満への注目が高まり多くの作曲依頼が舞い込むようになりました。その後、指揮者レナード・バーンスタインのきっかけで作曲した「ノヴェンバー・ステップス」によって、武満の名は世界へと広がりました。武満の音楽は海外から高く評価され、芸術の発展に大きく寄与した人に送られる、芸術文化勲章やモーリス・ラベル賞がフランスより送られています。

また、クラシック音楽だけではなく、日本の映画音楽にも功績を残した武満は、日本アカデミー賞音楽部門において4度の作曲賞を受賞しました。

武満の死後、若手作曲家を発掘する目的で武満徹作曲賞が設けられ、1997年より毎年開催されています。

おすすめ代表作11選

武満徹の作品の中から代表作をご紹介します。武満の作品には、ピアノ曲からオーケストラ、管弦楽、歌謡曲まで幅広いジャンルがあります。()内は発表年です

弦楽のためのレクイエム(1957)

初期の代表作です。弦楽合奏曲形式となっており、友人の死を悼(いた)むために作曲されました。発表当初は評価されませんでしたが、作曲家のストラビンスキーがこの曲を聴いて絶賛したことで、大きく評価されるようになりました。2011年の東日本大震災の直後には、ニューヨークフィルハーモニーによって犠牲者への追悼として演奏されました。

雨の樹 素描Ⅱ(1992)

武満が作曲した最後のピアノ曲です。武満が若い頃から尊敬していたフランスの作曲家メシアンの死を偲(しの)び作曲された作品です。雨の樹というタイトルは、友人であった作家の大江健三郎の作品からインスピーレーションを受けて名付けられました。この作品を聞いていると、雨の雫が木々に落ちる瞬間が目に浮かびます。

ピアノ・ディスタンス(1961)

友人であった、作曲家でピアニストの高橋悠治のために作曲されました。音と音の繋がりを静かに表現した、武満の代表作の一つです。難解とも言われていますが、聞くたびに武満の世界観の深さを味わうことができます。

遮(さえぎ)られない休息1〜3(1952・1959)

古くから親交のあった、詩人瀧口修造の詩「遮られない休息」からインスピレーションを受けて作曲されました。1〜3の表題には、それぞれ「ゆっくりと悲しく語りかけるように」「静かに、残酷な響で」「愛のうた」などのように、演奏指示が記されています。

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3つの映画音楽(1994-1995)

武満は多くの映画音楽を作曲しました。その中から武満自身が3曲を選び、弦楽オーケストラのために編曲した作品です。晩年の武満は、かつて自分が関わった映画音楽の編曲を次々と発表しています。ちなみに、黒澤明の名作映画「どですかでん」や「乱」は武満が音楽を担当しています。

小さな空(1962)

武満自身が作詞・作曲した混声合唱曲の1つです。伴奏とともに独唱でもよく歌われ、いまでも多くの人に親しまれている曲です。しみじみとした趣の深い作品で、聞く人に心の安らぎを与えてくれます。歌曲集「うた」(songs)の中の1曲で、他に「○と△の歌」や「死んだ男の残したものは」「燃える秋」などがあります。

海へI〜Ⅲ(1981)

「夜」「白鯨「鱈岬(たらみさき)」の3曲で構成されています。1980年代に入ると、武満の作品は実験的音楽から離れ、心の内面の美しさを表現するようになりました。この曲は、武満作品の中でも演奏されることの多い作品です。「海へⅠ」「海へⅡ」「海へⅢ」それぞれの演奏形態が異なっているのも、作品の魅力となっています。

鳥は星形の庭へ降りる(1977)

サンフランシスコ交響楽団の依頼で作曲された管弦楽作品です。同年に友人の小澤征爾指揮により初演されています。静かに少しずつ音が現れはじめて、やがて音全体が1つの集合体になるような冒頭部分がとても印象的です。鉄琴やチェレスタが神秘的に奏でられているのが特徴で、この曲も武満を代表する作品の1つです。

ア・ストリング・アラウンド・オータム(1989)

フランス革命200周年を記念して作曲されました。初演は1989年、パリ管弦楽団によって演奏されました。語りかけるようなヴィオラの音色と、パリの街中を描写したようなオーケストレーションが魅力の1曲です。この曲で、武満は国際モーリス・ラヴェル賞を受賞しています。

遠い呼び声の彼方(かなた)へ!(1980)

民主音楽協会の依頼で作曲されたヴァイオリンと管弦楽のための作品です。同タイトルの著書も書いています。河の流れが海へ入る光景をイメージして作曲されたそうです。完成後は、妹に献呈されています。

ノヴェンバー・ステップス(1967)

琵琶と尺八を用いたオーケストラ曲です。この曲をきっけに、武満は世界的に注目されることになりました。世界中のオーケストラが演奏していますが、尺八と琵琶のソロパートだけは、横山勝也(尺八)と鶴田錦史(琵琶)が担当していたそうです。2人が亡くなったあとは、次世代の演奏家にその役割が引き継がれています。

まとめ

今回は武満徹の代表作11選を紹介しました。クラシック音楽だけではなく、映画やドラマ作品も数多く手がけた武満作品には、他にも名曲がたくさんあります。現代音楽になじみのない方も、これを機会にぜひ武満作品に触れてみてください。きっとお気に入りの作品が見つかると思いますよ。

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