【保存版】中世ヨーロッパの騎士道を分かりやすく学べる本15選

中世ヨーロッパの騎士道について、どんなイメージをお持ちでしょうか。白馬に乗った騎士が勇ましく戦場を駆け抜け敵を打ち破り、また困っている美しい貴婦人を助け、あるいは自らの名誉のために一騎打ちの決闘をする…という場面を想像する方も多いのではないでしょうか。

実際の騎士道でも、勇気、礼節、名誉、そして女性に対する奉仕などが重要とされています。そこにあるのは、男性として、また人間として完成された理想像といって過言ではないでしょう。そして、現代のヨーロッパにおいても、騎士道精神の目指すものは、社会におけるマナーや紳士としての振る舞いなどに色濃く受け継がれています。

では、騎士道はどのように生まれ、現在のような形になっていったのでしょうか。
今回は、中世ヨーロッパの騎士道を分かりやすく学べる本15選をご紹介します。

1. 中世ヨーロッパ騎士事典(クリストファー・グラヴェット 森岡敬一郎:日本語版監修)

あすなろ書房『知のビジュアル百科』シリーズ。9世紀、西ヨーロッパほぼ全域を支配したフランク王国の分裂後、領主・騎馬の戦士・農奴という身分に分かれ封建制度が成立しました。騎馬の戦士は騎士と呼ばれ、やがて中世ヨーロッパにおける重要な存在となっていきます。
本書では、各民族が入り乱れて戦争を行う一方、それぞれの文化から影響を受けて騎士道が成立していく過程や、甲冑の付け方や武器、城での戦い方はもちろん、騎士の興隆から職業兵士の誕生と騎士道の没落まで、中世の騎士について学べるバランスのとれた入門書となっています。

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2. 図説 騎士の世界(池上俊一)

東京大学名誉教授の歴史学者である著者が、騎士道とは何かを語る1冊。
騎士道の成立にはキリスト教が深く関わり、忠誠・慈悲・信仰などの要素はその影響を受けています。しかし12世紀後半の宮廷詩人クレティアン・ド・トロワが歌った騎士道物語(ロマンス)の大流行によって、高い教養と礼節をもち、貴婦人を愛し奉仕してこそ一人前の騎士、という新たな要素が加わっていきます。
こうして出来上がった理想的な騎士のイメージは、中世社会全体に影響を及ぼし、やがて騎士が歴史の表舞台から退場したのちもヨーロッパ全体の文化に大きな遺産を遺しました。そのいきさつが手に取るようにわかる、中世ヨーロッパの騎士道のテキストにふさわしい内容となっています。

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3. 馬上槍試合の騎士 トーナメントの変遷(クリストファー・グラヴェット 須田武郎:訳)

中世の騎士たちにとって、馬上槍試合(トーナメント)は、自らの命と名誉をかけ技量を示す機会でした。
本書では、騎士道文化が興隆した12世紀から16世紀の騎士たちの武芸大会について、美麗で忠実なイラストとともに解説していきます。1278年のウィンザーの武芸大会のページの主役は、ベンブローク伯ウィリアム・ド・ヴァランス。絹のサーコートを身に纏い、頭には金色の兜が輝く勇猛な姿に描かれており、対するロジャー・ド・トラムビントンの兜は銀色であることから、彼の身分は高くないことも読み取れます。
当時の騎士の生き生きとした活躍を垣間見ることができ、騎士道についての知識も深まる1冊といえるでしょう。

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4. 騎士道百科事典(コンスタンス・B・ブシャード:監修 堀越孝一:日本語版監修)

図鑑のようなサイズの本書はまさに、ヨーロッパの騎士道についての百科事典。騎士が登場した当初、彼らに求められたのは戦場での勇気、忍耐力、戦闘技術などでした。12世紀、若い貴族階級が騎士を名乗るようになると、騎士道はまた新しい要素を取り込んでいきます。それは、宮廷的礼節(コートゥジー)でした。『洗練された作法で会話し、優雅に踊り唄い、立派に着飾り、そして自身を清廉に保つことが騎士に求められた』(第2部第2章本文より)のです。貴婦人からは優美な振る舞いを、司祭からは古代ローマのストア派の思想を受け継ぎ、騎士道は完成していったという著者。その深い造詣により、ヨーロッパ文化の土台から騎士道を学ぶことができる作りとなっています。

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5. 図説 西洋騎士道大全(アンドレア・ホプキンズ 松田英・都留久夫・山口恵里子:訳)

アーサー王物語や騎士道についての著作を多く持つ歴史家の手による、騎士道の真実の姿を探る1冊。馬にまたがり鋼鉄の甲冑を身にまとい、気高く振る舞い、美しい乙女を助け、自らの命も顧みず勇敢に戦う…。それが私たちの思い浮かべる騎士道、騎士のあるべき姿です。
この本は、騎士道によって作り上げられた気高い騎士像と、実際にはそうとばかりも言えない実際の姿、虚実ないまぜになった騎士の真実をひとつひとつ紐解き、変容する中世社会の中で形骸化していった騎士道の姿を克明に描き出しています。

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6. 騎士団(須田武郎)

本著は、騎士たちの所属した騎士団に注目し、ヨーロッパの騎士道について深く掘り下げます。
ゲルマン人の大移動をきっかけに、彼らは戦争を行いながらローマ人の土地に移住し、彼らの支配階級となり、国を形成。やがてその国々はローマ文化を下敷きとしながらそれぞれの特色を持つようになっていきます。
騎士と騎士団、十字軍と宗教騎士団、イングランドの内戦ばら戦争。時代がくだるにつれ、戦いのルールは変容し、いつしか戦場の主役は平民の専業兵士たちへと移り変わり、騎士は歴史の表舞台から消えていった様子を詳しく知ることができます。中世の封建制についても詳しく解説しており、当時の騎士と騎士道のありかたがよくわかる1冊。

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7. 絵解き中世のヨーロッパ(フランソワ・イシェ 倉持不三也:訳)

高名なフランスの歴史学者である著者が、中世社会のありかたを三つの身分、祈る人=聖職者、戦う人=騎士、働く人=労働者と分けて紹介。騎士の章では、貴族の子孫が騎士になるまでの道が描かれます。幼いころから騎士の人形で遊び、貴族の婦人たちから先祖の伝承を聞くことで騎士のあるべき姿を叩きこまれ、7歳で初めて両親と同じ食卓につき、そこから修行が始まるのです。彼らは親と親しい領主のもとに小姓として預けられ、騎士になるために馬術や狩りの方法から、ラテン語、音楽、ダンスまで必要な教育を施され、騎士叙任式を目指します。中世を、人々の暮らしという視点から読み解き、社会の中での騎士という身分の意味合い、そして騎士道とは何かについても、専門家の目で分析しています。

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8. アーサー王 その歴史と伝説(リチャード・バーバー 高宮利行:訳)

騎士というイメージの原型であり、騎士道文学の大きなジャンルのひとつでもあるブリタニアの伝説的な王、アーサー王の物語。そこには、武勲による建国神話、高潔な騎士たちの遍歴、美しい婦人との宮廷風恋愛、聖杯探究に象徴されるキリスト教精神といった、騎士道に欠かせない要素がすべて含まれており、アーサー王の物語を分析することは、騎士道について理解することに他なりません。
本書は、考古学、地理学、文献学をもとに、アーサー王伝説の素朴な実像を導き出すことで、のちの人々が何を求め、どのように歴史と伝承を織り交ぜて理想の騎士の姿を作り上げていったのかを浮き彫りにしています。

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9. ヴィジュアル版 中世の騎士 武器と甲冑・騎士道・戦闘技術(フィリス・ジェスティス 大間知知子:訳)

その名の通り、彩色写本の挿絵から光り輝く兜や甲冑、十字軍によって建造されたエルサレム王国最大の城砦クラック・デ・シュヴァリエの写真に至るまで美しいカラー写真を配し、あますところなく騎士の文化を紹介する本書。9世紀のシャルルマーニュ軍の指揮官ロランの武勲をうたった『ロランの歌』をはじめ、聖杯探求の騎士ペルスヴァルなど、宮廷詩人たちが歌う騎士道文学は王への忠誠、婦人に捧げる愛、神への信仰を柱として美化されていきました。そして時代の流れにより、騎士たちが信仰の体現者として十字軍の遠征というキリスト教世界とイスラム世界との衝突へと駆り立てられていくさまを克明に描いています。

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10. 騎士道(レオン・ゴーティエ 武田秀太郎:編訳)

レオン・ゴーティエは19世紀の騎士道研究者であり、中世の騎士たちの功績を謳った叙事詩の一分野、武勲詩の研究に人生を捧げました。その集大成が『La Chevalerie(騎士道)』であり、現在でも後続の研究者たちのバイブルとなっています。その名著を、マルタ騎士団に長年の国際人道支援の功績をたたえられ騎士(ナイト・オブ・マジストラル・グレース)を受勲した武田秀太郎氏が翻訳。
訳者による丁寧な用語の解説リストから始まり、ゴーティエが明文化した騎士道における重要な柱、『騎士の十戒』についても詳しく述べています。騎士道を正しく、深く知りたい方に。

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11. フランス騎士道 中世フランスにおける騎士道理念の慣行(シドニー・ペインター 氏家哲夫:訳)

ジョンズ・ホプキンズ大学の准教授である著者が、騎士道を、封建騎士道・宗教騎士道・宮廷風恋愛の3要素に分類し、多くの古書資料を引用しながら分析していきます。
当初は戦場における武勲のみが重要であった騎士道に、神への信仰、主君と国家への忠誠という要素が加わったのは12世紀。知識人ソールズベリーのジョンの著『ポリクラティクス』が発端でした。中世社会において、支配階級にのし上がったゲルマン人の民族的価値観と、支配された側のローマ的文化がぶつかりあい、様々な階級や職業の人々の思惑が相互に影響し、騎士道が形成されていったことを丹念に描き出す良書となっています。

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12. 騎士道物語 冒険とロマンスの時代(リチャード・バーバー 田口孝夫:監訳)

中世では、いかに優秀な騎士を集められるかが主君の命運を分けました。金で雇われた傭兵では忠誠心がなく、条件次第でいつでも裏切られる可能性があったからです。それに比べ、騎士になるのは容易なことではなく、馬術、槍・剣・盾の扱いを身につけ、礼儀作法を学び、武功を立てなければなりません。時間をかけて騎士を養成し、衣服や土地などの報酬を惜しみなく与えることが必要となります。しかしそれによって騎士の忠誠心を得ることには、他に替えられない価値があったのです。
本書では主にイングランドの王たちの実例を引きながら騎士の存在意義をあぶり出し、騎士道の歴史を俯瞰します。

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13. 決闘の社会文化史 ヨーロッパ貴族とノブレス・オブリジェ(山田勝)

神戸市外国語大学教授の著者が、決闘をテーマにヨーロッパの騎士道とその歴史を紐解きます。
中世以降、自らの名誉が汚された時には命を賭けた決闘によって名誉を回復する、という文化がヨーロッパ貴族にはありました。彼らにとって、決闘には事細かなルールがあり、その段取りを無視することは許されなかったのです。その起源には、騎士と騎士道精神が深く関係しています。
職業としての騎士が没落し社会から姿を消した後も、現代にまで多大な影響を与えている騎士道精神。本書はその正体を、騎士道文化が結んだ決闘という果実を通じて見極めようとする試みです。

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14. 図説 ヨーロッパの紋章(浜本隆志)

誰もがどこかで目にしたことのある、西洋の紋章。十字架や剣、王冠など紋章にあしらわれた意匠はそれぞれ意味を持ち、出身地や戦争への参加など家柄の歴史が表現されており、紋章学という一分野を形成するほど奥が深いものです。そして、紋章の成立には騎士という存在が深く関わっています。
古代ギリシャの時代から存在していた紋章は、中世において、封建制度が確立したことにより大きな変化を迎えます。紋章はその騎士の出自を表す役目を担い、戦場においては敵味方を区別する目印として重要なものとなっていったのです。紋章の成立に深く関わる騎士たちの生活や騎士道精神について知るとともに、紋章学の面白さにも触れることができる興味深い1冊。

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15. 中世の秋 上・下(ヨハン・ホイジンガ 堀越孝一:訳)

1919年に出版されたオランダの歴史家ヨハン・ホイジンガの『中世の秋』。名門ライデン大学の教授時代に書かれた本書は、中世研究の名著です。騎士道という理念は、騎士という階級にとどまらず、個人が目指すべき人物像であると同時に社会の守り手の理想像として、中世の社会全体に影響を及ぼしていました。
ホイジンガの歴史観を受け継いだ西洋史学者であり、学習院大学で長く教授を務めた堀越孝一氏の優れた訳により、研究書でありながら文学的な響きすら漂う格調高い文章によって、西洋の人々に騎士と騎士道精神というものが何をもたらしたのか知ることができます。

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まとめ

いかがだったでしょうか。古く出版されて中古のみの稀少な本もありますが、様々な観点で騎士道が検証されていることがよくわかったと思います。是非、本を手に取っていただきその世界に触れていただければと思います。

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