[amazon]すぎやまこういち ゲーム音楽作品集
戦後日本をもっとも代表する作曲家の1人、すぎやまこういちさん。すぎやまさんといえば、大人気ゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズのBGM作曲者として知られていますが、実はゲーム音楽だけでなく、ポップスやCM曲、ファンファーレなど数多くの作品を残したことでも知られています。また、大学卒業後にフジテレビに入社したすぎやまさんは「ザ・ヒットパレード」をヒットさせ、日本のポップミュージックの発展にも多大な貢献をしています。
そんなマルチな才能を発揮したすぎやまこういちさんは、どのような人生を歩んだのでしょうか。
今回はエピソードを交えながら、すぎやまさんの生涯を紹介します。
すぎやまこういちの生涯
戦後日本のポップス界やゲーム音楽を発展させたすぎやまこういちさん。
すぎやまさんの人生は、まさにエンターテイメントそのものだったと言えるかもしれません。
子どもの頃から音楽に夢中
すぎやまこういちさんは、1931年、東京府東京市下谷(現・東京都台東区)に生まれました。
父は大学で教鞭をとるほどの人物で、いわゆるエリート層の家系に育ちます。幼少の頃から祖母が讃美歌を歌い、両親も音楽好きだったため、すぎやまさんは自然に音楽に興味を持ち始めます。また、すぎやまさんがゲーム好きになったのも、両親がきっかけだったそうです。
小学校時代は、父の仕事の影響で日本各地を転々とし、戦後は東京の荻窪で青年時代をすごしています。この頃からクラシック音楽に関心を持ち始めたすぎやまさんは、父から譲り受けたベートーヴェンのレコードやオーケストラの楽譜を研究し、独学で音楽を開始しました。
また、高校では「音楽部」を設立し、学内オーケストラを編成するなど、全てを音楽に捧げた
青春時代を過ごしています。
名ディレクターからゲーム作曲家へ
高校卒業後、仕方なく東京大学に進学したすぎやまさん。しかし、勉学に励むどころか、ますます音楽に熱中し、大学卒業後に入社したフジテレビでは、伝説的音楽番組「ザ・ヒットパレード」を企画するなど、マルチな才能を存分に発揮。さらに1960年代になると、自身もCM曲の作曲家として活動し、かずかずのヒットCM曲を生み出しました。
その後、本格的に作曲家へ転身したすぎやまさんは、1980年代からゲーム音楽も手がけるようになり、1986年、大人気ゲーム「ドラゴンクエスト」のBGMを担当することになります。これにより、すぎやまさんの認知度はさらに高まり、ゲーム音楽専門の作曲家として活動を始めます。
「ドラゴンクエスト」のBGMは、すぎやまさん本人によりオーケストレーションにアレンジされ、現在も世界各国でコンサートが開かれるほどの人気作となりました。
2021年に開催された東京オリンピックの開会式で流れたのは、記憶に新しいところですね。
生涯現役の作曲家
「ドラゴンクエスト」1作目から全シリーズの音楽を担当したすぎやまさん。その長きにわたる偉大な功績は世界にも認められ、2016年には「最高齢のゲーム音楽作曲家」としてギネス記録に認定され、日本でも2018年に旭日小綬章(きょくじつ・しょうじゅしょう)及び、2020年に文化功労者に選ばれています。
戦後日本の音楽の発展に多大な貢献を果たしたすぎやまさんですが、2021年9月30日、敗血症性ショックのため、90歳でこの世を去りました。
すぎやまこういちの性格を物語るエピソードは?
頭脳明晰で、音楽の才能にも恵まれたすぎやまさん。そんなすぎやまさんには多くのエピソードが残されていますが、今回はその中から有名な3つのエピソードを紹介します。
東大か、芸大か
幼少期・青年期と音楽に夢中になったすぎやまさん。そんなすぎやまさんの夢は、東京芸術大学に進学し、本格的に音楽を学ぶことでした。しかし時代は敗戦後の貧しい日本。芸大に進学するための費用が足りず、さらに両親からは学費の安い国公立へ進学するよう言われてしまいます。そして家にピアノがなかったため、やむを得ず芸大を諦めることに・・・。
そして、仕方なく進学したのが東京大学だったそうです。仕方なく受けて東京大学に合格するのもすごいですが、大学進学後も授業そっちのけで音楽活動に夢中だったそうです。
ドラクエBGMを作曲
すぎやまさんの代表作といえば、ゲーム「ドラゴンクエスト」の音楽です。すぎやまさんがドラクエ音楽に携わるきっかけは、1通のアンケートはがきだったとのこと。はがきの送り主を見た当時の担当者が、ひらがなで「すぎやまこういち」と書かれていたことから縁が生まれ、「ドラゴンクエスト」のBGMを担当することになったそうです。
このとき、すぎやまさんは50歳を超えていましたが、新たな試みに快諾し、数々の「伝説」を生み出すこととなります。
本人もゲーム大好き
すぎやまさん本人も大のゲーム好きだったと言われています。ゲームといってもテレビゲームだけでなく、カジノやバックギャモンにも造形が深かったことは有名です。ドラクエ・シリーズの中にカジノが出てくるのは、もしかしたらすぎやまさんの影響が大きいのかもしれません。またご本人がドラクエをプレイするときは、100時間以上やり込み、全員をレベル99にまで育てあげるほど熱中していたそうですよ。
まとめ
今回は、日本が世界に誇る作曲家すぎやまこういちさんについて解説しました。すぎやまさんは、それまで単なるBGMとして扱われていたゲーム音楽を芸術の域に高め、音楽に新たなジャンルを確立しました。もし、すぎやまさんがいなければ、今日のような「ゲーム音楽」というジャンルは生まれていなかったかもしれません。ゲーム「ドラゴンクエスト」によって生み出された音楽は、交響組曲「ドラゴンクエスト」で楽しめますので、この記事をきっかけに、ぜひすぎやまさんの作品を改めて聴いてみてください!
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