アレッサンドロ・スカルラッティ「陽はすでにガンジス川から」「すみれ」の解説・分析。ピアノ伴奏の難易度や聴きどころは?

出典:[amazon]Alessandro Scarlatti Collection (30CD)

今回ご紹介するのは、アレッサンドロ・スカルラッティ(1660年-1725年)です。彼はバロック期を代表とするイタリアの作曲家の一人ですが、特にオペラとカンタータでは名が知れています。そして、オペラにおけるナポリ楽派の始祖と考えられています。
そんな彼の作品から、「陽はすでにガンジス川から/Già il sole dal Gange」、「すみれ/Le Violette」について、解説・分析、そしてピアノ伴奏の難易度や聴きどころをお伝えします。
是非最後までご覧ください。

アレッサンドロ・スカルラッティの紹介

スカルラッティは1660年にシチリア島のトラーパニ、もしくはパレルモで生まれます。
彼の初期の作品は「ストラデッラ」や「レグレンツィ」といった北イタリアの有名な作曲家の影響をとても受けていることから、スカルラッティはローマの「ジャコモ・カリッシミ」に教えを受けていたとされています。
ナポリで評価されたあと、ローマでもスカルラッティの音楽がとても評価されていました。
スカルラッティの素晴らしいオペラの数々は、聖セシリアの祝日のため、1721年にアクアヴィーヴァ枢機卿に献呈された合唱とオーケストラによるミサを含む気品高い作品たちと同様、高い評価を受けていました。
沢山の作品を世に放ってきたスカルラッティですが、最後はナポリにて1725年に亡くなります。
生涯最後の作品は、スティリアーノ王子の婚礼のために作曲され、未完成に終わった「セレナータ」となりました。とても悔いの残る最後となってしまいました。

陽はすでにガンジス川から/Già il sole dal Gange

この曲は、アレッサンドロ・スカルラッティが作った歌劇「愛の誠/L’honesta negli amori」の劇中に歌われるアリアとなっています。この歌劇は、1680年当時ローマに住んでいた、スウェーデン女王のクリスティーナの館で上演されたものです。

歌詞

Già il sole dal Gange
più chiaro sfavilla
e terge ogni stilla
dell’alba che piange
Col raggio dorato
ingemma ogni stelo
e gli astri del cielo
dipinge nel prato

対訳

今や太陽はガンジス川から
さらに明るく輝いて
朝もやの涙を
一滴残さずかわかしてゆく

こがね色の日差しで
あらゆる緑を飾り立て
天なる星たちで
牧場(まきば)を彩る

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歌詞の解説、聴きどころ

この曲はガンジス川から昇った太陽の光が、露にきらめく草木を照らす情景を、躍動感あふれる旋律で活き活きと歌い上げているのが聴きどころです。
17世紀のイタリアでは、太陽が昇るときは「東方」に位置するインドのガンジス川から昇るのだと考えられていました。この詩には、大きな憧れ、夢、希望が込められていると思われます。

ピアノ伴奏の難易度

「陽はすでにガンジス川から」のピアノ伴奏は中級になります。
特に難しいテクニックも必要は無く、ピアノを習ってきた方なら、すぐ弾けるかと思います。

すみれ/Le Violette

この曲は、オペラ「ピッロとデメートリオ」のマリオのアリアになっています。
作曲はスカルラッティですが、作詞はA.モレッリが担当しています。

歌詞

Rugiadose,odorose
violette graziose,
voi vi state vergognose,
mezzo ascose―fra le foglie
e sgridate le mie voglie
che son tropp’ambiziose!

対訳

露に濡れて 匂いの良い
優美なスミレ
あなたたちは恥ずかしがりながら
葉の間に半分隠れて
私の欲求をとがめている
あまりにも野心的である

歌詞の解説、聴きどころ

軽快なピアノのメロディが聴きどころで、愛らしさを感じさせ、多くの人に愛されている作品です。
「すみれ」は、牧童のマリオが、エピロスの王・ピッロたち貴族の前で、高貴な貴婦人たちの美しさを、〈菫〉に例えて歌ったものになります。

ピアノ伴奏の難易度

「陽はすでにガンジス川から」同様、中級になります。
少しテンポが速いですが、まずはゆっくりと弾き方を覚え、そして強弱のつけどころを意識すると良いですね。

まとめ

今回は、「陽はすでにガンジス川から」「すみれ」を取り上げてみました。
どちらも魅力的な曲で、彼が支持されていることがよく分かる曲になっています。
気に入りましたら、色んな歌唱、伴奏を聞くと楽しいかと思います。是非自分の好みの演奏をされている方を見つけてみてください。
そして、一度自身でも弾いてみてくださいね。
YouTubeでは伴奏動画などもありますので、参考にしてみてください。
このサイトでは、作曲家、アレッサンドロ・スカルラッティのことを他の記事で、より詳しく取り上げています。他にも、有名な作曲家のことも取り上げていますので、是非見てみてくださいね。
最後までご覧いただきありがとうございました。

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>>アレッサンドロ・スカルラッティってどんな人?その生涯や性格・死因は?

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