シャルル・ケクランの作品の特徴及び評価。おすすめ代表作3選

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フランスの作曲家ジュール・マスネやガブリエル・フォーレに師事し、作曲家・音楽教育者として活躍したシャルル・ケクラン。日本ではあまり知られていない音楽家ですが、祖国フランスでは近代フランス音楽史において重要な役割を果たしました。作曲家としては大きな成功を収めることはありませんでしたが、その卓越したオーケストレーション能力は、フォーレやドビュッシーから高い評価を獲得しています。

そこで本記事では、シャルル・ケクランの作品の特徴やおすすめ代表作3選を紹介します。
なかなか聴く機会のない作曲家ですので、ぜひ最後までお楽しみください。

シャルル・ケクランの作品の特徴や評価

シャルル・ケクランの作品にはどのような特徴があるのでしょうか。

生涯で200曲を超える作曲

ケクランには「誰もが知る名曲」はないものの、生涯で200曲以上もの作品を作曲し、その作曲意欲は生涯衰えませんでした。ケクランは自然や東洋的神秘思想、フランス民謡やヘレニズム文化、そして天文学など、さまざまな分野にインスピレーションを受け、多種多様なジャンルの作品を残しています。なかでも、交響詩や大編成オーケストラに強いこだわりを持ち、生涯のライフワークとして作曲を続けました。

この経験により、ケクランはオーケストレーションの才能を開花させ、フォーレやドビュッシー、ラヴェルからの評価へと繋がったと考えられます。あまり知られていませんが、ドビュッシーのバレエ『カンマ』に最終的なオーケストレーションはケクランによって施されました。

教師として後世の優れた音楽家を育てた

音楽教育者として各地を巡ったケクラン。残念ながらパリ高等音楽院での教授職には任命されなかったものの、外部試験管や個人授業によって多くの次世代の音楽家たちを育てています。「フランス6人組」のジェルメーヌ・タイユフェールやフランシス・プーランもケクランのもとで音楽を学び、新しいフランス音楽の潮流を生み出しました。
また、ダリウス・ミヨーはケクランの弟子ではなかったものの、親しい友人となり、他のどの教育者よりもケクランから多くを学んだと、後年回想しています。

このことから、革新的で進歩的だったケクランは、新時代の若者たちからも慕われる存在だったことがうかがえます。

シャルル・ケクランのおすすめ代表作3+補足

ケクランのおすすめ作品を3つ紹介します。さらに今回は、ケクランがオーケストレーションを担当した、フォーレの「シシリエンヌ」も解説しますので、併せてお聴きいただければ幸いです。

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星降る天穹(てんきゅう)に向かって

本作は1923年から1933年にかけて作曲された、管弦楽のための夜想曲です。この作品には、少年時代、天文学者に憧れていたケクランの純粋な思いが込められています。結局、ケクランは音楽の道へ進むことになりましたが、自作で望遠鏡を作るほどのアマチュア天体観測家として、夜空を楽しんでいたそうです。
初演は作曲からおよそ半世紀後の1989年、ドイツのベルリンで行われました。
演奏時間は13分程度の短い作品ですが、夜想曲にピッタリの優雅な1曲となっています。

ペルシャの時間

ケクランをもっとも代表する全16曲からなるピアノ小曲集です。本作は、フランスの小説家で旅行家でもあったピエール・ロティの『Vers Ispahan』(ペルシャ横断の旅を詳述した作品)を題材に作曲されました。作品は1913年に着手され、6年後の1919年に完成しています。
ピアノ小曲集の完成後、ケクラン本人によって管弦楽版にもアレンジされました。
全体的にとても控えめな作品でありながら、ペルシャの風景を連想させるケクラン渾身のピアノ小曲集です。

田舎の古い家

1932年に作曲され、1937年に楽譜出版されたピアノ独奏用曲です。この作品はケクランが幼少期に過ごした、スイス湖畔の祖父との思い出をもとに作曲されました。全12曲で構成されており、1935年に数曲抜粋という形でケクラン自身によって初演されています。
ケクランが初演で演奏した作品は以下の通りです。

第1曲・・・歓迎のおもてなし
第2曲・・・古いアルバムから
第4曲・・・ピアノのレッスン
第5曲・・・ルイ15世のテラス
第8曲・・・舟をこぎながら、湖上にて
第10曲・・・出発の前日
第12曲・・・老年の入り口から見た青春時代

どの作品も、思い出に浸るような幻想的な作品であるのが特徴です。

フォーレの「シシリエンヌ」

補足として、フォーレの「シシリエンヌ(シチリアーノ)」も紹介します。ケクランの卓越したオーケストレーションの才能を認めたフォーレは、代表作『ペレアスとメリザンド』の編曲をケクランに託しました。そしてケクランはフォーレの要求に見事に応え、名曲「シシリエンヌ」が現在の形として完成しました。
本作はケクランの作品ではありませんが、ケクランがいなければ、これほどの完成度には至っていなかったかもしれません。
誰でも1度は聴いたことのある名曲ですが、改めてお聴きください。

まとめ

シャルル・ケクランの作品の特徴やおすすめ作品を紹介しました。どの作品も、初めてお聴きになった方が多いのではないでしょうか。ケクランの作品には華やかさと、色彩溢れるメロディーが感じられるものばかりです。また近年、日本でも『やさしいピアノ作品集』(2020年)が刊行されており、これからピアノを学ぶ人々にとって馴染み深い作曲家になるかもしれません。

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