アーロン・コープランドの作品の特徴及び評価。おすすめ代表作5選

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アーロン・コープランド(以下コープランド)は、20世紀アメリカをもっとも代表する作曲家です。人生の早くから音楽の才能を発揮したコープランドは、パリ留学からの帰国後、アメリカ文化を取り入れた独自の手法を生み出しました。

また、クラシック音楽の枠を超えて、映画音楽の分野においても数々の名曲を世に送り出しています。
そんな「アメリカ最高の作曲家」と称されるコープランドの作品には、どのようなものがあるのでしょうか。今回は作品の特徴や評価について、おすすめ代表曲と共に解説します。

アーロン・コープランドの作品の特徴や評価

コープランドの作品にはどのような特徴があるのでしょうか。ヒラメキの天才だったコープランドは作曲手法において、そして映画音楽においても独自のアイディアを採用しています。

オリジナル民謡を用いて作曲

19世紀末から20世紀にかけてのクラシック音楽界は、「国民楽派」が流行した時代でした。シベリウスバルトーク、グリーグやハチャトゥリアンといった作曲家たちがその代表です。彼らは祖国の民謡や民話から主題を模索し、作品に反映させています。
コープランドもインディアンやアメリカ民謡に目を向け、作品に取り入れましたが、彼の方法は他の作曲家とは異なるものでした。

民謡を取り入れながら、原曲をアレンジして採用した作曲家たちに対して、コープランドは民謡を「可能な限りオリジナルに近づけつつ」、作曲を試みます。
この手法を用いることで、コープランドはアメリカンスピリットを見事に自作に取り入れ、コープランド独特の和声を獲得しました。

映画音楽で新しい手法を生み出す

当時の他の映画音楽とは異なり、コープランドの作品は、後期ロマン派時代からの影響は少なく、主に彼自身のスタイルを反映させています。例えばコープランドは、フルオーケストラを使用せず、登場人物の個人的なテーマであるライトモチーフを使うという、当時一般的だった手法を用いていません。

この手法は、のちに多くの作曲家に採用されており、特に1940年代から1960年代にかけて西部劇の音楽を担当した作曲家は、コープランドのスタイルに影響を受けたと言われています。

アーロン・コープランドのおすすめ代表作5選

コープランドのおすすめ代表作を紹介します。ピアノ協奏曲からバレエ音楽、そして映画音楽まで、幅広いジャンルにおいてコープランドは数々の傑作を残しました。

エル・サロン・メヒコ

1932年に作曲が開始され、4年の歳月をかけて完成させたコープランドの管弦楽曲です。
タイトルの「メヒコ」とはメキシコを意味し、作品にはメキシコの民謡が素材として採用されています。また本作には「メキシコシティで人気のダンスホール」の副題が付けられており、ポップで情熱的な雰囲気が本作の魅力です。1937年に世界初演が行われ、翌年1938年に祖国アメリカで初演されています。
のちにコープランド本作により手が加えられ、映画音楽「フィエスタ」に転用されました。
友人のレナード・バーンスタインによるピアノ用アレンジも有名です。

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ピアノ協奏曲

コープランドが1926年に作曲した最初期の作品の1つです。『オルガンと管弦楽のための交響曲』や『劇場のための音楽』といった作品とほぼ同時期に作曲されており、コープランドのキャリアを知る上で重要な作品に位置付けられています。

初演は1927年、コープランド自らによるピアノ演奏で行われ、セルゲイ・クーセヴィツキーが指揮を担当しました。発表当時は賛否両論が飛び交ったようですが、現在ではジャズの語法をいち早く取り入れた作品として、評価されています。

交響曲第3番

コープランドが完成させた最後の交響曲です。1944年、第2次世界大戦中に作曲が開始されたため、愛国精神が随所に漂う交響曲となっています。作曲開始から2年後の1946年に完成され、クーセヴィツキーの亡き妻ナターリヤの思い出に献呈されました。1948年にアメリカ・ボストンにて初演が行われ、その後のニューヨークでの初演では大成功を収めています。全4楽章構成で、演奏時間はおよそ45分です。

アパラチアの春

バレエ音楽の分野でも良作を残したコープランド。本作はコープランドの「3大バレエ」の1曲に数えられています。作曲当初、本作にはタイトルが付けられていませんでしたが、初演直前にアメリカの詩人ハート・クレインの詩の一説が採用され、本タイトルとなりました。本作は1944年にアメリカ議会図書館で初上演され、舞台セットは「光の彫刻家」イサム・ノグチが担当しています。
また、コープランドは翌年1945年に、本作によりピューリッツァー賞を受賞しました。

短い交響曲(あるいは交響曲第2番)

1931年から1932年にかけて作曲されたコープランドの交響曲。『短い交響曲』のタイトルにある通り、15分程度のコンパクトな交響曲です。
コンパクトな交響曲でありながらも全体は3部構成となっており、緩急がついた表情豊かな作品となっています。1934年にメキシコシティでカルロス・チャベスの指揮により初演が行われ、作品もチャベスに献呈されました。

なお、当初はクーセヴィツキーかストコフスキーが指揮する予定でしたが、「指揮が難しすぎる」として、両者が断ったというエピソードが残されています。
のちにコープランド自身により、六重奏曲版にアレンジされました。

まとめ

今回はコープランドの作品の特徴やおすすめ代表作を紹介しました。コープランドの作品を聴いていると、どこか「アメリカらしさ」や「懐の広さ」を感じます。それは、来るものを拒まないアメリカ人の気質が作品に反映されているためかもしれません。
後期ロマン派でありながらも現代的、そして何より「アメリカ的」で大胆な音楽を、読者のみなさまもぜひ味わってみてください。

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