和声法って何?聞いたことあるけど和音との違いはなんでしょう?和音と関係あるのでしょうか?
楽曲は複数の和音からできていて、その和音の進行によって音楽の印象が違ってきます。
場合によっては違和感を感じることもあるのです。
曲が始まって終わるまでどのように和音が変化していくのか?を読み解くものが和声になります。和音の作り方や繋がり方に関する理論だと考えてください。いわゆるハーモニーです。
一言で和声といってもどのように変化していくのか?どんなルールがあるのか?わかりませんよね。
それではどのように和声を学んでいけばよいのか?を説明していきましょう。
「和声法とは」
音楽理論的に和声といった場合、楽曲において和音が水平的・時間的に連結されたその音響現象のことをいいます。
和声の基本
まずは下の楽譜を見てください。一番単純な和声法の形です。
幼稚園のころからよく聞くお辞儀の音楽ですね。近くにピアノがある方は奏でてみましょう。
➀と➂はいわゆる主和音、➁は属和音となっています。主和音で始まり主和音で終わっているので、短い中でも完結されている印象を受けるでしょう。
主要三和音のうち、I(主和音)をトニック(トニカ)、IV(下属音)をサブドミナント、V(属和音)をドミナントと呼び、和音進行の根幹に据えます。
では、次の和音を奏でてみましょう。
トニックである➂の和音がないので、ここで終わるのか?という印象を受けませんか? このように和音や音から受ける印象を基に、和声法は成り立っています。
トニック・ドミナント・サブドミナント
主和音(トニック)の完全五度下にサブドミナント、完全五度上にドミナントが位置しています。
主和音は下属和音と属和音にバランスよく支えられ、主和音としての力を最大限に発揮しているのです。
トニック(主和音)、ドミナント(属和音)、サブドミナント(下属和音)の特徴
トニック、ドミナント、サブドミナントの組み合わせを説明します。トニック・ドミナント・サブドミナントの関係とその働き、そして類似性についてまとめました。
●トニック:調の主音で安定感があり、どの和音へも進行が可能です。III、VIにも同様の機能があります。
●ドミナント:トニックに進もうとします。属七の和音になるとその機能がさらに増す傾向にあり、VIIもほぼ同様の機能を持ちますが古典派の楽曲ではあまり使われていません。
●サブドミナント:トニックとドミナント、両方に進もうとします。IIにも同様の機能があります。
Ⅰ、Ⅳ、Ⅴの和音は主要三和音としての働きは大きいですが、それ以外の三和音にも同様の機能があります。
それらは代用和音とも呼ばれることも。上の譜面を見てください。
トニック、サブドミナント、ドミナント共に、仲間が3度音程間に存在しているのがわかるでしょうか?
ある音階における主音の短二度下の音は導音と呼ばれ、旋律を安定させる機能を持ちます。
自然短音階の第7音に、導音としての機能を持たせた和声短音階と旋律短音階があるのはそのためです。
この半音の働きから、「Si」および「Fa」を含む和音はそれぞれ短二度音程の「Do」と「Mi」へ安定を求めて移動しています。
そのことから、ⅤとⅦの機能は類似していることがわかるでしょう。その受け手となる、「Do」と「Mi」を持つⅠとⅥも同じ機能を持つということになります。
カデンツ(終止形)
和声を学ぶ上で大切な終止形についてお話しします。
先ほどの基本の所でも簡単に述べましたが、和音の流れによって音楽を受けるイメージが違ってきます。
せっかくいいメロディを作ったとしても、音楽が完結せずにどこかへいってしまうようなイメージになることもあります。また、それをテクニックとして取り入れている曲もあるでしょう。
代表的な終止形を表にしてみました。
カデンツとは終止形という意味で、ラテン語で下降するという意味だそうです。
いわゆる着地点という風にとらえてみましょう。
曲の流れの行きついたところがどのようなイメージになるのか感じてみてください。
四声部
主な和声音楽は四声部により構成されます。四声部は高い順にソプラノ、アルト、テノール、バスに分類されます。コーラスの楽譜を思い浮かべてください。
和声法でも人間の声の領域に近いところで構成していきます。
ソプラノとバスを外声、アルトとテノールを内声、ソプラノ、アルト、テノールの高い声部をまとめて上三声、アルト、テノール、バスの低い声部をまとめて下三声と呼びます。
四和音の構造
密集和音
密集配置ともいい、基本の三和音を想像してください。上三声は1オクターブ以内に密集します。テノールとバスの間隔は12度以内になります。
開離和音
開離配置とも呼ばれ、密集和音が転回して構成されます。
上三声の各声部間には必ず構成音が入るだけの間隔がありますが、1オクターブ以上は開離しないという規則があります。テノールとバスの間隔は密集位置と同様に12度以内に納めます。
非和声音
曲を作るうえで和音の中にない音も当然出てくるでしょう。和音にない音を非和声音といいます。非和声音には種類があるので、説明していきますね。
経過音
和音の構成音から別の構成音へと進行する時、その間に和音にない音でつなぎます。その音のことを経過音と呼びます。
刺繍音
和音の構成音から2度上、もしくは2度下に進行し、元の音に戻ってくる非和声音を刺繍音と言います。
掛留音
和音が変化するときに、声部が少し遅れて構成音に戻る場合、それを掛留音と言います。
先取音
和音が変化する前に、次の和音の構成音が先走って登場することを先取音と言います。掛留音の逆の形です。
倚音
前の和音の構成音とは関係なく、和音上でいきなり2度上(下)に現れる非和声音を倚音と言います。
逸音
本来進行するべき方向とは逆方向に一旦進み、そこから本来の方向に戻ってくる非和声音を呼びます。
今まで説明してきた非和声音では説明できない「その他」の音を指すこともあるようです。
保続音
和音が変化しても延々と一つの音を奏で続けることを保続音と言います。バスのパートに出現することが多いです。
和声の禁則」
和声には禁則事項があります。それは不快さを感じるからです。
禁則を学ぶと心地よい進行がわかるのでここでは禁則を学んでおきましょう。
連続進行
二つの声部が連続して1度の音程、連続して5度の音程、連続して8度の音程で動かないようにします。
*保留音は対象外になります。
なぜ禁則とするのでしょうか?四声で流れている時に、「完全8度」「完全5度」を保ったまま動き続けるとそこだけ妙に一体感ができてしまうからです。
四声の平等なパワーバランスが崩れてしまうことになります。
並達1・5・8度
外声のソプラノとバスが異なる音程から、完全5度、完全8度に達する進行は避けます。
これらは、並達5度、並達8度の禁則です。
また、1度の進行はどの声部でも避けるのが好ましいとされています。それは奏でてみるとわかりますが、音が消えてどこかへ行ってしまうイメージを受けるからです。
とはいえ、禁則を意識してばかりはいられません。「並達の禁則」に関して以下の条件であればいいのでは?というルールもお伝えしておきます。
●外声間でなければ構わない
●外声間であっても、ソプラノが順次進行なら問題ない
禁則と改めて書くと学校のルールと同じく窮屈に思えますが、要するに「いいハーモニーの流れ」を求めていくとそうなったということです。
あまり意識し過ぎずいいハーモニーを楽しみましょう。
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楽譜を用いて説明しているので、実際の音楽で和声がどのような働きをしているのかを学ぶことができます。
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まとめ
和声についてご説明してきました。
和声とはハーモニー。綺麗なハーモニーを作るうえで色々な約束事があることがわかりました。とはいえ、頭でっかちになってもいいハーモニーは生まれません。
実際、私が和声も学んでいる時もどうしてもチンプンカンプンで、理解ができないままテストを受けましたが、何となくきれいなハーモニーを譜面に書いていたらテストに合格していたということがありました。
知らず知らずのうちに理論を身に付けていたのです。
このような理論を知っていると音楽の幅が広がります。そういった広い気持ちで和声に接していくことで新たな発見があるでしょう。
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