対位法って何でしょう?和声法とは違うのでしょうか?
和声法がメロディに対してハーモニーをどう進行させるか?を重視するのに対して、対位法はいかに同時に複数のメロディを重ねるか?が重要になります。
対位法と和声法は違うといえども、各々のメロディが独立しつつ、お互いに音が重なった時の和音は無視することはできないので、対位法と和声法は相対するものではありません。
対位法とはどんなものか?作り方にルールはあるのでしょうか?
また、初心者の簡単な学習法やおすすめ本についてもご説明していきましょう。
対位法とは?
対位法は、16世紀頃にほとんど完成したと言われています。それに対して和声法はおおよそ18世紀に確立しました。
対位法とは、異なる2つの独立したメロディを、同時に美しく鳴らすための方法です。
普通はメロディに対して和音で伴奏をつけますが、伴奏部分もメロディにしてしまうのが対位法です。
わかりやすく言うと輪唱を思い出してみてください。この輪唱はカノンと呼ばれ、れっきとした対位法の一つとなります。
お子様がよく手遊びで歌う「グーチョキパーで何作ろう」でおなじみのフレールジャックの歌で伴奏とカノン(輪唱)の譜面で比較してみましょう。
■メロディと伴奏
■カノン(輪唱)
両方のメロディが独立していることがわかります。このように伴奏部分もメロディにしてしまうのが対位法です。
対位法の種類
対位法は、教会旋法の音楽から始まり、私たちが日常的に耳にする音楽、さらには現代の無調性的な音楽においても使われています。
その技法は時代時代によって進化していると言っても過言ではありません。
主な対位法について説明していきましょう。
教会旋法による音楽の対位法
教会旋法による音楽の対位法は、声部間の音程の変化が重要な要素とされています。
曲の頭から曲の終わりに向かって、協和音程、不協和音程を織り交ぜながら協和して終わるのです。その特徴としては、それぞれの声部の旋律が美しく、またいかにそれぞれが独立した旋律であるかが求められます。
ルネサンス期の技法の書かれた理論書では、フックスが1725年に著した『Gradus ad Parnassum』が特に有名です。
その理論書には、対位法の実習の際に注意すべき規則が厳しく書かれています。
実際の作曲に用いられるよりも厳しい規則が記されているので、厳格対位法と呼ばれているのです。
また、対旋律をそのリズムごとに類別して規則を説明しているので類的対位法とも呼ばれています。
この教会旋法による音楽の対位法についてはベートーヴェンも傾倒したほど。極めるとそれほど魅力的なのですね。
厳格対位法の種類を表で説明します。
<厳格対位法の種類>
この表だとわかりにくいので第一類から第五類までの対位法の種類を楽譜でわかりやすく説明します。
長調・短調による音楽の対位法
長調・短調の音楽における対位法による音楽では、厳格対位法の技法に和声的な要素が加わります。和声の機能の考え方が加わることにより、それまでの音楽に意識されなかった調性が強調されるのです。
声部間で旋律が模倣し合うような対位法もあり、その究極の形がフーガとなります。
<フーガとは>
フーガとはカノンと似て非なり、という訳で少しフーガついて説明しましょう。対位法を学ぶうえでフーガを語らないわけにはいきません。
フーガはまず主題の提示から始まります。最初のパートでテーマを発表したら、次のパートはそのテーマを属調で演奏します。そして、次のパートでは、また主調でテーマを演奏します。主調テーマ→属調テーマ→主調テーマ→属調テーマという順番で進んでいき、次に展開部に進みます。
展開部は、今まで登場したテクニックを全て展開してダイナミックにテーマを絡めます。
フーガについて少し説明しましたが、これだけではなく、もっとフーガは深いものがあるので改めてフーガについて勉強してみるのも面白いと思います。
現代の音楽における対位法
現代の音楽における対位法は、それまでの対位法が協和音程を中心としているのに対して、不協和音程も積極的に活用して、新しい対位法を確立しています。
現代のミュージシャンも対位法を学んでアレンジしている人が多いです。温故知新とはこのようなことを言うんだなと思わせるテクニックを駆使しています。
初心者への対位法教則本
初心者の方へオススメの教則本です。
このような本は読むだけでは理解できないので、必ず奏でたりまた音楽を聴いたりするとよいでしょう。
名曲で学ぶ対位法 書法から作編曲まで(音楽之友社)
名曲を用いて説明しているので初心者でもわかりやすいです。
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対位法(音楽之友社)
第一部は15・16世紀の無伴奏合唱曲にもとづく対位法を解説して学びます。第二部は17・18世紀の音楽、第三部はカノンとフーガを中心とする模倣対位法が学べます。
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二声対位法 (音楽之友社)
対位法の学習の初期における標準的な教科書となっており、日本ではこの本で対位法を学んだ人が多いです。
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モードからフーガまで 実践!しっかり学べる対位法 (自由現代社)
対位法の基礎から応用までをしっかり学べる教則本です。
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まとめ
対位法についてご説明しました。
対位法と一言で言っても奥が深いことがわかりましたね。音楽理論は頭でっかちになりがちですが、音楽は聞いて、心で感じることが大切なのでぜひ、その頃の音楽を聴いて学んで欲しいと思います。
特に対位法の元となるグレゴリオ聖歌や対位法を駆使して作曲されているバッハの音楽に触れることで対位法を理解することができるでしょう。
教則本も案内しましたが、教則本片手に音楽を聞いて紐解いていくと面白いと思います。
また、ビートルズなども対位法を意識した曲が多いと言われているので、現代の音楽からも対位法を用いた音楽を探してみましょう。
きっと面白い発見があると思います。
>>音楽理論とは?内容や種類一覧 初心者は何から学べばいい?
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