旋法とは何でしょう。
明治時代に「旋律」という言葉が生まれました。日本ではメロディーのことを「律」と表しており、律(メロディー)が動き回るという意味です。
その旋律を形作る方法を旋法といいます。と言ってもすぐに理解することは難しいですね。
また、音階とよく似ているのでごっちゃになりがちです。
今回は音階との違いと共に、旋法についてわかりやすく説明していきます。
「旋法とは?音階との違い」
旋法とは?音階との違いは?
旋法を説明する時に音階を用いるので混同しやすいです。
旋法とは?を理解するにはまず音階を理解することが先決!!!
まずは音階を理解しましょう。
音階とは?
「旋法とは?」についてお話しする前に音階についてご説明します。
音を高さの順に配列してみましょう。すると、一定の音程関係を繰り返す形で並びます。この繰り返しを『音階』と呼びます。音階とは洋音楽の12の高さの音を特定の規則によって並べたものです。
半音階
12の高さの順に並べたものを半音階といいます。
長音階
次に12種類の高さの音について、(ドから)「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」と進んだ音を音を順番に並べてみますね。
このような並びの音階を長音階といいます。
他にも短音階など種類がありますが、音階についてはまたの機会にご説明しましょう。
旋法とは?
旋法とは、音の配列のことを表します。決められたルールに従って音が並べられているものです。
音階には、長調や短調といった調性がありますが、旋法には、調性の区別はありません。
また、音階が音の高低を表すのに対し、旋法は音と音の関係性を表します。
今日、旋法とは「教会旋法」をさすことが多いです。ひとことで語るには奥が深すぎます。今回は「教会旋法」を中心にご説明しましょう。
「旋法の用語」
まずは、教会旋法で用いられる知っておきたい旋法の用語について説明します。
開始音・終止音・フィナリス
全て同じ意味です。音階でいう「主音」を表します。
正格旋法と変格旋法
当初は1オクターブ内に収まるようにメロディーを作っていました。そのことを正確旋法といいます。
それに対し、変格旋法とはフィナリスの4度下からフィナリスの5度上までの音域を用いるものをいいます。
ドミナント
いわゆる「属音」のことです。
正格旋法では終止音の5度上の音、変格旋法では3度上の音がドミナントになります。
以上の用語について譜面に表してみました。
(Fをフィナリスにした例)
「旋法の種類」
旋法の種類はたくさんあります。色々な場所で、様々なシチュエーションで旋律が生まれてきました。
その特徴を抽出して分析することで色々な旋法に分類することができます。楽典の上での旋法は主に教会旋法を中心に学びます。とはいえ、どのような種類があるか知っておきましょう。
● 古代ギリシアの旋法
● 教会旋法
● アラブ音楽のマカーム
● ペルシア音楽のダストガー
● インド音楽のラーガ
● 雅楽の調
● 呂旋法、律旋法
● 陽旋法(田舎節)、陰旋法(都節)
● 中国の調式
● ジャワ音楽のララス、パトゥッ(パテット)
「旋法の歴史」
旋法はその時その時で変化していきます。教会旋法の歴史をたどってみましょう。
8世紀~13世紀の旋法
初期の旋法についてご説明します。
Re Mi Fa Solの4つの音をフィナリスにして各々正格旋法・変格旋法がありました。
合計8つの旋法があり、正格旋法にヒポをつけることで変格旋法を表しています。全て白鍵のみで構成されているため、フィナリスが違うと違う風に聞こえます。
音階と大きく違う所であることがわかりますね。
16世紀の旋法
16世紀のスイスの理論家、グラレアヌスは La ・Do をフィナリスとする旋法の導入を提唱して、4つの旋法が追加となりました。
Siをフィナリスにする旋法の追加
その後、理論的には Si を終止音とする旋法も存在するとして、追加されました。
しかし、教会旋法ではもともと Si を避ける習慣があり、実際の作品で使用されていません。それによって、第〇旋法というナンバリングされていません。
「旋法の学び方」
旋法とはなんぞや?という事は頭の中では少しわかったと思います。しかし、実際どのようなことか?ということをもう少しお話ししますね。
前項でも述べましたが、旋法については白鍵のみを使うので、1音ずつ上がっていくと全然違う印象になります。
ピアノなどで各旋法を弾いてみてください。全音と半音の配列が違うのでそのようになるのはピアノがなくてもわかるでしょう。
旋法についてはこのことを理解したうえで、音を奏でて雰囲気を味わうことが一番の近道です。そうして、曲を聞いて、当てはめていくと旋法について深く理解できます。
ドリア=全音・半音・全音/全音・半音・全音
フリギア=半音・全音・全音/半音・全音・全音
リディア=全音・全音・全音/全音・全音・半音
ミクソリディア=全音・全音・半音/全音・半音・全音
エオリア=全音・半音・全音/半音・全音・全音
まずはこの構造を理解して見てください。色々な旋法を理解することで音楽を深く味わうことができるでしょう。
まとめ
旋法とは?について説明しました。旋法については、後の学者たちが解析したものです。
場合によっては当てはまらない物もでてきます。
しかし、この理論を知ることで音楽の歴史を知ることができるでしょう。知ることによって音楽の理解が深まり、更に味わい深くなります。
とはいえ頭でっかちにならないよう、やはり音楽は感性で楽しむことが大切ですね。
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