ガブリエル・ユルバン・フォーレの作品の特徴及び評価。おすすめ代表作6選

出典:[amazon]Faure: Piano Works / Chamber Muisic / Orchestral & Choral Works / Requiem

ガブリエル・ユルバン・フォーレは1845年、フランスに生まれました。19世紀から20世紀にかけてフランス近代音楽を支えた重要な作曲家です。あまり作品数は多くありませんが、ピアニスト、オルガニスト、作曲家、大学教授として後進の教育に力を注ぎました。フォーレが亡くなったときには、その功績を讃えて国葬が執り行われたほどの人物です。今回は、フォーレの作品の特徴と、おすすめ代表作をご紹介します。とても精神性の高い音楽ばかりなので、きっと心に響く作品があると思いますよ。

フォーレの作品の特徴と評価

フォーレの作風は、初期・中期・後期の3つの時期に分けられます。

  • 初期・・・1860年から1885年
  • 中期・・・1885年から1906年
  • 後期・・・1906年から1924年

初期の作風は「ヴァイオリンソナタ1番」や「ピアノ4重奏曲第1番」に代表されるように、はっきりとしていて、明快なメロディーと躍動感に溢れた作品が多く作曲されており、調性が分かりやすい作品となっています。

中期になると、「レクイエム」や「パヴァーヌ」「ペレアスとメリザンド」など、ロマン派的傾向が強い作品へと転換していきます。少しずつ調性を崩しながらも、美しいメロディーを歌わせるフォーレらしい作風が垣間見られる時期です。この時期は、フォーレの内的精神性が充実し、作品にもその充実度が反映されています。

後期は難聴に苦しんだ時期ではありますが、舟歌をもっとも多く作曲した時期であり、「ヴァイオリンソナタ2番」を完成させた時期でもあります。とりわけ「ピアノ3重奏曲」は、不必要な装飾を避けてより精神性の高い作品となっています。

生涯を通して音楽と関わり、19世紀から20世紀にかけてフランス音楽界の橋渡しを果たしたフォーレは、その多大な業績が讃えられフランス本国より勲章を授与されています。フォーレ自身の作品への評価もちろんのこと、後世の偉大な作曲家を多く育てたという点も、フォーレが大いに評価されている理由です。

ペレアスとメリザンド

フランスの作家メーテルリンクの同タイトルの戯曲から作曲した劇付随音楽です。1893年に初演され、続いて1895年にはロンドンで公演されました。現在では劇そのものよりも組曲として演奏される機会が多い作品です。

第2幕の「シチリアーノ」が有名で、元々はピアノとチェロのために作曲されましたが、現在ではピアノ独奏やフルートによって演奏されています。とても幻想的で美しい作品です。ドビュッシーやシェーンベルクにも同タイトルの作品があります。

ピアノ組曲「ドリー」

1893年から1897年にかけて作曲された6曲からなる組曲です。フォーレが親しくしていたエンマ・バルダックの娘エレーヌの誕生日祝いに書かれた曲を中心に編成されています。「ドリー」とはエレーヌの愛称で、フォーレはのちにエレーヌへこの組曲を捧げています。

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初演は1898年、ピアニストのアルフレッド・コルトーとドゥアール・リスラーの連弾で演奏されました。

ヴァイオリンソナタ1番

1876年に作曲されたフォーレ初期の傑作です。翌1877年にフランス国民音楽協会による主催で初演されました。全4楽章からなり、およそ20分にも及ぶ大作です。初演は大盛況のうちに終わり、アンコールでは3楽章のスケルツォが再度披露されたという逸話が残っています。30歳だったフォーレの躍動感や活動力に溢れた傑作ヴァイオリンソナタです。

舟歌 1番

全13曲からなるピアノ曲です。舟歌とは夜想曲や幻想曲などと同じ「表題音楽」です。多くは8分の6拍子または8分の12拍子からなり、この形式はヴェネチアのゴンドラ漕ぎの歌に由来しています。フォーレは1881年から1921年までの長期にわたり舟歌を作曲しており、フォーレの作風の変化がよくわかる作品です。ショパンやメンデルスゾーン、ラフマニノフも舟歌を作曲しています。

月の光

1887年に作曲された歌曲です。フランスの詩人ポール・ヴェルレーヌの詩に曲をつけた作品です。「月の光」と言えば有名なのはドビュッシーの作品ですが、フォーレの「月の光」も美しく、詩の持つ抒情的雰囲気を余すことなく表現しています。

レクイエム

1888年に初演されたフォーレ中期の傑作です。しばしばモーツァルト、ヴェルディの作品とともに「3大レクイエム」の1つに数えられます。マドレーヌ寺院で初演されたときにはそれほど評価が高いものではなかったそうです。その理由は、作風が既存のレクイエムの形式をとっておらず、構成が斬新であったためです。レクイエムは通常「怒りの日」などの決まった形式がありますが、フォーレのレクイエムには「怒りの日」がなく一般的なミサ曲として採用できない構成になっています。

発表時は評価されませんでしたが、現在ではフォーレの作品の中でももっとも演奏される機会の多い作品です。レクイエムらしい荘厳さが、人々の心に響きます。

まとめ

フォーレの作品の特徴とおすすめ代表作6選をご紹介しました。フォーレ自身は大作を作曲するのが好きではなかったようで、交響曲のような作品もありません。それに加えて、オルガニストや音楽院院長などを掛け持ちしていたため、作品数も多くありませんでした。しかしフォーレの作品には、人間が持つ崇高さや、精神の清らかさが強く表れています。心を落ち着かせたい方は、ぜひフォーレの作品に触れてみてください。

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