ジュール・マスネの作品の特徴及び評価。おすすめ代表作5選

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19世紀後半のフランスを代表する作曲家ジュール・マスネ。あまり聞き慣れない作曲家かもしれませんが、彼が作曲した「タイスの瞑想曲」は誰もが1度は聴いたことがあるほどの名曲です。おもにオペラの分野で優れた作品を残したマスネですが、オラトリオや管弦楽曲、バレエといったさまざまなジャンルで作品を残しています。そこで本記事では、マスネの作品の特徴とおすすめ代表作を5つ紹介します。

ジュール・マスネの作品の特徴や評価

神童として人生の早くから注目を集めたマスネ。彼の作品にはどのような特徴があるのでしょうか。今回はおもな特徴を2つ紹介します。

エキゾチックで色彩豊かなオーケストレーション

マスネが生きた当時のパリでは、エキゾチック(異国情緒)が流行した時代でした。クラシック音楽においては後期ロマン派の全盛期であり、また同時に、国民楽派が各国で登場した時期でもあります。そんな時代の要望に的確に対応したマスネは、古代エジプトやギリシャ神話、ルネサンス期のスペインなどを題材として取り上げ、エキゾチックで色彩豊かなオーケストレションを施しています。

200以上の作品を残し、多くの弟子を育てた

本記事ではオペラに絞って作品を紹介していますが、マスネはバレエやオラトリオ、カンタータ、管弦楽曲などさまざまな作品を作曲しました。作曲数は生涯で200曲を超えており、現在でもコンサートなどでたびたび演奏されています。なかでも、ヴァイオリン独奏の「タイスの瞑想曲」はもっとも知られる1曲です。

また、マスネは熱心な音楽教育者でもありました。36歳でパリ高等音楽院教授に任命されたマスネは、学生一人ひとりの才能を伸ばすように働きかけ、温厚な人柄から多くの弟子たちに恵まれました。フランスを代表する作曲家・教育者であるシャルル・ケクランもその1人であり、マスネはフランス音楽の発展にも大きな役割を果たしています。

おすすめ代表作5選

ジュール・マスネのおすすめ作品を5つ紹介します。
マスネのグランド・オペラは当時のフランスで大流行しました。

オペラ『エロディアード』

マスネは生涯で『ラオール王』『ル・シッド』そして本作『エロディアード』の3作のグランド・オペラを作曲しました。その中でも本作はもっとも完成度が高く、エネルギー溢れた傑作と言われています。フランスの文豪フローベールの『3つの物語』を基礎とし、ポール・ミーリエとアンリ・グレモンによりリブレット(台本)が書かれました。

全4幕6場で構成され、1881年、ブリュッセルのベルギー王立歌劇場にて行われた初演は大きな成功を収めました。初演以降55回の上演が行われ、これによりマスネは勲章を得たため、マスネにとって記念碑的な作品でもあります。

紀元30年頃のエルサレムが舞台となっており、演奏時間はおよそ2時間15分です。

オペラ『マノン』

本作はフランスの作家アベ・プレヴォーの小説『マノン・レスコー』をもとに制作されました。プレヴォーの作品は、当時から大変な人気があったようで、プッチーニやオベールなども同タイトルの作品を残しています。作品は1881年から作曲に着手され1883年に完成しました。

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初演は1884年、パリのオペラ=コミック座で行われ、こちらも大成功となりました。
マスネをもっとも代表するオペラ作品の1つであり、初演以来20世紀半ばまでに2000回以上も上演されたそうです。また現在でも人気が高く、演出を新たにたびたび再演されています。
上演時間は3時間弱で、全5幕構成となっています。

オペラ『ドン・キショット』

1910年に初演が行われた、マスネ後期を代表するオペラです。『ドン・キショット』とは『ドン・キホーテ』のフランス語読みで、内容もセルバンテスによる『ドン・キホーテ』を題材にしています。本作は伝説的バリトンであるフョードル・シャリアピンのために作曲された作品で、初演のドン・キショット役はシャリアピンが務めました。
上演頻度はそれほど多くありませんが、マスネの5本の指に入るほどの傑作とされ、スペイン情緒溢れるメロディーは、聴く人を圧倒します。

日本でも2000年5月に新国立劇場にて初演され、大きな話題となりました。
全5幕構成となっており、演奏時間はおよそ2時間です。

オペラ『タイス』

マスネの作品でもっとも有名なオペラが本作『タイス』です。この作品はフランスの作家アナトール・フランスの小説『舞姫タイス』を原作に制作されました。
1894年にパリのオペラ座で初演が行われ、1898年に新たに改訂版が初演されています。
マスネ作品中でもっとも上演機会の多い作品であり、間奏曲「タイスの瞑想曲」は誰もが1度は聴いたことのある名曲です。全3幕7場で構成され、演奏時間はおよそ2時間30分です。

組曲『絵のような風景』

最後は管弦楽曲から1曲。
オペラで大きな成功を収めたマスネですが、その他の分野でもさまざまな作品を残しています。なかでも有名な作品は組曲『絵のような風景』です。
マスネは7曲の組曲を作曲しており、第1作目を除くすべてのタイトルに「〜の風景」という副題をつけています。初演は1874年、パリのシャトレ座で行われました。
本作は4つの作品で構成される組曲で、それぞれに以下のタイトルがつけられています。

・第1曲・・・行進曲
・第2曲・・・舞踏曲
・第3曲・・・お告げの鐘
・第4曲・・・ジプシーの祭り

まとめ

マスネの作品の特徴と代表作を紹介しました。「タイスの瞑想曲」ばかりが有名ですが、現在でも『マノン』や『ドン・キショット』はマスネを代表するオペラ作品として、頻繁に上演されています。日本での上演機会はわずかですが、この記事をきっかけに、ぜひマスネのオペラ作品に触れてみてください。情緒溢れるフランスオペラが体験できるはずです!

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