ポール・デュカスの作品の特徴及び評価。おすすめ代表作4選

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ポール・デュカスは19世紀後期から20世紀初頭にかけて活躍した、フランスを代表する作曲家です。また音楽評論家、作曲家、教育者として数々の業績を残したデュカスは、晩年にフランス学士院会員にも選出され、次世代の音楽家たちの育成にも尽力しました。
作曲家としてのデュカスは、その激しい自己批判により作品の大部分を破棄しましたが、それでも、優れた作品をいくつも生み出しています。

そこで本記事では、ポール・デュカスの作品の特徴やおすすめ代表作を4つ紹介します。
この記事を機会に、彼の作品に親しんでみてください。

ポール・デュカスの作品の特徴や評価

古典的要素やロマン主義、そして印象主義の要素を巧みに取り入れたデュカスの色彩豊かな作品は、ディズニーアニメの金字塔でも使用されています。

ディズニーアニメーションに起用される

デュカスの作品の特徴としてまず挙げられるのが「管弦楽的色彩の豊かさ」です。リムスキー・コルサコフを彷彿とさせる巧みな管弦楽法は、デュカス最大の持ち味と言っても過言ではないでしょう。

なかでも交響詩『魔法使いの弟子』ではデュカスの本領が存分に発揮されており、ディズニーのアニメ映画「ファンタジア」にも採用されています。
学者肌でとっつきにくい性格のデュカスだったようですが、頭のなかには美しい情景で埋め尽くされていたのかもしれません。

多くの弟子を育てる

作曲家として成功を収めたデュカスは、教育者としてもクラシック音楽界に大きな功績を残しています。パリ高等音楽院の作曲科教授時代の教え子には、オリヴィエ・メシアンやホアキン・ロドリーゴ、ダリウス・ミヨー、モーリス・デュリュフレなどがおり、日本人として初めてボストン交響楽団で指揮を務めた大澤壽人(おおさわ・ひさと)もその1人です。

教育者としてのポール・デュカスがいなければ、20世紀のクラシック音楽は現在のような発展をとげていなかったかもしれません。

ポール・デュカスのおすすめ代表作4選

現在残っているデュカスの作品は、20作程度とされています。そのため、紹介できる作品は限定されますが、現存する作品は珠玉の名曲ばかりです。
今回はその中から、オペラ、バレエ、交響曲、序曲の4曲を紹介します。

オペラ『アリアーヌと青ひげ』

『長靴をはいた猫』の作者として知られる、フランスの作家シャルル・ペローの作品を題材としたデュカス渾身のオペラです。1899年に作曲が開始され、1906年に7年の歳月をかけて完成されました。デュカスにとって唯一のオペラであるばかりでなく、20世紀のフランス・オペラを代表する作品として現在も人気があります。
パリで行われた初演は大きな成功を収め、その後ウィーン、フランクフルト、ミラノなどヨーロッパ各地でも上演が行われました。

また、指揮者トマス・ビーチャムは本作について「私たちの時代における最高の抒情的オペラ」と絶賛しています。
本オペラは3幕で構成されており、上演時間はおよそ2時間です。
友人ドビュッシーのよる『ペレアスとメリザンド』と比較して聴いてみると、興味深い発見があるかもしれません。

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ちなみに、「青ひげ」とは、シャルル・ペローの物語に出てくる、極悪非道の主人公の呼び名です。

交響曲ハ長調

デュカスが作曲した唯一の交響曲です。1895年、デュカスが30歳の時に作曲が開始され、翌年1896年に完成しています。演奏時間はおよそ40分ほどで、1897年にパリ・オペラ座にて初演を迎えました。残念ながら、初演は芳しい評価は得られませんでしたが、1902年にカミーユ・シュヴィヤールが指揮したことで評価が高まり、以来デュカスのレパートリーとして現在でも演奏されています。
音楽評論家でスペイン文化研究科の濱田滋郎氏は、本作について「フランクの交響曲にも比肩しうる近代フランス楽派の優れた遺産の一つ」という見解を示しています。

楽聖ベートーヴェンに強い憧れを抱いていたデュカスは、交響曲を音楽ジャンルの最高峰に位置付けており、その点からも、本作はデュカスの才能が真に発揮された作品と言えるでしょう。全3楽章で構成され、「急ー緩ー急」のメリハリのある構造となっています。

舞踊詩「ラ・ペリ」

デュカスはバレエ音楽でも卓越したセンスと才能を発揮しました。本作『ラ・ペリ』はペルシア神話に登場する、妖精ペリの寓話を元に作曲され、1912年に初演が行われました。
交響詩『魔法使いの弟子』ほどの人気を獲得するには至っていないものの、デュカスが出版した最後の作品として、現在もコンサートのプログラムとして演奏されています。

デュカス本人は、この作品にあまり満足していなかったようで、楽譜を暖炉に焼き捨てるところを、慌てて知人が制止したという逸話でも有名です。
本作は、ロマン派後期の調性や印象派の技法が用いられており、時代の転換期を包括する作品として聴いてみるのも良いでしょう。

序曲『ポリュークト』

1891年にデュカスが作曲した、演奏会用序曲です。演奏会用序曲とは、「序曲」でありながら、それ自体で1曲が完成されている作品のこと。そして作品のなかには、物語や情景描写的要素が含まれているのも特徴です。
また、本作のタイトル「ポリュークト」とは、キリスト教の伝説に出てくるローマ人の殉教者ポリュークトがモデルとされています。

本作は1892年にパリで初演が行われ、大きな反響を獲得しました。
演奏時間は15分程度と短いものの、全体は5つの部分で構成されて、デュカスの持つ信仰心が圧倒的な熱量で表現されています。

まとめ

デュカスの作品の特徴やおすすめ代表作を紹介しました。完璧主義で有名なデュカスであることから、残された作品はどれも完成度が高く、聴いていて飽きないものばかりです。
『魔法使いの弟子』ばかりが取り上げられるデュカスですが、バレエや序曲、交響曲の分野でも卓越した作品を残していますので、この記事をきっかけにデュカスの新しい一面に触れてみてはいかがでしょうか。その際、ドビュッシーやラヴェル、ワーグナーといった作品と比較して聴いてみるのも面白いかもしれませんよ!

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