出典:[amazon]Puccini: Complete Opera Edition
イタリア・オペラの代表的な作曲家である、プッチーニの作品についてそれぞれ紹介をしていきますので、もし興味のあるものが見つかったら、ぜひ見たり聴いたりしてみて下さい。紹介するのは、プッチーニの「ご当地三部作」とも呼ばれている3つの作品です。
1.蝶々夫人
主な登場人物や上演時間
・蝶々さん(芸者をしていた日本人女性、15歳)
・ピンカートン(アメリカ海軍士官)
・シャープレス(領事)
上演時間は約2時間20分です。
簡単なあらすじ
舞台は長崎、ピンカートンと蝶々さんの結婚が決まります。しかしピンカートンは、この結婚を永遠の愛だとは思ってはいませんでした。それに対し蝶々さんは、この結婚に向けてキリスト教に改宗をしていたため、怒った叔父が登場します。ピンカートンは蝶々さんを慰めました。
そして3年が経過するころ、ピンカートンはすでにアメリカに帰国し、アメリカ人女性と結婚をしています。しかしピンカートンを信じて待っている蝶々さんの元には、ピンカートンと蝶々さんの子供がいました。
そしてアメリカの船が来たことを知らせる音を聞いた蝶々さんは、ピンカートンが戻ってきたと喜び、その帰りを待ちます。しかしピンカートンは、アメリカ人の結婚相手を連れてきていました。ピンカートンは蝶々さんに自身で真実を伝えることができずに、その場から立ち去ってしまいます。
しかし真実を知った蝶々さんは、「子供はピンカートンと相手の女性が育てる」という提案を受け入れました。そして、蝶々さんは刀で自害することを選択し、ピンカートンが駆け付けた時にはもう遅く、蝶々さんは亡くなってしまいました。
作品に関するエピソード
短編小説をもとに作られた戯曲がありましたが、さらにそれをもとに作られたのが、このプッチーニの「蝶々夫人」です。1904年に初演が行われましたが失敗してしまい、その年の内に改訂されたもので成功を収めました。また蝶々さん役は、「ソプラノ殺し」としても知られています。作品中の2幕で歌われる、「ある晴れた日に」が最も有名です。
2.トゥーランドット
主な登場人物や上演時間
・トゥーランドット(姫)
・カラフ(身分を隠しているダッタン国の王子)
・ティムール(カラフの父親)
・リュー(カラフに片思いをしている召使、原作には登場しない)
・ピン、ポン、パン(大臣たち)
上演時間は約2時間です。
簡単なあらすじ
物語の舞台は北京です。そこでは、トゥーランドットと結婚したければトゥーランドットが出す3つの謎を解くことが条件、もしそれがクリアできなければその男は処刑される、という内容の宣言がありました。そして名乗りを上げたけれど謎を解くことができなかった、ペルシアの王子が処刑されようとしています。
そんな中、国を追われたティムール、リュー、カラフが再会を果たします。しかしカラフは、処刑を見に来たトゥーランドットに一目ぼれをしてしまい、そのまま求婚の宣言をしてしまいました。そしてカラフは謎を3つとも正解することができたのですが、トゥーランドットは結婚を拒みます。そんなトゥーランドットに対しカラフは自分も謎を出すのですが、それは、夜明けまでに自分の名前を知ることができれば、自分は死ぬという内容でした。
するとトゥーランドットは街に対し、求婚者の謎を解くまでは誰も寝てはならない、という命令を出します。ピン、ポン、パンはカラフを説得しようとしますが、それは拒まれてしまいました。しかしティムールとリューが捕まり、拷問を受けたリューはカラフの名前を言わないまま自害します。
そしてトゥーランドットの気持ちが変化していき、カラフと想いが通じ合うと、歓声の中でオペラは終了です。
作品に関するエピソード
原作はカルロ・ゴッツィの戯曲で、それをもとにした作品はプッチーニの前にもいくつかあったようです。初演は1926年にミラノで行われました。作品中の「誰も寝てはならぬ」が、特に有名な1曲です。
この作品を作っている途中でプッチーニは病気の診断を受け、作品が最後まで完成しないまま亡くなりました。その後補作されましたが、指揮者は本番中に、プッチーニが作曲したところまでで演奏を止め、この部分まででプッチーニは亡くなったと宣言し、その日はそこで演奏が終了となったそうです。
3.西部の娘
主な登場人物や上演時間
・ミニー(「ポルカ」という酒場の女主人)
・ラメレス(盗賊、ジョンソンと名乗る)
・ランス(ミニーに気がある保安官)
上演時間は約2時間10分です。
簡単なあらすじ
舞台はカリフォルニア、酒場「ポルカ」の中は歌や噂話で賑わっていました。その酒場に現れたランスは、ミニーに自分の気持ちを伝えるのですが上手くはいきません。そこにジョンソンとしてラメレスが登場すると、ミニーはラメレスに惹かれてしまい、ランスは嫉妬します。ラメレスと2人きりになったミニーは、今夜は自分の所へと誘いました。
そして約束通り訪れたラメレスでしたが、そんな2人の所へ現れたランスたちによって、ミニーはラメレスの正体を聞かされてしまいます。ランスたちが帰った後、ラメレスへ出ていくようにと宣言したミニーでしたが、ラメレスは盗賊になった理由とミニーへの気持ちを伝え、そこから立ち去って行きました。しかしラメレスは待ち伏せにあい、重傷を負ってしまいます。
ミニーはラメレスを匿うことにしますが、ランスがそこへまた現れ、ミニーはランスにポーカーの勝負を挑みます。自分が勝ったらラメレスを見逃してほしいというミニーは、その時はいかさまでポーカーに勝ったのですが、結局、後の別の場面でラメレスは捕まってしまいました。そして処刑されようとしていた所にミニーが登場すると、ミニーはラメレスを渡してほしいと願い出ます。その様子や言葉によって周りがミニーの願いを聞き入れると、そのまま2人はカリフォルニアを出て行きました。
作品に関するエピソード
この作品は、デイヴィッド・ベラスコの舞台劇を原作に作られ、1910年にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で初演が行われました。また最初は人気の公演として盛り上がりを見せますが、その期間は長くは続かなかったようです。
作曲中は、プッチーニの事件として有名な「ドーリア・マンフレーディ事件」が起きたことで、作曲にも影響が出ていました。
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