オリヴィエ・メシアンの楽曲の特徴及び評価。おすすめ代表作5選

出典:[amazon]Olivier Messiaen Complete Edition

オリヴィエ・メシアンという作曲家をご存知ですか?20世紀初頭のフランスに生まれ、作曲家・オルガニスト・教育者として幅広く活躍したメシアンは、クラシック音楽界に一大ブームを巻き起こし、後世の音楽家たちに大きな影響を与えました。日本にも数回訪れており、メシアンの「7つの俳諧」という作品は、来日した際に日本の文化や自然から受けた印象を表現したものです。では、親日家としても知られるメシアンの作品にはどのようなものがあるのでしょうか。今回はメシアンの作品の特徴やおすすめ代表作を解説します。

メシアンの楽曲の特徴や評価について

メシアンの楽曲の特徴について簡単に紹介します。作品タイトルからもわかる通り、メシアンの作品にはキリスト教的信仰心に基づくものが多いようです。

カトリシズムに基づいた作曲姿勢

メシアンの楽曲の特徴としてまず挙げられるのは、キリスト教との結びつき、とりわけカトリシズムの影響が強いことです。メシアンはカトリシズムを自身の作品の根幹とし、カトリシズムに現代的要素を取り入れ、音楽における新しい表現方法を模索しました。生涯にわたり数々の実験的作品を発表したメシアンですが、いずれの時期においても、汎神論的カトリシズムが貫かれています。

鳥の声を音楽に転用

作曲家であると同時に、鳥類学者としても著名だったメシアン。1950年代から「鳥の鳴き声」の採集を始め、鳥の歌の作曲にとりかかります。主な作品として「鳥たちの目覚め」「異国の鳥たち」、「鳥のカタログ」などがあり、いずれも大きな話題となりました。
また、1962年に日本を訪れた際には軽井沢星野温泉を探索し、24種類の鳥の声を採集したそうです。20世紀を代表する作曲家の作品に日本が貢献しているのを知ると、なんだか嬉しくなりますね。

世界的音楽家として

斬新にして前衛的だったメシアンの作品は、当初は批判を浴びることが多かったものの、やがてその作品が認められ、1959年にフランス国家よりレジオン・ドヌール勲章オフィシエを受賞。そして1987年にはグラン・クロワを受賞しています。また、1985年には各分野において世界的に貢献した人物に送られる、第1回京都賞が送られました。

メシアンのおすすめ代表作5選

メシアンのおすすめ作品を紹介します。メシアンの作品はどれもタイトルが魅力的です。

忘れられた捧げもの

ARVE Error: Invalid URL https://www.youtube.com/watch?v=84megCwzzJE in url

1930年に作曲された作品です。作品には「管弦楽のための交響的瞑想」の副題が付けられ、メシアン初期を代表する作品として親しまれています。タイトルの「捧げもの」とは「イエスの十字架」を意味し、カトリックを深く信仰していたメシアンの崇高な精神が強く反映された作品です。また、メシアンの管弦楽として最初に演奏された作品としても知られています。1931年に初演され、演奏時間は12分程度です。作品は「十字架」「罪」「聖体」の3つのセクションで構成されています。

スポンサーリンク

峡谷の星たちへ

1971年から1974年に作曲されたメシアン後期を代表する管弦楽曲です。この作品は、メシアンがアメリカ・ユタ州を旅行した際の風景や、鳥の鳴き声をヒントに作曲されました。
1974年にアメリカ・リンカーンセンターで初演され、初演時のピアノは2番目の妻・イヴォンヌ・ロリオが担当しています。ニューヨークでの初演ののち、イギリス、フランスなどでも順次初演され、1992年には日本でも上演されました。全3部12楽章構成の大作です。

彼方の閃光

ニューヨーク・フィルハーモニック150周年記念のために委嘱され、1987年から1991年にかけて作曲された作品です。メシアン最後の管弦楽曲ですが、初演されたのは、メシアンの死後6ヶ月が経過した後でした。作品は11の楽曲で構成され、演奏人数128人を要する最晩年の大作です。

各楽章には「栄光あるキリストの出現」や「刻印された選ばれし者」、「キリスト、楽園の光」などのタイトルが付けられています。

4つのリズムのエチュード

メシアンを代表するピアノ作品です。1949年から1950年にかけて作曲され、タイトルの通り、「火の鳥Ⅰ」「音価と強弱のモード」「リズム的ネウマ」「火の鳥Ⅱ」の4つの作品から構成されています。「火の鳥Ⅰ」「火の鳥Ⅱ」はパプア・ニューギニアの火山活動や民族儀式を象徴しており、作品もパプア人に献呈されました。

2曲目の「音価と強弱のモード」において、メシアンは「トータル・セリエリズム」理論を初めて作品に導入し、ピエール・ブーレーズやカールハインツ・シュトックハウゼンなどの作曲家に大きな影響を与えました。

鳥のカタログ

1956年から1958年に作曲されたピアノ曲です。1959年に妻・イヴォンヌ・ロリオによって初演され、センセーションを巻き起こしました。メシアン「鳥の10年間」を象徴する作品としても有名で、それぞれの作品にはフランスを代表する鳥の名前が標題として付けられています。全7巻で構成されており、演奏時間が3時間半を超える超大作です。
この作品に続き、1970年代には「ニワムシクイ」、1985年に「鳥の小スケッチ」というピアノ曲集も作曲されています。

まとめ

いかがでしたか?今回はメシアンの作品の特徴とおすすめ作品を紹介しました。調性を崩した現代音楽に分類されるメシアンですが、どの作品も、彼の内的崇高さがよく現れていると筆者は感じます。まだメシアンの作品を聴いたことのない方は、本記事を参考に、メシアンの作品に触れてみてはいかがでしょうか。

👉[amazon]オリヴィエ・メシアンのCDはこちら。

>>オリヴィエ・メシアンってどんな人?その生涯は?性格を物語るエピソードや死因は?

>>[amazon]クラシックのジャンル別話題作をチェック!

スポンサーリンク
関連記事
(Visited 2,748 times, 1 visits today)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)