アレクサンドル・グラズノフ「四季」の解説・分析。楽器・楽曲編成や聴きどころは?

出典:[amazon]SINFONIEN 4 ES-DUR OP.

19世紀半ばに生まれ、晩年はパリで生活した作曲家グラズノフ。多くの優れた作品を作曲し、教育者としても活躍しました。ヨーロッパのロマン派的音楽とロシアの民族性を融合させた功績は、音楽史の上で重要な役割を持っています。グラズノフは生涯でバレエ音楽を3つ作曲しています。グラズノフのバレエ音楽としてもっとも有名な作品は「ライモンダ」ですが、もう一つ「四季」という作品も美しい作品で、グラズノフの才能がもっとも開花した時代に作曲された名作です。そこで今回はバレエ音楽「四季」を解説します。

「四季」の解説

クラシック音楽で「四季」と聞くと、ヴィヴァルディのものや詳しい方なら、ハイドンのオラトリオ「四季」を思い浮かべる方がいるかもしれません。実はグラズノフも同タイトルで作品を残しており、こちらはバレエ音楽として作曲されました。

1899年に振付師マリウス・プティパの依頼で作曲され、1900年サンクトペテルブルグのエルミタージュ劇場においてリッカルド・ドリゴの指揮で初演されました。一幕四場から構成されています。現在ではバレエとして上演される機会はほとんどありませんが、管弦楽編は演奏されることがあるようです。「四季」はグラズノフが34歳のときの作品で、この時期はサンクトペテルブルグ音楽院の教授に就任するなど、まさに全盛期だったころに作曲されました。

一般のオペラ作品には、物語(あらずじ)がありますが、グラズノフのバレエ「四季」には物語がありません。これはプロットレス・バレエと呼ばれ、グラズノフのバレエ「四季」はその先駆け的作品と考えられています。登場する人物は、季節や花を表現する妖精たちなどです。

「四季」というと春から始まるイメージがあります。しかしグラズノフの作品は「冬」から始まっていて、これは作曲を依頼した振付師のマリウス・プティパによる提案だったようです。冬という厳しい季節から始まり、少しずつ暖かくなるロシアの喜びを喚起させる狙いがあったと言われています。

作曲を依頼したマリウス・プティパについて少し説明します。マリウス・プティパは「クラシック・バレエの父」と評されるフランスのバレエダンサー・振付師です。チャイコフスキーの「眠れる森の美女」や「白鳥の湖」の振付を担当した人物で、他にもバレエ「ジゼル」「海賊」などの改訂を行った、バレエ界においてとても重要な人物です。恋愛沙汰が原因でフランスの外交官と決闘事件を起こし、指名手配となりロシアに逃げてきたという興味深い人物でもあります。

楽曲編成について

楽曲編成は次の通りです。物悲しげな前奏曲から始まり、前奏曲が終わると「冬」「春」「夏」「秋」の4つの季節をテーマにした作品が演奏されます。各季節の冒頭では、その季節を象徴する情景(テーマ)が演奏されます。

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1、前奏曲

2、冬

1・情景
2・バリエーション:霜
3・バリエーション:氷
4・バリエーション:霰(あられ)
5・バリエーション・雪
6・終曲

3、春

1・情景
2・バラの踊り
3・小鳥の踊り

4、夏

1・情景
2・矢車菊(やぐるまぎく)とケシのワルツ
3・舟唄
4・バリエーション:トウモロコシの精の踊り
5・終曲

5、秋

1・バッカナール
2・小さなアダージョ
3・バッカスの礼賛

アポテオーズ(アポテオーズとは大団円のことです。古典バレエの全幕におけるフィナーレを意味します)

楽器編成について

楽器編成は次の通りです。バレエ音楽なので大きな編成となっています。

・ピッコロ
・フルート
・オーボエ
・クラリネット
・ファゴット
・ホルン
・トランペット
・トロンボーン
・チューバ
・ティンパニ
・トライアングル
・タンブリン
・小太鼓
・シンバル
・ドラム
・鉄琴
・チェレスタ
・ハープ
・弦楽五部

聴きどころは?

前奏曲は、どこか物悲しく厳しいロシアの冬を思い起こさせます。しかし「冬」の各バリエーションは暗い感じではなく、グラズノフらしい巧みな旋律で、ぞれそれの主題のイメージが写実的に伝わってきます。春は、まさに喜びに包まれたような明るい曲調が聞く人を楽しませます。春から夏にかけては、アタッカで続き暖かさの勢いが増し、さらなる気分の高揚を表現しています。

最後の秋のバッカナールは収穫祭にふさわしく、派手な構成が魅力です。バッカナールは、中高生のブラスバンドでたびたび取り上げられるので、ご存知の方も多いかもしれません。そして最後のアポテオーズでは、大団円にふさわしい壮大な幕引きです。全編を通じて色鮮やかで絵画的描写に溢れていて、聞く人を飽きさせない作品です。

まとめ

今回はバレエ音楽「四季」を解説しました。バレエとして上演されることはほとんどなくなってしまいましたが、管弦楽編として演奏されることが多いそうです。メロディーの中にロシア的な雄大さと、季節が暖かくなることへの喜びが鮮やかに描かれており、情景が目に浮かぶようです。なかなか耳にする機会はないと思いますが、これを機会に作品を聴いてみてください。

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